外食産業が復活?売上4カ月連続のプラスに
LIMO / 2021年9月11日 12時15分
外食産業が復活?売上4カ月連続のプラスに
一般社団法人日本フードサービス協会の調べでは、7月の同協会の会員会社全体の売上は対前年同月比プラスとなり、4月から4カ月続けてのプラスとなりました。
アルコールの提供が中心の居酒屋は依然大きなマイナスですが、洋風ファーストフードはコロナ禍前の2019年7月の数字を上回るなど、コロナ禍前の業績を上回る業態も表れています。
コロナ禍で苦境に陥った国内外食業界ですが、業界全体としては底打ちしつつあるのではないでしょうか。
ファーストフード・喫茶が復活の兆し
一般社団法人日本フードサービス協会(以下、FS協会)の調査では、2021年7月の協力会員全体の売上高は対前年同月比102.1%となりました。4月から4月136.7%、5月119.8%、6月100.1%とプラスで推移しており、7月は「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が首都圏、大阪、沖縄などに出されたものの、外食産業全体としては回復を維持しました。
またFS協会の7月の調査を業態毎に見てみます。
全店データ(前年同月比)
ファーストフード:108.6%
喫茶:105.8%
ファミリーレストラン:93.5%
ディナーレストラン:88.3%
パブ/居酒屋:61.5%
ファーストフードと喫茶がプラスとなりました。
またファーストフードは、洋風の115.8%を筆頭に、和風・麺類・回転寿司等いずれも対前年同月比プラスとなりました。日本マクドナルドHD<2702>は通期予想の上方修正を行うなど業績絶好調ですが、他のファーストフード店も伸びを見せています。更に洋風ファーストフードはコロナ禍前の2019年7月比でも120.7%であり、完全復活というべき状態です。
居酒屋の厳しい状態が続く一方で、ファーストフードはコロナ禍前の業績を超えるなど、状況はまだら模様ながら外食産業全体として最悪期を脱しつつあります。
サイゼリヤが通期予想を修正、月次売上の回復が続くなどFS協会の調査に近い推移に
ファーストフード業態の浮上が見える2021年7月となりましたが、サイゼリヤ<7581>は7月に通期予想の修正を行いました。
2021年8月期
売上高:1265億円(1325億円)
営業利益:▲25億円(▲7億円)
経常利益:50億円(30億円)
当期純利益:32億円(10億円)
※()内は修正前
通期で増収を見込んだものの7月の緊急事態宣言などの発出により、前期並みの売上高(2020年8月期売上高1268億円)に留まる予想に修正され、営業利益は下方修正されました。一方で協力金の上積みが予想されるため(営業外利益にて計上)、経常利益は上方修正されています。
またサイゼリヤの月次売上高の推移を見ると、4月以降の売上高は対前年同月比でプラスを維持して7月も103.4%であり、FS協会の数字と同様の傾向にあります。また7月の客数は105.1%で客単価が98.4%となりました。首都圏などでの緊急事態宣言でアルコールを提供できないことの影響か客単価はマイナスとなったものの、客数のプラスが全体を押し上げた格好です。
居酒屋を除き外食店の経営環境は底打ちか?
一般社団法人日本フードサービス協会の調査は7月までであり、緊急事態宣言が本格的に全国的に広がった8月の数字はまだ出ていません。しかし4月から同協会の会員企業全体の売上は対前年同月比プラスで推移しており、アルコールの提供が中心の居酒屋を除けば、コロナ禍の厳しい状況は底打ちしつつあります。
実際にサイゼリヤもFS協会の調査と同様の推移を見せています。更にデリバリーサービスの活用などにより、一部外食店ではコロナ禍を上回る業態も現れました。アルコールの提供をメインとする居酒屋の苦戦は継続中ですが、外食業界ではアフターコロナに向けて新たな動きが生じているといえるでしょう。
既にコロナ禍前の売上を超えた洋風ファーストフードに続く業態が表れるのか、今後のFS協会の調査や外食業界の行方が注目されます。
参考資料
一般社団法人日本フードサービス協会「日本フードサービス協会加盟会員社による外食産業市場動向調査2021(令和3)年7月度結果報告」2021(令和3)年8月25日(http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2021-07.pdf)
一般社団法人日本フードサービス協会「日本フードサービス協会加盟会員社による外食産業市場動向調査2021(令和3)年4月度結果報告」2021(令和3)年5月25日(http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2021-04.pdf)
一般社団法人日本フードサービス協会「日本フードサービス協会加盟会員社による外食産業市場動向調査2021(令和3)年5月度結果報告」2021(令和3)年6月25日(http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2021-05.pdf)
一般社団法人日本フードサービス協会「日本フードサービス協会加盟会員社による外食産業市場動向調査2021(令和3)年6月度結果報告」2021(令和3)年7月26日(http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2021-06.pdf)
株式会社サイゼリヤ「2021 年 8 月期通期業績予想の修正に関するお知らせ」2021 年7月14日(http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2021-06.pdf)
株式会社サイゼリヤ「サイゼリヤ月次報告(2021年8月期)」(https://www.saizeriya.co.jp/PDF/irpdf001068.pdf)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2024年8月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査 三大都市圏の8月度平均時給は前年同月より34円増加の1,190円
PR TIMES / 2024年9月13日 16時15分
-
日本マクドナルドHD、24年度上期大幅営業増益の理由とは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年9月11日 20時55分
-
7月外食市場規模は2915億円、業態により好不調が分かれる
財経新聞 / 2024年9月1日 15時54分
-
百貨店とSCの7月売上、猛暑で夏ものアイテムが好調
財経新聞 / 2024年8月27日 9時40分
-
米小売り大手の決算、大型セールや値下げが販売拡大に寄与、消費者にインフレ疲れの兆候(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月23日 13時0分
ランキング
-
1「100円マック」も今は昔 値上げしたマクドナルドなぜ好調? コスパ重視の客には500円台のセットで対応
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月22日 6時15分
-
2ゆうちょ顧客情報を不正流用 日本郵便、かんぽの保険営業に
共同通信 / 2024年9月21日 18時30分
-
3フランフランが「若年女性」人気を総取りするワケ アインHDによる買収を経て、再成長できるのか
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 8時0分
-
43浪東京藝大「音楽諦めた」彼女の"運命の出会い" 家庭環境の変化で、一度は夢を諦めたものの…
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 8時0分
-
5建設業の深刻すぎる「人手不足」解消に必要なこと 一括請負方式の生産システムを見直せるか
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください