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年収1000万円の会社員「老後の年金額」はどのくらい?

LIMO / 2021年9月13日 11時35分

年収1000万円の会社員「老後の年金額」はどのくらい?

年収1000万円の会社員「老後の年金額」はどのくらい?

国税庁が公表する「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、平均年収は436万円。男女別でみると、男性が540万円、女性が296万円。そして、年収1000万円を超える人は全体の4.8%と、ほんの一握りのトップ層であるといえそうです。

今回は、年収1000万円の会社員の公的年金額はいくらなのか、計算式から導き出してみましょう。また、年収1000万円の人の老後の生活をイメージするために、総務省の家計調査から平均的な老後の生活費と比較していきます。

高所得者のイメージである年収1000万円の老後生活は、悠々自適なのか、いや、そうでもないのか・・・・・・?

今日は、数字で検証していきます!

年収1000万円の年金額を計算!

年収1000万円の会社員は厚生年金をいくらもらえるのか、さっそく次の計算式を使って算出してみたいと思います。

(1)平成15年3月以前=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の月数
(2)平成15年4月以後=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の月数

(1)+(2)=厚生年金の年金額(報酬比例部分)

※7.125や5.481という数字は生年月日ごとの乗率であり、ここでは昭和21(1946)年4月2日以降生まれの人の本来水準の乗率を使用しています。

平成15年(2003年)4月を境に「平均標準報酬月額」から「平均標準報酬額」に変わっているのは、給与の計算方法が変わったためです。

平均標準報酬月額は標準報酬月額の平均額のことで、月給の平均額を意味します。

平均標準報酬額は標準報酬月額と標準賞与額の総額を月数で割った額です。平たくいえば、月給と賞与の総額となる年収を12で割った額です。

ここでは、2003年4月以降に社会人になった人を想定して、(2)の計算式のみを使っていきますね。

<条件>

年収1000万円(標準報酬月額60万円、標準賞与額140万円×年2回)平均標準報酬額を83万円とする

40年間厚生年金保険に加入し、その期間の収入は一定とする

 

この条件の場合、

83万円×5.481/1000×480ヵ月=218万3630円

約218万円となりました。

この金額は、厚生年金の報酬比例部分のみの金額であり、ここに基礎年金額が加わります。2021年度の基礎年金の満額は78万900円なので、合計すると約296万円となります。

年収1000万円で生活していた人が老後に公的年金だけに頼る場合、年収300万円程度になるということです。

平均的な老後の生活費

年収1000万円の会社員の年金額は約296万円なので、月にすると約25万円ですね。これに対して生活費はどのくらいかかるでしょうか。平均的な老後の生活費をみてみましょう。

総務省「家計調査/家計収支編(2020年)」によると、65歳以上の単身世帯の生活費(消費支出)は13万8542円、65歳以上の二人以上の世帯の生活費(消費支出)は24万1724円です。(※1)

平均的な暮らしをしていれば、単身者であれば、およそ11万円の黒字に。夫婦二人暮らしであれば、相手の年金分にまったく手を付けずに暮らせそうです。

しかしここに落とし穴が・・・・・・。年金生活になったからといって、今までの暮らしぶりを急に変えることは難しいことでしょう。年収1000万円世帯の生活費を家計調査から見てみると、単身世帯では24万8361円、二人以上の世帯では38万3097円。(※2)

年金生活に入っても、このままの生活を続けていたら、家計はぎりぎりの状態になります。年収1000万円稼いでいた人はそれなりの生活に慣れており、生活レベルを落とすことは簡単にはいかない場合が多いはず。

悠々自適な老後生活を送ろうと考えた場合には、公的年金以外の収入や貯蓄をしっかり確保する必要がありそうです。

※1 総務省「家計調査/家計収支編(2020年)」から「第3-2表 二人以上の世帯」と「第2表 単身世帯」を参照
※2 総務省「家計調査/家計収支編(2020年)」から「第5表 単身世帯600万円以上」と「第2-3表 全国・二人以上の世帯1000~1250万円」を参照

ゆとりある老後生活を送るにはいくら必要?

公益財団法人 生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、夫婦2人のゆとりある老後生活費は平均36万1000円となっています。

年収1000万円を40年間続けて得られる厚生年金の金額が月に約25万円ですから、ここに配偶者の年金および企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの公的年金以外の年金を11万円以上プラスしないとゆとりある老後生活は送れないということになります。

ここで「平均的な年金額」をみてみましょう。

令和元年度末における公的年金受給者の平均年金月額は、厚生年金が約14万6000円、国民年金が約5万6000円です。(※3)

夫婦二人世帯を想定すると、二人とも厚生年金保険であれば29万2000円、夫(妻)が厚生年金保険で妻(夫)が国民年金であれば、20万2000円、二人とも国民年金であれば、11万2000円となります。

先述したように、65歳以上の二人以上の世帯の生活費(消費支出)は24万1724円なので、平均的な年金額で平均的な老後生活を送るのは厳しいということがわかります。

※3 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和元年度末)」より

50代を過ぎたら始めたい「老後を見据えた生活設計」

今回、年収1000万円の会社員の年金額について取り上げましたが、厚生年金は思ったほど受け取れないと感じたのではないでしょうか。ただし、年収1000万円稼いでいる人であれば、企業年金にも加入している人が多いと思いますので、それを加えればゆとりある老後生活を送ることができます。

言い換えれば、年収1000万円あっても、公的年金だけに頼るのは不安があるということです。特に人生の後半で生活レベルを上げてしまうと、老後が立ち行かなくなる恐れがあります。年収がピークになることが想定できる50代をどのように過ごすかがカギとなります。50代に入ったら老後を見据えた生活設計に徐々に切り換えていくとよいでしょう。

参考資料

国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/000.pdf)

日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2021/202104/202104nenkingaku.html)

日本年金機構「老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20200306.html)

総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2020年」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330005&result_back=1&tclass4val=0)

総務省「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 2020年」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330022&tclass3=000000330023&result_back=1&tclass4val=0)

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和元年度末)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_r01.pdf)

公益財団法人 生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1141.html)

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