高校受験「なんとなく普通科」だと大学進学も就職も茨の道に!?
LIMO / 2021年9月18日 18時45分
高校受験「なんとなく普通科」だと大学進学も就職も茨の道に!?
大人の階段を上り始める中学生にとっては、目の前の高校進学が人生における最初の大きな岐路になると言えるでしょう。ただ、まだ自分の将来像がぼんやりとしている子も多く、進路を決めるときに「何になりたいか分からないから、とりあえず普通科」という選択をすることは珍しくありません。
しかし場合によっては、道を広げると思っていた選択によって、かえって高校以降の進路が茨の道になりかねないという問題に直面することもあるのです。
普通科という幅の広さが裏目に
一口に高校の普通科といっても、大学進学率がほぼ100パーセントという進学校から、卒業後は専門学校進学や就職、またはフリーターになる生徒が多い学校まで様々です。そして高校は義務教育を離れるため、教科書はそれぞれの学校のレベルに合わせたものになります。
筆者が以前、地方都市の塾で仕事をしていた時の話になりますが、高校進学を機に退塾した複数の生徒が、高校1年生の終わりや高校2年生になった時に通塾を再スタートすることがありました。
彼ら、彼女らの共通点は近隣の公立学校に進学したこと。そこは国公立大学や有名私立大学への進学が卒業生の1割強ほどという普通科の高校。通塾を再開した理由を聞くと、異口同音に「地元の国立大学を受けたい」と言うのです。
まずは学校でどういった勉強をしているか確認するため、教科書や使用している教材を確認。目を通したときに「大学入試センター試験(現在は大学入学共通テスト)を受けても志望校に進めるような点数を取ることは難しい」と感じました。
本人たちはいたって真面目なのですが、いかんせん学校で使用している教科書は基礎的な内容。全員が進学希望者で高校の大学進学コースに属し、補習教材も渡されてはいましたが、トップ校の生徒が学校で習うレベルとはかなりギャップがあるのは明らかでした。
実は、その高校では国公立や有名私立大学に進学した生徒のほとんどが部活動で結果を残し、推薦入試や指定校推薦を利用していたのです。一般入試経由で合格した生徒はごくごくわずかで、相当な努力を要する状況でした。
普通科と専門科高校の違い
そこで、再び通塾し始めた生徒たちには独学で差を埋めるのは並大抵のことではないことを伝えつつ、センター試験でそれなりの点数を取ることを目的に勉強をスタート。しかし国公立大学には届かず、結局、地域の私立大学に進学することになりました。
中学生時代の成績の差はそれほど大きくないのに、進学先の高校で使う教科書によって「大学入試に問題がないレベル」と「センター試験を受けるのもやっと」という違いが出てしまっていたのです。
このように、普通科といっても高校ごとの偏差値の開きは大きく、「大学進学」という目標を掲げてはいても通っている学校のカリキュラムによっては、そのスタートラインにすら立つこともままならない場合があります。
そのため、普通科を選択するのであれば、その学校のレベルでどの程度の大学に行けるのか、何割が進学するのかといった情報を事前にチェックすることが重要になります。入学してすぐに「大学進学はかなり難しい」と後悔するのは避けたいところです。
そして、進学率がそれほど高くはない普通科に通う生徒にとって一番ハンデになるのが「専門性を身につけていない」という点。一方、農業学校や商業学校、工業学校などは全国の自治体にありますが、おしなべて古い歴史を持つ学校です。
高い専門性を学ぶだけではなく、歴史が長いため卒業生も各方面で活躍しています。中には会社を起こしている先輩もいて、地元経済界と強いつながりがある場合も少なくありません。また、成績上位層は指定校推薦で有名大学に進学するチャンスもあります。
専門性の高い学科は就職に有利
筆者の近親者にも、専門科の高校に進学して優秀な成績を修め、大学推薦を決めたケースがありました。さらに、先輩の推薦で地元の優良企業に就職しています。
もちろん、とんとん拍子に事が進むケースは多くはありませんが、「高校で専門的な知識を学んでいた」「学科に関連する資格を取得している」という経歴があると就職時に有利に働きます。そこで普通科の高校生が同じ土俵で就職活動をしても、やはり専門科の生徒に比べると苦戦を強いられるのはやむを得ません。
「高校卒業後の就職を考えている」、または「家庭の経済事情を考えると専門学校進学は厳しい」という場合は、安易に普通科に進学するよりも、専門科のある高校に進学をした方が条件の良い就職先を見つけられる可能性があります。
「まだ中学生」と思わず将来の方向性を考えよう
15歳で専門を決めるよりは、普通科に行った方が選択肢が広がると考える家庭もあるでしょう。ただし、進学校とそうでない学校の普通科とでは使用する教科書も配布される問題集も、学校間でレベルの違いがあることは認識しておく必要があります。
また、「将来のことは普通科の高校に進学してから決める」とぼんやり考えていると、逆に選択肢が狭まってしまう可能性があることも忘れてはいけません。
人生100年ともいわれる時代。長い人生のうち、最初の14、5年というのは本当に短く感じます。ただ、中学3年生で下す決断がその後の人生に影響を与えることも事実。”なんとなく”で進路を決めず、様々なパターンを考えて高校を選ぶようにしたいものですね。
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