1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

親の終活で聞くべき【お金・介護・家】3つの「どうする?」

LIMO / 2021年9月18日 11時45分

写真

親の終活で聞くべき【お金・介護・家】3つの「どうする?」

秋の気配を感じるようになりました。もうすぐ敬老の日がやってきます。長引くコロナ禍、離れて暮らす高齢の親と思うように交流が持てずもどかしい思いをされる方も多いでしょう。日頃の気持ちを、ぜひ、電話やメールで伝えたいものですね。

さて、親子関係が良好であっても、「まさかの時」のこと、とりわけお金の話はしづらいものです。

でも、急に入院したら? 意思の疎通ができなくなったら?

親の加入している保険や資産状況を把握していないといざという時に慌ててしまいます。このような、親が高齢になると避けられない問題に対して、どのような準備をしたらいいのか、FPの立場からご提案したいと思います。

*****

どうする?①「親の資産状況」を把握するために

親がいくら資産を持っているのか、普段は気にしていない、もしくは知るきっかけがないという方も多いでしょう。しかし、親が高齢になると、介護や相続などが現実問題として突き付けられます。

いざその時に親の資産状況を把握していないと、さまざまな面倒やトラブルが起こる可能性が・・・・・・。

資産は銀行預金だけでなく、証券などの金融商品、保険、不動産、貴金属など多岐に渡ります。また、昨今は仮想通貨などのデジタル資産を保有する人も増えました。

こうした資産は、本人ですら把握しきれていないケースがあります。まして、本人以外は知りようもありません。まずは親にどのくらいの資産を持っているかを書き記す「資産の棚卸し」をしてもらうことから始めてみてください。

親としてはいきなり、「資産状況をまとめてほしい」と我が子から言われるのも嫌な気分になるでしょう。子の側も、どう切り出せばいいか迷うところです。

そこで活用してほしいのが『エンディングノート』。

エンディングノートは、もしもの時に家族に伝えたい情報を一冊にまとめておけるノートです。各メーカーから様々な種類のものが販売されていますが、だいたい以下の項目が記入できるようになっています。

◆資産状況
◆携帯・パソコンについて
◆親族・友人などの連絡先
◆医療・介護について
◆葬儀・お墓について
◆家族へのメッセージ

資産状況は詳細に項目が分かれていることで、漏れなく記入ができます。たとえばクレジットカードや電子マネーといった項目があれば、思い出して書き記すことができます。また、資産状況は負債も含むので、借入金やローンの項目も重要です。

「エンディングノートって知ってる? これいいよ」とさりげなく渡してみるといいかもしれませんね。

話し合いを忘れずに

エンディングノートは、家族に伝えることを書き記すノートですが、根本は、自分のために自分の情報をまとめる役割を果たすものです。そのため人によっては、書いたことで満足してしまい、一方的な要望だったり、内容が伝わらないものだったりすることがあります。

そこで、エンディングノートの内容をもとに話し合い、親子間で「共通の認識」を作っておくことがたいせつです。

たとえば「A銀行の口座にはこの金額のお金が入っている」という情報だけでは足りません。通帳と印鑑の場所も知っておく必要があります。内容を確認して不十分なところは質問しておきましょう。

どうする?②介護が必要になったら

親が要介護の状態になったらどうするか、という点も事前に話し合っておきましょう。介護はお金だけの問題ではありません。

親が在宅介護を希望しても、子の状況からみて叶わないと判断したら、しっかりその旨を伝えるべきです。また介護施設に入る場合は、その資金はどこから出すのか、いくらまで出せるのかなど、いざその時がきて慌てることがないように、今から確認しておきましょう。

公益財団法人生命保険文化センターが行った介護に関する調査(※)によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)の平均額は、一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入などの合計)が69万円、月々の費用が7万8000円。

また、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)の平均は4年7カ月となっています。

これらの平均値から、(月々の費用)×(介護期間)+(一時費用)を計算してみると、494万1000円になりました。介護費用として約500万円は必要ということです。

※生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年度)

どうする?③「親亡きあとの家」

親が現在住んでいる家をどうするかというのも大きな問題です。

親が亡き後、家を相続することになった場合、相続人が1人であれば、特別な手続きもなくその家はその人のものとなりますが、兄弟がいる場合など、相続人が複数になると遺産分割をしなければなりません。現金と違って分けることが難しい家(不動産)を相続した場合の分割方法は4つあります。

    不動産を含む相続財産を現物のまま分ける(現物分割)

    不動産を売却して、現金にして分ける(換価分割)

    相続人の1人が不動産を相続して、相続しなかった者へ代償分の現金を払う(代償分割)

    不動産を相続人の共有財産としてそれぞれが持ち分を有する(共有分割)

1の現物分割は、たとえば長男には家、次男には有価証券、三男には車と現金といったように、遺産を現物のまま分ける方法です。「不動産は長男に」「預貯金は次男に」といったように、遺産ごとに相続人を決めるのでシンプルです。しかし、遺産の内容によっては不公平が生じやすいという問題もあります。

2の換価分割は、家を売却して現金化して分けるため、平等に分けることができます。しかし、その家が売却できることが前提なので、持っている不動産次第とも言えます。

3の代償分割は、たとえば兄が家を相続したら、その兄から他の兄弟に現金を渡して不公平をなくす方法です。家を売らずに済むことが利点ですが、家を相続したものが現金を持っていないと利用できない方法です。

4の共有分割は、面倒な手続きの先延ばしと言えます。不動産の共有状態は後々のトラブルの元となることがあります。

家については、相続財産としての価値や家の状態、場所など、様々な要因があるので、親の意見だけでなく相続人となる全員の意見を前もって聞いておくとよいでしょう。

親の財産を守ることも、子の務め

お金の話というのはなかなか切り出しにくいものです。しかし親に何かあった時に多かれ少なかれ問題となるのがお金のことです。

相続のような大きな話をいきなり話さずとも、たとえば、「急に入院した時に、必要になるものをまとめておいて」という話の続きに、保険証、通帳がどこにあるのか、加入している保険はどこかを聞いておくだけでも、いざという時に慌てずに済みます。

親の通帳を見るという行為は憚られると思いますが、何か高額な引落しがされていないか確認することで、高齢者を狙った詐欺や不正な請求などに気付くことができるかもしれません。

”親の財産を守ることも子の務め”と考えて、最近何か契約したものがないか聞いてみるのもいいでしょう。

元気なうちに親とたくさん話をする、それだけで親孝行にもなるでしょう。

参考資料

コクヨステーショナリー エンディングノート「もしもの時に役立つノート」(https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/life-event/ending/)

公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html)

相続サポートセンタ-「住んでいる家の相続をさせる場合の方法とは?相続財産を配分する方法と家を処分したくない場合の対処法について」(https://souzoku-pro.info/columns/isanbunkatsu/23/#toc_anchor-1-5)

相続弁護士ナビ「遺産分割とは 手続きの流れと親族と揉めた場合の対処法を解説」(https://souzoku-pro.info/columns/isanbunkatsu/23/#toc_anchor-1-5)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください