年金保険料が払えない!「免除」を受けたら受給額はどの位減る?
LIMO / 2021年9月27日 11時45分
年金保険料が払えない!「免除」を受けたら受給額はどの位減る?
収入が少ない場合に、国民年金保険料が全額・もしくは一部が免除になる制度があります。
長引くコロナ禍で先行きの見通しが立ちにくい状態は今しばらく続きそうです。それぞれどのくらいの収入で免除になるのか、また、免除となった場合に将来受け取ることができる年金額はいくらになるのかを知っておきましょう。
また、以前は収入がなくて免除してもらったけれど、今は収入があるのでその分を払いたいという場合の追納制度についてもご紹介します。
国民年金保険料「免除制度&納付猶予制度」
経済的な理由によって、国民年金の保険料が払えない人のために、保険料が免除、または納付が猶予される制度があります。
免除制度は、本人・世帯主・配偶者の前年の所得によって、保険料が全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除になる制度です。免除を受けるには申請書を提出して承認される必要があります。(参照:【図1】免除制度の所得基準と免除額)
たとえば、独身一人暮らしの場合、前年の所得が67万円以下であれば、国民年金保険料が全額免除されます。
◆納付猶予制度とは◆
国民年金保険料には免除制度のほかに「納付猶予制度」なるものがあります。
免除制度は承認された期間の保険料をその後払う必要はありませんが(追納によって払うこともできます)、納付猶予制度は、文字通り、納付を猶予してもらっているだけなので、将来保険料を追納することが前提となっています。
そのため、申請できる年齢が免除制度は20歳以上60歳未満であるのに対して、納付猶予制度は20歳以上50歳未満となっています。本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に申請によって利用できます。
免除制度も納付猶予制度も、承認された期間は老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にカウントされますが、年金額については、免除制度は免除の割合によって減額された金額が反映されるのに対し、納付猶予制度は反映されません。
言い換えれば、納付猶予制度は追納することが前提なので、猶予期間の年金額は計算しないでおくということです。そのため追納しないと年金額が増えることはありません。
免除期間の「老後の年金額」は、どのくらい減るの?
免除制度を利用すると、将来受け取れる年金額はどう変わるのでしょうか。保険料を全額納付した場合と比較しました。(参照:【図2】保険料免除期間の年金額)
令和3年4月分からの年金額は以下の式によって計算します。(参照:令和3年4月分からの年金額計算方法)
令和3年度の老齢基礎年金の満額(40年納付)は78万900円なので、40年全額免除となった場合は39万450円受け取ることができます。
追納制度で年金額を増やす
免除制度を利用すると、年金額が満額よりも少なくなりますが、あとから年金額を増やすために保険料を追納することが可能です。
追納ができる期間は10年以内。免除の承認を受けた期間の保険料について、過去 10年にさかのぼって納めることができるのです。
この制度を利用すれば、年金額を満額に近づけることができるだけでなく、追納した金額は社会保険料控除となり、所得税・住民税が軽減されます。収入が増えて追納が可能であれば、期限切れになる前に追納しましょう。
<追納に関する注意点>
追納ができるのは追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られます。
保険料免除・納付猶予を受けた期間のうち、原則古い期間の分から納付となります。
保険料免除・納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納をする場合は、当時の保険料に一定の金額が加算されます。
老齢基礎年金を受給している方は追納できません。
学生&プレママが知っておきたい「国民年金保険料」の制度
学生の方や妊婦の方には以下の制度があります。
◆学生納付特例制度◆
日本国内に住むすべての人は20歳になると国民年金の被保険者になります。学生であっても例外ではないため、在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられているのです。本人の所得が一定以下の場合に申請により猶予されます。
<令和3年度の所得基準>
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
家族と同居していても、家族の所得の多寡は問いません。本人の所得が基準以下であれば、申請によって利用が可能です。
◆産前産後期間の免除制度◆
国民年金の第1号被保険者が出産した際に、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度です。所得の多寡は問いません。
出産日(出産予定日)が属する月の前月から4ヵ月間の国民年金保険料が免除に。(多胎妊娠の場合は出産日が属する月の3カ月前から6カ月間)
産前産後期間の免除制度は、保険料が免除された期間も保険料を納付したものとして老齢基礎年金額に反映されます。
申請は出産予定日の6カ月前から可能です。(出産後も申請できます)
まずは年金保険料の「未納」を避ける!
国民年金には保険料を免除あるいは猶予する制度があり、これによって保険料が未納になることを避けることができるのです。未納期間が長期に渡ると、老齢年金がもらえなくなるだけでなく、障害年金や遺族年金ももらえなくなります。
保険料を納めることが厳しくなってきたら、忘れずに申請をして保険料の免除を受けましょう。
参考資料
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html#cms001)
日本年金機構「知っていますか?保険料の免除制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/seido-shikumi.files/LN04.pdf)
日本年金機構「老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-03.html)
日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html)
日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html#PTOP)
日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html)
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