偏差値で大学を選ぶ時代は終わり? 旧帝大など国公立でもAO入試が増加中
LIMO / 2021年9月29日 18時35分
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偏差値で大学を選ぶ時代は終わり? 旧帝大など国公立でもAO入試が増加中
来年1月実施の「大学入学共通テスト」の出願受付が9月27日から始まるなど、2022年度の受験シーズンが到来しています。この大学入学共通テストは、コロナ禍での入試となった2021年度、それまでの大学入試センター試験に代わり導入されています。
大学入試制度は、1979年に始まった共通一次試験、1990年からのセンター試験、そして大学入学共通テストへと時代と共に変化しています。また近年は、地方から大都市圏への若者流入を抑えようという私立大学の定員厳格化により、有名大学を回避する動き、いわゆる安全志向が話題となりました。
そして、この安全志向から、早めに大学合格手形が欲しい受験生がAO入試や推薦入試を利用する動きも加速。実際、平成31年度(2019年)から令和2年度(2020年)で私立大学のAO入試の志願者は約2万6000人あまり増加し、推薦入試の志願者も1万7000人超の増加となっています。
私立大学入学者の過半数はAO入試と推薦入試
慶応義塾大学の湘南キャンパス、通称SFCの設立とともに誕生したがのAO入試です。1990年度の総合政策学部と環境情報学部の2学部に入学希望する受験生に対して実施されたのが、日本におけるAO入試のスタートとされています。
AOとはアドミッションズ・オフィスの略称で、大学が独自の選考基準を設け、高校の成績、部活動や校外活動での活躍、面接や小論文から総合的に合否を決める入試制度。新しい入試制度として注目され、私立大学を中心に募集定員が年々増加していきました。
文部科学省の「令和2年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、私立大学ではAO入試または推薦入試で入学した新入学生は56.5%と過半数を占めるまでになっています。
しかし、学力選抜である一般入試組が減少していることで、入試方法による学生間の学力差があるのではという指摘もありました。安易なAO入試や推薦入試では大学に入っても講義についていけず、課題やレポート作成もままならない。そんな学生を生み出す可能性もあるという懸念です。
そこで、こうした問題を是正する動きが強まりました。2021年度よりAO入試は「総合型選抜」に、そして推薦入試は「学校推薦型選抜」と名称が変更されましたが、変わったのはそれだけではありません。
各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、または「大学入学共通テスト」の少なくともいずれか一つの活用が必須化されたのです。
旧帝大でも総合型選抜の枠は増えている
私立大学が実施しているイメージが強い総合型選抜(旧AO入試)ですが、近年は国公立大学でも積極的に募集人員を増やしています。
今年1月に文部科学省が公表した「令和3年度国公立大学入学者選抜の概要」によると、国公立大学全体で令和3年度の総合型選抜の募集人員は平成31年度より2000人近く増加。もはや私立の専売特許ではなくなりつつありますが、特に総合型選抜に力を入れていのは旧帝大でもある東北大学です。
難関国立大学の中では東北大のAO入試の歴史は長く、平成12年度(2000年)の入学者試験からスタート。総合型選抜にあたるAO2期とAO3期の2つの入試が行われています。令和3年度(2021年)では募集人員の3割をAO2期と3期が占め、大学の目標が達成されました。
ただし、東北大学の総合型選抜は決して簡単なものではなく、「調査書の学習成績概評がA段階に属する者」が必須条件です。また、AO2期では大学独自の筆記試験、3期では大学入学共通テストが必須と、一般入試組に引けをとらない学力が求められるレベルの高いものとなっています。
他の国公立大学でも、総合型選抜の出願条件に大学入学共通テストを盛り込み、受験生の学力を測る動きが見られています。東京大学の推薦入試でも大学入学共通テストは必須になっているなど、一般入試組との学力差が生じないよう配慮されていると言えます。
どの大学で何を学ぶかが重要に
少子化が進む中、大学入試は大きく変化しています。これまではセンター試験、現在の大学入学共通テストの結果で出願先の大学を決めることが主流でした。しかし、全ての国公立大学に通じるものではありませんが、今は「偏差値基準で選ばれる」から「学びたい学生を取る」へとシフトしてきています。
大学全入時代と言われるものの、国公立大学や人気の高い私立大学への合格はそう簡単なものではありません。倍率が高く、競争も激しい大学への進学を希望するのであれば、一般入試だけではなく総合型選抜・学校推薦型選抜も視野に入れて対策をしていくことも必要でしょう。
何を学びたいかを早い段階から考え始め、志望校を決めていくことの重要性が高まってきていると言えるのではないでしょうか。
参考資料
令和2年度国公私立大学入学者選抜実施状況(https://www.mext.go.jp/content/20210330-mxt_daigakuc02-000013863_1.pdf)(文部科学省)
令和2年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要(https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/1414952_00002.htm)(文部科学省)
令和3年度国公立大学入学者選抜の概要(https://www.mext.go.jp/content/20210201-mxt_daigakuc02-000012526_2.pdf)(文部科学省)
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