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土地付き一戸建てを買うのにいくら必要? 東京・大阪・名古屋圏の地域差

LIMO / 2021年10月6日 18時35分

土地付き一戸建てを買うのにいくら必要? 東京・大阪・名古屋圏の地域差

土地付き一戸建てを買うのにいくら必要? 東京・大阪・名古屋圏の地域差

この10年、住宅取得の所要資金は上昇傾向にありますが、地域による価格の開きはどのくらいあるのでしょうか。

住宅金融支援機構の「2020年度フラット35利用調査」では、フラット35(買取型または保証型)利用者の年収、購入した住宅の価格や広さなどを2021年3月末のデータに基づき集計しています。

そのうち、土地付き注文住宅(2万3892件)について、首都圏、近畿圏、東海圏の地域別に詳細を見てみましょう。

【一戸建て】所要資金と住宅・敷地面積の地域差は?

2020年度の土地付き注文住宅の所要資金(予定建設費と土地取得費を合わせた金額)の平均と住宅・敷地面積の平均を地域別に見たものは次の通りです。

所要資金(カッコ内は2019年度)

首都圏:5162.0万円(4993.3万円)

近畿圏:4539.7万円(4343.4万円)

東海圏:4412.2万円(4278.1万円)

住宅面積(カッコ内は2019年度)

首都圏:105.8㎡(105.8㎡)

近畿圏:111.2㎡(111.0㎡)

東海圏:114.8㎡(115.2㎡)

敷地面積※(カッコ内は2019年度)

首都圏:135.1㎡(136.8㎡)

近畿圏:150.7㎡(151.3㎡)

東海圏:200.7㎡(203.4㎡)

※1:敷地面積については外れ値があるため中央値を使用。

首都圏の所要資金は近畿圏より600万円超多く、東海圏を700万円超上回っています。また、前年度と比べ、各エリアで3〜5%アップしている反面、住宅・敷地面積は横ばいから微減という状況です。

【一戸建て】この10年で所要資金は約2割上昇

土地付き注文住宅の所要資金の推移を見ると、2010年度と2020年度の比較で首都圏、近畿圏では2割ちかく上昇しています(図表1参照)。

図表1:2010年度と2020年度の地域別所要資金平均と上昇率

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拡大する(/mwimgs/8/4/-/img_84daab58c34e0c2efe51fd3dac65dc9c45709.jpg)

出所:2020年度および平成22年度 フラット35利用者調査(住宅金融支援機構)より筆者作成

所得の伸びは住宅価格の上昇に追い付かず

では、この間の所得の伸びはどうだったのでしょうか。

国税庁の民間給与実態統計調査結果によると、平成22年度(2010年度)と令和2年度(2020年度)の男性の年齢階層別平均給与額※は図表2の通りでした。なお、令和2年度はコロナの影響があるため、参考として平成元年度の平均給与額も提示しています。

※2:1年を通じて勤務した給与所得者1人あたり

図表2:2010年度と2020年度の年齢階層別平均給与額と上昇率(全国・男性)

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出所:令和2年分、令和元年分、平成22年分民間給与実態統計調査(国税庁)から筆者作成

30~34歳では10年間で平均給与額は6.0%上がっているものの、住宅購入の中心時期にあたる35〜39歳では2.6%、40〜44歳に至っては10年前より減少しています。

年々共働き世帯が増加しているとはいえ、共働き世帯の女性の多くは非正規で働いていることを考えると、改めてマイホーム取得の厳しい現実がうかがえます。

【一戸建て】購入者の世帯年収、頭金、返済月額は?

次に、土地付き注文住宅購入者の世帯年収、手持金(頭金に相当)、月々の返済予定額の平均を地域別に見ていきましょう(図表2参照)。

世帯年収

首都圏:710.3万円(平均年齢:38.4歳)

近畿圏:631.8万円(同37.3歳)

東海圏:624.0万円(同38.3歳)

首都圏の購入者の世帯年収は、近畿圏、東海圏より80〜90万円ほど高くなっています。

年収倍率

土地付き注文住宅の年収倍率は全国平均で7.4倍と、マンションの7.0倍、建売住宅の6.8倍などより若干高めになっています。さらに、地域別では首都圏が7.9倍(前年度は7.7倍)と最も高く、近畿圏7.7倍(同7.5倍)、東海圏7.5倍(同7.4倍)となっています。

手持金(頭金に相当)

首都圏:534.8万円(購入価格の10.4%)

近畿圏:433.5万円(同9.5%)

東海圏:423.2万円(同9.6%)

首都圏、近畿圏、東海圏のいずれの地域でも、所要資金に対しておよそ10%の手持金(頭金に相当)を準備し、残りの90%程度を住宅金融支援機構とその他からの融資で賄っています。

毎月の返済予定額と総返済負担率

首都圏:14万300円(総返済負担率:25.4%)

近畿圏:12万3600円(同:25.0%)

東海圏:12万400円(同:24.6%)

月々の返済予定額は約12〜14万円。3つのエリアにおける総返済負担率(世帯月収に対する返済予定額の割合)は25%前後で、マンションや建売住宅が21%〜24%であるのと比べ、土地付き注文住宅はやや高めになっています。

また、総返済負担率の構成比では、25%以上の世帯が半数近くあり、30%以上の世帯も17.6%あります。ローン返済に加えて、固定資産税の支払いも考慮すると、実際の家計負担はかなり重くなっていると考えられます。

図表3:各エリアの所要資金、頭金、借入金、年収、年収倍率

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出所:2020年度 フラット35利用者調査(住宅金融支援機構)より筆者作成

【一戸建て】入念な資金計画を

2020年度のフラット35利用者調査では、コロナ禍中での案件が調査対象となっています。企業の多くが業績悪化した時期であるにもかかわらず、土地付き注文住宅の所要資金は昨年度調査より上昇。それに伴って、年収倍率や総返済負担率も上昇しています。

首都圏、近畿圏、東海圏別では、所要資金はもちろん、住宅面積や敷地面積にかなり違いがありますが、年収倍率や総返済負担率の高さは、いずれの地域にも共通しています。それゆえ、思わぬ収入減や教育費などの支出増も踏まえた入念なローン返済の計画が必要だと言えるでしょう。

参考資料

2020年度 フラット35利用者調査(https://www.jhf.go.jp/files/400357456.pdf)(住宅金融支援機構)

平成22年度 フラット35利用者調査(https://www.jhf.go.jp/files/100149418.pdf)(住宅金融支援機構)

令和2年分 民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)(国税庁)

令和元年分 民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf)(国税庁)

平成22年分 民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2010/pdf/001.pdf)(国税庁)

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