1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

阪急かOKストアか?関西スーパーの再編劇とは

LIMO / 2021年10月3日 7時0分

阪急かOKストアか?関西スーパーの再編劇とは

阪急かOKストアか?関西スーパーの再編劇とは

8月末に関西スーパー<9919>は阪急グループの小売り部門・H2Oリテイリングの傘下入りを発表し、関西では概ね好意的に受け止められました。しかし関東で安売りスーパーとして知られるOKストアが“待った”をかけています。

関西スーパーの約7%の株式を持つOKストアは関西スーパーとH2Oグループの経営統合に反対を表明し、自らTOBの方針を示すに至りました。

関西の企業同士の再編に関東の企業が“待った”をかける形となった関西圏でのスーパーの再編劇は、関西スーパーの10月29日の株主総会の行方が鍵を握ります。

関西スーパーが事実上の阪急グループ入りへ

H2Oリテイリング(以下、H2O:8242)は阪急阪神グループ<阪急阪神HD:9042>の小売部門であり、傘下には阪急百貨店や阪神百貨店に加え阪急オアシスやイズミヤなどのスーパーもあります。

近年、関西でスーパー事業の強化を進めているH2Oは2014年にイズミヤの買収を行うなど、関西スーパー業界において徐々に勢力を強めています。

そして本年8月31日にH2Oグループの阪急オアシス、イズミヤに関西スーパーを加えた3社の経営統合が発表されました。

大阪における阪急ブランドの強さ

関西、特に大阪では阪急グループに対するブランドイメージや信頼感は非常に高いといえます。阪急電鉄の沿線に住み、阪急百貨店で買い物をするというのが、大阪での古くからのステータスです。大阪人の阪急グループに対する信頼感は、他の大都市では同様の例はあまり見られません。(尚、阪急グループは阪神グループを2006年に子会社化しています)

関西スーパーのH2O=阪急グループ入りを聞いた多くの関西人は「阪急グループ入りするならいいじゃないか」というのが率直な感想だったのではないでしょうか。企業も社員も顧客も喜ぶ関西スーパーの阪急グループ入りであり、何事もなく着地すると思われましたが予想外の“待った”がかかります。

大株主のOKストアが関西スーパーの経営統合に反対 TOBも視野に

関西スーパーの阪急グループ入りに“待った”をかけたのが、OKストア(本社横浜市)です。

未上場企業で関西ではほとんど馴染みのないOKストア。ただ関東では、特売を行わない「エブリデイロープライス」の安売りスーパーとして有名であり、TVの情報番組などでも度々取り上げられています。

OKストアは関西スーパーの大株主(株式シェア約7%)でもあり、関西進出の足がかりとして関西スーパーとの関係強化を図ろうとしたものの、H2O(関西スーパーの株式シェア約10%の筆頭株主)に先を越された形です。しかしOKストアは関西スーパーに対し、大株主としてモノ申すことができる立場にあります。

OKストアは関西スーパーのH2Oグループ入りを決める株主総会の議案に反対を表明しました。更に株主総会でH2Oグループ入りの議案が否決された後に、関西スーパーの取締役会の同意があれば1株当たり2250円(1992年2月10日の上場来最高値と同値)で株式の公開買い付けによる完全子会社化を行う意向も表明しています。

関西スーパーはH2Oのスーパーと経営統合を行うには、自社の株主総会で特別決議(2/3以上の賛成)が必要です。関西スーパーはH2Oが筆頭株主(株式シェア10.65%)ですが、OKストアは第3位株主として7.69%の株式を持つ状態です(2021年3月期末時点)。比較的株主が分散する中で、関西スーパーの株主の25%以上がH2Oとの経営統合に反対すれば、現在の形での関西スーパーのH2Oのスーパーとの経営統合はなくなります。

順調に進むと思われた関西スーパーの阪急グループ入りは、一転暗雲立ち込める事態を迎えています。

10月29日の株主総会に注目

関西スーパーの今後について、まずは10月29日の株主総会が鍵を握るため、関西スーパーの株主の判断が注目されます。関西から見れば完全によそ者のOKストアですが、スーパー業界では効率的な経営を行う企業として知られる存在です。よってOKストアの経営及び店舗運営ノウハウを関西スーパーに移植することで、関西スーパーは高収益企業に生まれ変わる可能性があります。実際にOK側は、関西スーパーの1坪当たり売上高を数年以内に3割増やせるとしており、目に見える提携効果という観点ではOKストアとの提携が正解の可能性があります。

一方でH2Oのスーパー部門は、経営効率ではOKストアにかなわないかもしれません。しかし阪急グループの一角に加わるという安心感は、単なる数字では表すことができないブランド価値向上や社員や顧客のロイヤリティー向上に繋がります。関西スーパーの労働組合は既にH2Oとの提携を支持しています。

関西スーパーは当初の予定通り阪急グループ入りすることになるのか、それともOKストアがTOBで子会社化することになるのか、まずは10月29日の関西スーパーの株主総会の行方が注目されます。

参考資料

株式会社関西スーパーマーケット「当社とエイチ・ツー・オー リテイリング グループの経営統合(資本業務提携)、 株式交換によるイズミヤ株式会社及び株式会社阪急オアシスの完全子会社化、 親会社の異動、吸収分割による持株会社体制への移行、 商号変更その他の定款の一部変更並びに代表取締役の異動に関するお知らせ」(2021年8月31日)(http://www.kansaisuper.co.jp/upimages/irinfo/irnews_629.pdf)

オーケー株式会社「株式会社関西スーパーマーケットによる エイチ・ツー・オー リテイリンググループとの経営統合等に関するプレスリリースについて」(2021年9月3日)(https://ok-corporation.jp/media/001/202109/20210903_%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9.pdf)

株式会社関西スーパーマーケット「有価証券報告書」(2021年6月28日)(https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/E01EW/download?uji.verb=W0EZA104CXP001003Action&uji.bean=ee.bean.parent.EECommonSearchBean&TID=W00Z1010&PID=W1E63011&SESSIONKEY=1632823900081&lgKbn=2&pkbn=0&skbn=1&dskb=&askb=&dflg=0&iflg=0&preId=1&mul=%E9%96%A2%E8%A5%BF%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC&fls=on&cal=1&era=R&yer=&mon=&pfs=4&row=100&idx=0&str=&kbn=1&flg=&syoruiKanriNo=S100LMY1&s=S100LMY1)

株式会社商人舎「関西スーパーnews|H2Oとオーケーからの経営統合提案に関する見解発表」(2021年9月24日)(https://news.shoninsha.co.jp/m-and-a/180573)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください