【離婚とお金】「子どもの教育費」どうする?塾費用の支援も解説
LIMO / 2021年10月9日 18時35分
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【離婚とお金】「子どもの教育費」どうする?塾費用の支援も解説
コロナ禍による意識や環境の変化により、離婚に至る「コロナ離婚」。それまで何となく感じていた問題が浮き彫りとなり、離婚を決意したり、頭によぎったりされる方もいるでしょう。
女性が離婚を考えるとき、切っても切り離せないのがお金の問題です。2021年8月20日に発表された、株式会社イントラストが「養育費保証」について問い合わせのあった127人を対象にしたアンケート「新型コロナウイルスの影響による家計・仕事の状況と離婚・養育費についての意識の変化」によると、収入が「変わらない」方は57.5%、「減少した」方が34.6%。
収入が減少した方の理由は「勤務日数・時間の減少」が35.9%、「来客・注文・営業先の減少」が15.4%、「勤務先の休業」が12.8%、「失業のため」が10.3%と、仕事自体ができなくなってしまった方もいます。
「節約しても子どもの習い事や教育にお金をかけたい」という声は周囲でもよく聞こえます。しかし離婚となれば、生活費と同時に、それまでと同じような教育ができない不安も大きいでしょう。離婚後の教育費について、とれる対策をみていきます。
まずは母子世帯の現状を把握しよう
核家族の進む現代では、女性が1人で育児を行う「ワンオペ育児」の家庭が多いもの。1人で家事や育児を行うのは大変なため、産後は退職したり、復職するもパートで働いたりする女性が多いでしょう。
専業主婦や扶養内パートの方が離婚となると、まずは仕事探しや保育園探しから始まります。離婚後は安定した収入を求めるものですが、仕事と育児の両立や、ブランクがあると再就職自体も難しいため、そのはざまで悩む女性が多いでしょう。
実際に、厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要について」によると、母子世帯の母の就業状況は「正規の職員・従業員は44.2%、パート・アルバイト等が43.8%、派遣社員が4.6%、自営業が3.4%」。正社員とパートの方の割合はちょうど半分ずつですね。
また、母子世帯の平成27年の平均年収は、243万円です。
上記のような現状からまず考えたいのは、受けられる支援について、できる限りの情報収集をすることです。
大学費用について、受けられる支援の情報収集を
教育費の中で、最も大きいのは大学費用です。
大学費用についてまず検討を利用したいのが、2020年4月より始まった国の「高等教育の修学支援制度」、いわゆる大学無償化です。こちらの制度は大学・短大・専門学校などの入学金や授業料を支援してくれる「授業料等の減免」と、在学中の学生の生活費を一部支援してくれる「給付型奨学金」の2つが受けられます。
高等教育の修学支援制度
対象者
住民税非課税世帯とそれに準じる世帯。成績やレポートなどで本人の学習意欲の確認を行う。
支援は年収に応じて、3段階に分けられる。たとえばひとり親で子ども1人の場合、「年収約210万円で全額、年収約300万円で3分の2、年収約370万円で約3分の1」の支援が受けられる(これは目安であり、資産などとあわせて決定)。
支援内容
「授業料等の減免」
住民税非課税世帯なら「国公立大学で入学金約28万円、授業料約54万円(年額)、私立大学で入学金約26万円、授業料約70万円(年額)」
「給付型奨学金」
住民税非課税世帯なら「国公立大学の自宅生で約35万円、自宅外生で約80万円、私立大学の自宅生で約46万円、自宅外生で約91万円(年額)」
文部科学省の「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」によると、「私立文系の入学料は22万8262円、授業料:79万3513円、施設設備費は15万807円」です。支援区分によりますが多くが支援されるため、この制度を利用することで子どもの進学の選択肢が増えるでしょう。
また、2021年9月30日に発表された日本学生支援機構「『令和2年度学生生活調査』の大学昼間部の調査結果(速報値)」では、全国の学生298万2972人から抽出した9万654人に調査したところ、奨学金を受給している割合は以下のとおりです。
【大学中間部】奨学金の希望及び受給の状況
国立
受給者:42.3%
申請したが不採用:2.3%
希望するが申請しなかった:7.7%
必要ない:47.7%
私立
受給者:50.8%
申請したが不採用:2.2%
希望するが申請しなかった:5.6%
必要ない:41.4%
全体においても、奨学金の受給者は国立で約4割、私立でおよそ半数です。それだけ大学費用の負担が大きいことがわかります。奨学金の利用についても検討してみましょう。
塾代を助成してくれる自治体も
子どもの教育費に次いで、もう一つ悩みのタネとなるのが塾費用でしょう。塾費用が高額という噂を、一度は耳にされた方もいるのでは。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、公立学校の補助学習費(塾や通信教育費用など)とその他の学校外活動費(けいこごとなどの経費)の平均は、年額で「中学3年生は40万8000円、中学2年生は28万8000円、高校3年生は23万2000円」です。
ただし自治体によっては、塾代の支援や助成事業をおこなっています。たとえば東京都福祉保健局では、「受験生チャレンジ支援貸付事業」として無利子で貸付を行い、入学した場合には返済が免除されます。
東京都・受験生チャレンジ支援貸付事業
対象者
中学3年生・高校3年生又はこれに準じる方(中学3年又は高校3年に在籍していない進学を目指す高校中途退学者、高等学校卒業程度認定試験合格者、定時制高校4年生、浪人生など)
対象となる塾
一定期間以上、継続して生徒や学生に対して有償での学力の教授を直接、または通信で行うもの(ただし家庭教師は対象外)
貸付金の内容
学習塾等受講料…上限20万円(対象となる学習塾等の費用)
受験料(中学3年生又はこれに準じる方)…上限2万7400円(対象となる高等学校等の受験料を、1度で4回分の受験料まで貸付。1回分の受験料の上限は2万3000円)
受験料(高校3年生又はこれに準じる方)…上限8万円(対象となる大学等の受験料)
※貸付には一定基準以上の収入のある連帯保証人が必要(困難な場合は連帯借受人可)
※1人の子に対して、複数年度にわたる利用は不可。 ただし中学3年生で貸付を受け、高校3年生で再度申し込みは可能。
支援を受けるには、世帯収入や貸付対象の高校や大学などさまざまな条件があります。詳しくは自治体に問い合わせてみましょう。
これ以外にも塾費用の支援を行う自治体があったり、経済的に苦しい家庭に向けて無料で子どもに学習支援を行う「無料塾」が全国的に広がったりしています。こういった制度の選択肢をいくつかあげながら、利用できる制度を検討してみましょう。
悩む時間を情報収集にあてよう
離婚が頭によぎると考えるべきことが多く、さまざまな不安も出てくるでしょう。ただ大学無償化のように新たな教育費の制度ができたり、塾代の助成がある自治体もあったりと、利用できる制度もさまざまです。
特にお金周りのことは、意外と知られていない制度もあるもの。悩む時間を情報収集の時間に当てて、どのような支援が受けられるかを探したり、ニュースに目を通したりしてみましょう。
受けられる支援をあげ、残りの自分で貯めるべき教育費を計算すると、貯金額の目標が定まります。そこから、毎月いくら貯めていけば良いのかを計算してみましょう。具体的な数字にすることで、「これならできそう」という落としどころが見つかるでしょう。できないことよりも、できることに比重をおいてを探してみてくださいね。
参考資料
イントラスト「コロナ禍における収入や養育費・ 離婚手続きへの影響に関する調査結果のお知らせ」(2021年8月20日)(https://www.entrust-inc.jp/press/2021/784/)
厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html)
文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm)
文部科学省「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」(https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_1.pdf)
東京都福祉保健局「受験生チャレンジ支援貸付事業」(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/teisyotokusyataisaku/jukenseichallenge.html)
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」(https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html)
独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」(2021年9月30日)(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/2020.html)
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