NISAとつみたてNISAの違いとは?どっちがおすすめ?
LIMO / 2021年10月15日 18時35分
NISAとつみたてNISAの違いとは?どっちがおすすめ?
一般NISAやつみたてNISAといった税制優遇制度ができたことをきっかけに資産運用に興味をもつ人も増えていますね。
「NISAは非課税」と一度は耳にしたことがある人も多いでしょう。
うまく使いこなすことができればメリットのある制度ですが、「制度=ルールがある」ことは忘れないでおきたいですね。
非課税部分だけが先行し、一般NISAとつみたてNISAの違いがよく分かっていないという人も多いのですが、後から「思っていたのと違った」とならないために、それぞれのルールをよく知っておくことが大切です。
そこで今回は、NISA制度の違いと選び方について解説します。
一般NISAの特徴と注意点は?
一般NISAは2014年1月に金融庁監督のもとスタートした、少額からの投資を行う方向けの非課税制度です。
日本証券業協会「NISAの口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)について」によると、一般NISAは761万口座が開設されています。
■一般NISAの主な特徴
利用できる方:日本に住む20歳以上の方
非課税投資枠:新規投資額で毎年120万円まで
非課税期間:投資をした年から最長で5年間
非課税対象商品:上場株式、株式投資信託、ETF、REIT等
通常、投資で得た利益に対しては20.315%の税金がかかりますが、一般NISA口座で購入した株式や投資信託等から出た利益は非課税で受けとることができます。
仮に10万円の利益が出た場合、10万円をまるごと受け取れるのは嬉しいメリットですね。
反対に損失が出た状態で売却した場合、NISA口座以外で運用している金融商品との損益通算はできません。
そのため、一般NISAを利用する際は売却のタイミングに注意しましょう。
一般NISAの非課税期間5年が終了するときには「売却」「課税口座に移行」「翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)」の3つの選択肢があります。
その時の運用状況や、家計の状況にあわせた方法を選びましょう。
つみたてNISAの特徴と注意点は?
つづいて、2018年1月からスタートしたつみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
先述の日本証券業協会の資料によると、2021年6月末時点のつみたてNISAの口座開設数は262万口座です。
■つみたてNISAの主な特徴
利用できる方:日本に住む20歳以上の方
非課税投資枠:新規投資額で年間40万円まで
非課税期間:投資をした年から最長で20年間
非課税対象商品:一定の条件を満たした公募株式投資信託・上場株式投資信託(ETF)に限定
つみたてNISAは1年あたりの投資枠は40万円と大きくないものの、非課税期間は20年と一般NISAの4倍の期間をかけて運用することができます。
また、つみたてNISAを通じて投資できる金融商品は「長期の積立・分散投資」に適した投資信託で、一定の条件を満たした商品に限定されています。
たとえば、投資信託の場合「販売手数料がかからない(ノーロード)」「運用管理費用(信託報酬)が一定以下」など運用に関するコストが低いものや、「分配金が頻繁に支払われない」ものなど、商品の仕組みが長期投資向きのものが設定されています。
つみたてNISAの非課税期間が終了するときには、「期間内で売却する」「課税口座に移行する」の2つの選択肢があります。一般NISAと違い、ロールオーバーはできないルールです。
一般NISAとつみたてNISA、どっちがいい?
「制度についてはざっくり分かった!」という方も、気になるのは「どっちのNISA制度をつかった方がいいのか」ではないでしょうか。
一般NISAとつみたてNISAは同時に利用することができないルールになっているため、今回は5つのケース別にNISA制度の選び方をご紹介します。
■運用初心者がはじめるなら?→つみたてNISA
一般NISA、つみたてNISAを通じて購入する株式や投資信託などは、日々値動きがあるため、元本保証がありません。そのため、非課税期間が終わるタイミングで元本が割れていると、非課税のメリットを受けることができなくなります。
一般NISAの場合、非課税期間が5年と短く、ロールオーバーはできるものの、初心者の方が安定した運用成果を出すのに期間が十分であるか、判断が分かれるところです。
その点、つみたてNISAなら20年の非課税期間があり、積立でリスク分散を行いながら、じっくり運用することができます。「長期・積立・分散投資」に適したファンドが厳選されていることも安心材料になるでしょう。
■手軽に分散投資がしたいなら?→つみたてNISA
つみたてNISAを通じて購入できる投資信託、ETFの多くは、日本を含め世界各国のさまざまな株式指数などに投資されています。そのため、ひとつのファンドを購入するだけで自動的に分散投資ができる仕組みになっています。
■個別の株式を購入したいなら?→一般NISA
つみたてNISAは購入できる金融商品が限られており、個別の株式を購入することができません。
■1回でまとまったお金を投資したいなら?→一般NISA
まとまったお金を一括で投資する方法はハイリスク・ハイリターンになりやすい手法です。つみたてNISAはリスクを平均化できる「少額からの長期つみたて投資」を支援する制度のため、まとまったお金を一気に投資することはできません。
■リスクを抑えて老後資金を準備したいなら?→つみたてNISA
資産運用において、運用年数が長いほどリターンが安定化するという性質があります。
短い運用期間で利益を増やすというのはテクニックや銘柄選びの腕に大きく左右されます。
老後資金は数千万単位の大きなお金が必要になるため、テクニックよりも時間をかけることを優先するほうが結果的に安定度の高い運用ができるでしょう。
法改正により2024年以降、つみたてNISAの口座開設可能期間は現行の2037年までだったのが、2042年まで5年間延長されます。現役世代のうちに時間をかけて老後資金を貯めようと考えている人にとって、メリットの大きい内容と言えるでしょう。
NISA・つみたてNISAをはじめるには?
一般NISAかつみたてNISAか、どちらの制度を利用したいか決まったら、まずは自分の好きな証券会社を選んで口座を開設しましょう。
口座開設申し込みの際は、一般NISA専用口座とつみたてNISA専用口座があるため、間違えないように注意してください。
口座開設の際にはマイナンバーと証券口座への入出金をおこなう銀行口座が必要になりますので、事前に準備しておくとスムーズに手続きができます。
商品のラインナップが多いことや、ポイントの付与・利用を重視したい方はネット証券がおすすめです。
開設手続きなどが苦手で誰かにサポートしてほしいという方は、ラインナップは少ない傾向にありますが、証券会社や銀行など窓口のある金融機関で開設すると良いでしょう。
口座開設には審査があり、開設完了まで1週間~1ヶ月程度かかることもあります。
「◯月には運用を始めたい!」と目標がある方は早めの申し込みがおすすめです。
まとめにかえて
今回は、一般NISAとつみたてNISAの違いについてみてきました。
「銀行にあずけていても増えない」「日本経済の低迷」「人生100年時代」と、私達をとりまく社会や経済状況は厳しいものになっていますから、資産運用は必須の時代と言えるでしょう。
NISA制度は「貯蓄から投資へ」の流れを促進するために作られた制度ですが、誰でもはじめての投資は不安があるものです。
大切なお金と時間をかけて行うものですから、自分にあった制度や金融商品を選びたいと迷うのは当然ですよね。
最近では無料で受けられるマネーセミナーもあります。まずは情報を集めてみることをおすすめします。
参考資料
総務省統計局「人口推計-2021年(令和3年)9月報-」(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202109.pdf)
日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況結果(2021年6月30日現在)について」(https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/nisaall.pdf)
金融庁「NISA特設ウェブサイト」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/overview/index.html)
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