1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

幼保無償化で浮いたお金は習い事へ? 子育て世代の家計負担は減ったのか

LIMO / 2021年10月23日 20時15分

写真

幼保無償化で浮いたお金は習い事へ? 子育て世代の家計負担は減ったのか

少子化の一つの要因として挙げられるものに経済的な問題があります。一般的に子育てで一番大きなお金が動くのは大学・短大や専門学校への進学時ですが、幼児期の保育所や幼稚園、認定こども園などの保育料が家計に占める割合も見過ごすことはできません。

フルタイム、パートタイムという勤務体制の違いに関わらず、仕事を継続して行うには子どもを預かってもらう施設が必要です。しかし、収入の大半を保育料として支払うと、手元に残るお金はごくわずかというケースも珍しくありませんでした。

こうした子育て世代の実情を踏まえ、家計の負担軽減を目指して「幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)」が2019年10月からスタートしたのです。

無償化は3歳児から5歳児が対象

幼保無償化の対象は、幼稚園や保育所、認定こども園、あるいは地域型保育施設に通う3歳から5歳の子どもたちです(いわゆる年少・年中・年長にあたります)。また、就学前の障害児発達支援も無償化されました。

一方、乳児である0歳児から2歳児は対象外となっています。ただし、内閣府の公式ホームページ上に記されているように、住民税非課税世帯の場合は利用料が無料になります。

筆者の場合、3番目の子が幼稚園に通っているときに幼保無償化が開始されました。保護者側の手続きは難しいものではなく、制度がスタートする前に園から渡された申請書の必要事項に記入して提出すれば済みました。

そのとき周囲では、これを機に何かしらの習い事を始めようという家庭もあって、”無料化効果”を実感したものです。ただ、それまで払っていた保育料が途中からなくなったことで、負担が軽くなったことをより強く感じたのかもしれないと、今振り返って思います。

幼稚園では無償化の限度額が決まっている

さて、保育料の無償化といっても幼稚園では無償化になる月額の上限は2万5700円までと決まっています。

制度がスタートする前後に保育料の値上げをする私立幼稚園が全国各地でみられたことは、大手メディアも報じていましたが、この上限を超えた場合は保護者負担になります。たとえば月の保育料が3万円であれば4300円を支払うことになるのです。

そして幼稚園に限らず、全ての費用が無償化になるわけではありません。入園料、給食費やおやつ代、通園のバス代や卒園アルバム、冷房費や暖房費などは変わらず支払いが発生します。

こうした出費を合計すると結構まとまった金額になります。そのため「保育料がないから」と安心していると、出ていくお金にがく然とすることになりかねません。毎月のお金の流れはしっかり把握する必要があるでしょう。

習い事の低年齢化、幼稚園児の学校外活動費はいくら?

また、習い事の低年齢化も進んでいます。文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、幼稚園児の学校外活動費(補助学習費及びその他の学校外活動費の合計※)、いわゆる習い事にかかる年間平均額は次のようになっています。

公立幼稚園:8万3895円(補助学習費2万2564円、その他の学校外活動費6万1331円)

私立幼稚園:16万5658円(補助学習費4万8229円、その他の学校外活動費11万7429円)

※ 補助学習費:予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習をするために支出した経費(家庭内の学習に使う物品・図書費、家庭教師費、学習塾費など)。その他の学校外活動費:知識や技能を身に付け、豊かな感性を培い、心とからだの健全な発達を目的としたけいこごとや学習活動、スポーツ、文化活動などに要した経費

なお、保育園は厚生労働省管轄のため、学習費調査に相当するデータはありませんが、幼児期に習い事に通うことは珍しいことではなくなっています。

さらに、小学校では2020年度から英語教科化やプログラミング教育がスタート。それに伴って就学前の習い事も多様化しています。幼保無償化で浮いたお金を習い事に回した家庭も少なくないのではないでしょうか。

先行き不透明な時代、子育て費用のシミュレーションを

幼保無償化は子育て世代の家計負担軽減を目指して始まりました。あれから2年が過ぎましたが、コロナ禍で生活様式が激変し、子育て世代も大きな影響を受けています。直近は新規感染者数は減少していますが、いつ新たな変異株が出現するか、経済状況への影響がいつまで続くのか、見通しが立たない状況です。

また、世界が不安定化しているなか、今後も社会が激変するような出来事が起きないとも限りません。給与の伸びが期待できないどころか、収入減のリスクと隣り合わせにある時代に、無償化だけを手放しで喜んでいる余裕はないでしょう。

家庭にもよりますが、やはり20歳前後まで教育費はかかります。「まだ小さいから」と楽観視せず、子どもの進学や進路のシュミレーションを複数行い、長い目でお金の流れを考えて備えることは平時から意識したいところです。

参照資料

「幼児教育・保育の無償化」について(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html)(内閣府)
平成30年度 子供の学習費調査(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf)(文部科学省)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください