最近ブームの米国株式。証券会社員に聞いた「日本株との違いとメリット」
LIMO / 2021年10月27日 18時45分
![最近ブームの米国株式。証券会社員に聞いた「日本株との違いとメリット」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_25579_0-small.jpg)
最近ブームの米国株式。証券会社員に聞いた「日本株との違いとメリット」
最近、個人投資家の間で米国株式ブームが来ているという報道を目にすることがあるのではないでしょうか。
これまでは日本企業の株を取引することが一般的と思われていましたが、最近ではネット証券を利用して米国株に投資する人が増えていると言われています。実際、2020年の楽天証券の米国株式サービスでは、約定件数が前年比11倍、取引する顧客数が前年比5倍になっているという報告もあります。
そこで今回は、証券会社で働く4人に日本株式と米国株式の違いについて聞いてみました。最近の米国株式ブームを見て「米国株投資を始めてみようか」と思っている人は参考にしてみてください。
少額で株が買える
ネット証券勤務で20代のAさんは、少額で株が買えることが米国株式の何よりの魅力だと言います。
「日本株は1単元100株で、1単元からの購入が一般的。つまり、1株1000円の株があったら1000円x100株で10万円から購入するのが普通だけれど、アメリカ株は1株から購入できる。日本株でも、単元未満株と言って基本の1単元以下で購入できる仕組みを用意している証券会社もあるが、それだと手数料がかなり割高になる」とのこと。
少額で購入できるというのは個人投資家にとっては非常に大きなメリット。中でも、手元資金が少ない若年層の個人投資家が、このメリットを利用して米国株投資を始めるケースが目立つと言います。
実際、まだ経験が少ないので少額から株式投資を始めたいという人にとって、100株からしか購入できない日本株は少しハードルが高いのかもしれません。
誰もが知る超有名企業に投資できる
「何より、アップル、マイクロソフト、アマゾンといった誰もが知る有名企業に気軽に投資できるところがいい」と言うのは、対面証券会社勤務で30代のBさん。
「日本企業の有名企業、たとえばトヨタは最近株式分割したから少し買いやすくなったものの、以前は1単元(100株)購入するのに100万円以上の資金が必要だったし、ソフトバンクは60万円以上、任天堂は1株5万円以上するので500万円以上の資金が必要になる。これでは誰でも気軽に買える金額とは言い難い」と話します。
その点、世界的有名企業を多数抱えるアメリカは、IT関連企業のほかにもテスラ、エクソン・モービル、ナイキ、コカ・コーラなど、日本人に馴染みのある企業を数え始めるとキリがありません。
身近でよく知っている会社に投資をするのは日本株でも同じこと。私たちが普段使っているスマホやPCのみならず、飲み物やスポーツ衣料など、実際に買ったことのあるモノをつくっている会社だと「ちょっと投資してみようかな」という気になるのではないでしょうか。
ただ、有名な海外の企業に投資できる一方、米ドルで購入するため、日本円と米ドルの為替の値動きによっては損失を被る可能性があります。
つまり、保有する株が値上がりしたからといって、円高のときに円貨決済で売却すると為替の影響で値上がりによる利益が目減りするどころか損をするリスクもあるのです。そのため、株価の値動きだけでなく、為替の値動きにも目を配る必要があることを頭に入れておきましょう。
日本株とは成長性が違う
ネット証券勤務の20代Cさんは「やっぱり日本株との一番の違いは成長性だと思う」と言います。
「米国株を語るときによく言われる話だけれど、日本とアメリカのそれぞれの代表的な株価指数である日経225(日経平均)とNYダウを比べると、NYダウの成長力が圧倒的!」と続けるCさん。
「この30年間でNYダウは約12倍になった。一方の日経225は今年何度か3万円台を回復したが、これは実に31年ぶりのこと。つまり、やっと30年前の水準に戻った状況。日本はこの先人口が減少していくし、今後どれだけ成長していくのかと言われると疑問」と説明します。
たしかにアメリカの場合は、多少のアップダウンはあれど長い目で見ると株価指数はずっと右肩上がりです。一方、日本の場合は経済成長を実感できず、将来に不安を感じる人も少なくないのではないでしょうか。
もちろんアメリカにしても不安がゼロではありませんが、今の米国株人気を見ると、アメリカは多くの問題を抱えながらも成長していく力があると考える人が多いのでしょう。
高配当銘柄がウレシイ
やはりネット証券勤務で30代のDさんは「アメリカの株は高配当銘柄が多いのがうれしい。アメリカには株主優待がない代わりに、配当で株主還元をするという文化がある」と話します。
「『配当貴族』という長期にわたって毎年増配している企業もあって、長期保有する妙味があるというか…。もちろん株主優待を楽しみたくて日本株式を買うというのもアリだし、配当を楽しみに米国株式を買うのもアリ。自分の好みに合わせて選ぶのがいいと思う」と話します。
アメリカには確かに配当貴族と言われる高配当銘柄が多数存在します。毎年配当を増やすというのは、その企業の努力がうかがえるというもの。ただ、配当がほしいのか、株主優待がほしいのかは人によってさまざまです。日本株・米国株の両方を視野に入れて、自分の目的に沿った選択ができるといいですね。
ただし、米国株の配当金に課される税金は日本株の配当金に課される税金と少し違う仕組みになっているので注意が必要です。
米国株の配当金は、アメリカで10%の税金が差し引かれたあとに、さらに日本で20.315%が課されることになります。このような二重課税を調整するために「外国税額控除」という規定があり、一定額を所得税の額から差し引くことができます。
この「外国税額控除」を受けるためには、確定申告書等に所定の明細書などを添付する必要があります。米国株の取引をする場合には、事前に税金に関する情報を整理しておきましょう。
まとめ
今回4人の証券会社員に聞いたように、米国株には日本株にない魅力があります。もちろん日本株にもいいところはたくさんありますし、情報の得やすさや身近さという面では日本株に軍配が上がることでしょう。
まずは投資の目的や自分の得たいものをしっかり考え、興味を持った方はさらに情報収集してみてはいかがでしょうか。
参考資料
楽天証券×楽天銀行口座連携サービス「マネーブリッジ」、自動入出金(スイープ)機能が米国株式取引に対応(https://www.rakuten-sec.co.jp/web/company/newsrelease/pdf/press20210405.pdf)(楽天証券)
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