シルバー民主主義を何とかしたい? 選挙結果が変わらなくても若者の投票が必要な理由
LIMO / 2021年10月24日 18時45分
シルバー民主主義を何とかしたい? 選挙結果が変わらなくても若者の投票が必要な理由
自分の投票で当選者が変わることはないだろうが、それでも投票すること自体が大事だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。
自分一人では当選者は変えられないが・・・
選挙に行くのは面倒だと感じている人は多いでしょう。わかります。独裁政権を倒して民主主義を確立した国では、投票できることが嬉しくて仕方のない人々が選挙に行くと言われていますが、日本では、そうしたことはないですから。
年齢別に見ると、高齢者と比べて若者は選挙の投票率が低くなっています。若者の方が忙しいということもあるでしょうし、楽しいことがたくさんあるから選挙に足が向かないということもあるでしょう。
しかし、「自分の投票によって当選者が変わるわけではないから、投票は無意味だ」と考えている人も多いと思います。これは、ある意味で大変合理的な考え方です。
村長選挙などは知りませんが、過去の国政選挙で当選者と次点の差が1票だったという例を筆者は知りませんし、確率的にもほとんど起きないと思います。それなら、自分が棄権しても結果は変わらないのだから、投票に行くより昼寝を選ぶというのは理屈にかなっているように見えます。
もっと合理的に見えるのは、与党と野党の支持者が同数ずつ選挙をサボることです。恥ずかしながら、筆者は与党支持者2人と野党支持者2人で麻雀に興じていたことがあります。4人とも投票に行っても麻雀を続けても結果は変わらないということで、4人が合意した結果だったわけです(笑)。
しかし、今になって考えれば、投票に行くという行為自体が重要なので、投票に行くべきだったのです。なにも「投票は国民の義務だから」などと言うつもりはありません。投票することで、当選者は変わらなくても世の中は変わるからです。
シルバー民主主義を変えるには投票するべき
シルバー民主主義という言葉があります。政治家は、若者のための政策よりも高齢者のための政策を優先するという意味の言葉です。
政治家の立場で考えてみましょう。高齢者は人数が多い上に投票率も高いので、高齢者を怒らせるような政策を採用すれば次の選挙で酷い目に遭うかもしれません。したがって政治家には、高齢者の喜びそうな政策を採用するインセンティブがあるわけです。
しかし、若者は人数が少ない上に投票率も低いので、若者を怒らせても次の選挙で酷い目に遭う可能性は高くないでしょう。それならば、若者のための政策を後回しにして高齢者のための政策を優先するのが政治家としての人情というものでしょう。
この状況を変えるには、若者が投票に行くことが重要です。年齢別の投票率を見て、「最近は若者が投票するようになったから、若者を怒らせるような政策は採用できない」と政治家が考えるように若者が努力することです。
投票したい候補者がいなくても投票所には行こう
立候補者のリストを見たけれども、投票したい候補者がいないという場合もあるでしょう。小選挙区制では、自分の選挙区に自分の支持政党の候補者が立候補していないということがよくあるからです。
あるいは、普段から政治には興味が無いので、支持政党もなければ政治家の演説も聞いたことがなく、誰に投票したら良いかわからないという人もいるでしょう。
そうであっても、自分が与党支持か野党支持かを考えて、どちらかに投票すれば良いでしょう。ちなみに、難しい話は置いておいて、与党というのは今の政府のやりかたに大筋として賛成している政党で、野党というのは今の政府のやり方に大筋として反対している政党だと考えれば良いでしょう。今は自民党と公明党が与党で、自民党と公明党以外はすべて野党だと考えて良いでしょう。
以下は暴論です。本当に政治のことがわからなくて、与党に入れるべきか野党に入れるべきかわからないという人も、投票には行きましょう。そして、白票(投票用紙に何も書かずに投票する)を投じれば良いのです。
それでも、政治家たちは、若者が選挙に足を運ぶようになったと認識するでしょうから、若者に嫌われるような政策は採用しにくくなるはずです。政治家には、誰が白票を投じたのかわかりませんから。
もちろん、せっかく投票に行くのだから、投票所で5分か10分スマホで選挙に関するニュースを見て、第一印象でどちらかに投票すれば良いのです。しかし、「そんな面倒なことをするくらいなら棄権する」という人がいると困りますので、それよりは白紙投票の方がマシだ、ということですね。
ここまで書いて、筆者は大いに反省しました。筆者はもうすぐ高齢者なので、シルバー民主主義に頑張ってほしいわけです。若者に投票を呼びかけて、シルバー民主主義が採用されなくなると、筆者が困るわけです。まあ、せっかく書いたので、今回はこのまま寄稿することにしますが(笑)。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
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