シングルマザーのお財布事情は?生活上のお金の工夫も3つ紹介
LIMO / 2021年10月23日 7時0分
シングルマザーのお財布事情は?生活上のお金の工夫も3つ紹介
2021年10月19日に公表された明治安田生命が0歳から6歳までの子どもがいる既婚男女1100人(うち女性550人)に行った「子育てに関するアンケート調査」によると、子育て中の女性の収入は過去最高で163万円でした。
一方で、厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」では、母子世帯の母自身の平成27年の平均年間収入は243万円です。
子育て中の働き方は、周囲に頼れる人がいるかや子どもの年齢などに大きく左右されるもの。産後に退職してブランクがあったり、育児環境により働き方をセーブしたりする女性もいるでしょう。
生活費や子どもの教育費、自分の老後資金などを捻出していくためにも、できるだけ余分な支出は下げたいところ。シングル世帯のお財布事情と、生活する上でのお金の工夫についてご紹介します。
単身世帯の平均年収と貯蓄は?
一般的に母子家庭には、所得に応じて児童扶養手当やひとり親家庭等医療費の助成があります。ただ母子家庭の母の平均年収は、先ほど確認したように243万円。就業状況を見ると、「正規の職員・従業員」が44.2%、「パート・アルバイト等」が43.8%です。
国税庁の「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」から、正規・非正規の平均給与をそれぞれみてみましょう。
正規
平均給与: 496万円
うち男性:550万円
うち女性:384万円
非正規
平均給与:176万円
うち男性:228万円
うち女性:153万円
非正規の方の平均給与は、正規の方の約半分以下になります。
仕事と育児の両立の難しさから、非正規で働くシングルマザーの方も少なくありません。こういった給与の差をみると、子どもの成長にあわせて働き方についても考えていきたいですね。
貯蓄に関する一つの参考として、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」から、30~60代の単身世帯の貯蓄の平均値と中央値をみていきます。
単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)
30代:平均値・327万円/中央値・70万円
40代:平均値・666万円/中央値・40万円
50代:平均値・924万円/中央値・30万円
60代:平均値・1305万円/中央値・300万円
上記を比較してみると、平均値は年齢が上がるごとに約300万円前後上がります。一方の実態に近いであろう中央値では、50代まで100万円に届きません。60代の中央値300万円は、退職金が影響していると考えられるでしょう。貯蓄を保有する人と、持たざる人との差がみえてきます。
では、シングルマザーがひとりで生きていく上でのお金の工夫を3つみていきましょう。
車を保有するか、保有するならいつまでか
「支出を抑えたい」と考えたとき、まずはじめたいのが固定費の見直しです。生活費の中で最も多くを占めるのは家賃でしょう。どこに住むかは大切な問題ですが、同時に考えたいのが車を保有するか、保有するならいつまでかです。
自動車の購入価格は新車なら一般的に100万円以上かかり、定期的に買い換える必要があります。一般社団法人 日本自動車工業会の「2019年度乗用車市場動向調査の概要」によると、前保有車 (買い替え前に保有していた車)の保有期間は平均7.1年(新車で7.7年、中古車で5.9年)。年々長期化しており、新車では10年超の長期保有者が約3割を占めますが、それでもおよそ10年ごとにまとまったお金がかかります。
また、車検や自動車税、任意保険料、ガソリン代、駐車場代などの維持費もかかります。同調査による、車の年間維持費は以下の通り。
年間維持費(2019年・四輪自動車保有層)
~10万円:8%
~20万円:26%
~30万円:26%
~40万円:14%
~50万円:13%
それ以上:14%
「~20万円」と「~30万円」が26%ずつ。維持費の負担については46%が「大きい」と答えています。中でも「車検代」が約9割、「自動車税」や「任意保険料」は7割以上が負担感が大きいと感じています。
車を保有する限り、10年ごとの買い替えや年20万円前後の維持費が必要になります。仕事をしている間は支払いができても、定年後には大きな負担になるでしょう。保有する限り、「何歳まで運転できるだろう」といった不安も残ります。健康なときは運転できても、病気をすると思うように運転できない場合もあるでしょう。
ただ、車のいらない場所は家賃が高いイメージもあります。とはいえ主要部から少し離れた街なら家賃が想像していたより高くなかったり、地方都市では車がなくても生活できたりする地域があります。
住む地域の選びようによっては、車を保有しないほうが生活費が安く、また「買い替え続けないといけない」という不安を持たなくて済みます。
シングルマザーの場合、仕事と育児を両立する上では当面車が必要という方もいます。そういった方でも、車をいつまで保有するかを考えてライフプランを練るといいでしょう。
将来、仕送り費用がかからない方法を考える
子どもの希望する先へ進学させたいと思う方は少なくないですよね。大学費用については、2020年4月より始まった「高等教育の修学支援制度」、いわゆる大学無償化制度が利用できる方もいるでしょう。
これは大学・短大・専門学校などの入学金や授業料を支援してくれる「授業料等の減免」と、在学中の学生の生活費を一部支援してくれる「給付型奨学金」の2つが受けられる制度。
支援は収入に応じて3段階に分かれており、ひとり親の年収の目安は以下のとおりです。
ひとり親世帯(母のみが生計維持者の場合)の目安年収
支援:「第1区分(住民税非課税)/第2区分(準ずる世帯)/第3区分(準ずる世帯)」
子1人(本人): ~約210万円/~約300万円/~約370万円
子2人(本人・高校生) :~約270万円/~約360万円/~約430万円
子3人(本人・高校生・中学生): ~約270万円/~約360万円/~約430万円
子3人(本人・大学生・高校生): ~約350万円/~約450万円/~約510万円
シングルマザーの平均収入を考えると、この制度を利用しながら子どもの望む先へ進学が叶う方もいます。
一方で、教育費以外にお金がかかるのが仕送り費用です。高等教育の修学支援制度でも学生生活費の支援が一部ありますが、それ以外に準備すると大きな金銭的負担になります。
2020年10月30日に発表された日本政策金融公庫の令和2年度「教育費負担の実態調査結果」によると、自宅外通学を始めるための費用(アパートの敷金や家財道具の購入費など)は入学者1人当たり平均39.3万円。自宅外通学者への仕送り額は、年間平均90.3万円(月額7.5万円)です。毎月の負担を考えると大きいでしょう。
仕送り費用の負担がなければ、その分教育費にかけられる場合もあります。子どもが小さいうちなら、仕送りが必要ない場所への引っ越しを検討するのも一つ。その際は先ほどの家賃や車といった支出のほか、どのような仕事があるかという収入面、また母子家庭への支援など、さまざまな面から見て考えましょう。
中古品を上手に活用する
日常生活においては、フリマアプリやリサイクルショップの多い現代、何でも新品で購入するのではなく中古品の検討もしてみましょう。
たとえばゲームのソフトなら、中古で十分使用できます。洋服についても、安くて質の良い品が見つかることもあるでしょう。
何でも新品という価値観から、まず中古で探してみるのも一つ。掘り出し物があり、喜びになることもあるでしょう。うまくフリマアプリを利用して、「買うのと売るのを同時に行う」のもいいですね。
新品を買ったり、何も売らないでいたりするよりも、節約になる可能性があります。
長い目で考えよう
ものは持てば持つほど、お金がかかります。特に車はそういった面が大きいでしょう。周りに物があるほど、新しい物がほしくなるという特性もあります。持っている物を減らすことでかかるお金も減らせるので、さまざまな工夫で支出を抑える方法を考えてみましょう。
また、収入や貯蓄を増やす方法については、子どもの成長とともに、長い目で見て考えてみては。子どもが入園、入学、小学校高学年、中学生といった成長段階で、女性の働き方は変えられます。情報収集をして、自分に合った方法を考えてみてくださいね。
参考資料
明治安田生命「明治安田生命 子育てに関するアンケート調査を実施 」(https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2021/pdf/20211019_01.pdf)
厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html)
国税庁「令和2年分(2020年)分民間給与実態統計調査」調査結果報告(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html)
一般社団法人日本自動車工業会「2019年度乗用車市場動向調査の概要」(https://release.jama.or.jp/sys/news/detail.pl?item_id=1920)
日本政策金融公庫「子ども1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は増加」(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r02.pdf)
文部科学省「支援対象者の要件(個人要件)等〈所得に関する要件と目安年収〉」(https://www.mext.go.jp/content/20210330-mxt_gakushi01-1409388_06.pdf)
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