地方で「伸び伸び子育て」の落とし穴。高校進学時に慌てても遅い!?
LIMO / 2021年11月4日 20時15分
地方で「伸び伸び子育て」の落とし穴。高校進学時に慌てても遅い!?
子どものいる世帯では、自然豊かな環境で子育てをしたいと考える方は少なくないでしょう。一方、人口減少が進む地方自治体では、積極的に子育て世代の移住をサポートする取り組みが行われています。国も地方移住の情報を発信するなど、東京一極集中の是正を進めることに意欲的です。
たとえば総務省は今年3月、コロナ禍を契機に関心を集める地方移住の推進に関するレポート「『地方への人の流れの創出』に向けた効果的移住定住推進施策事例集」を発表。自然豊かな環境で生活を送る魅力や各自治体の施策を紹介しています。
テレワークで注目を集める地方移住
昨年来、テレワーク(あるいはリモートテレワーク、在宅ワーク)という言葉が、メディアで頻繁に取り上げられるようになりました。これまでテレワークは一部の職種に限定されていましたが、コロナ禍で在宅勤務が推奨され、オンライン会議が盛んに行われるようになるなど、家で仕事ができる体制がこの1年で急激に進んでいます。
それに伴い、都市部に比べれば住居費が安く、広い間取りの家に住める地方への移住に注目する人も出ているようです。そんななか、自治体と連携して地方移住を支援している認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に住む20歳から74歳の男女1万5千人を対象に調査を実施。
10月7日に発表された結果を見ると、地方移住に関心があると答えたのは全体の6.4%、具体的に計画しているのは2.1%。年代別で移住に関心がある割合をみると、男性の20代~30代と40代がそれぞれ8.1%、女性では20歳~30代が7.0%、40代が6.8%と現役世代で高い傾向が出ています。
子育て面を考えると、大都市圏に住んでいる場合、周りの子は習い事や受験勉強に忙しく、近所の仲間と思うように遊べないという環境もあります。その一点、地方では平日にギッシリ習い事の予定が入っているという多忙な子どもは多くなく、自然が身近にある環境で伸び伸びと子育てができるという魅力があります。
しかし、地方での子育ては良いことばかりではありません。特に進学面では都市部に比べて選択肢が少なくなるという現実を認識する必要があります。
進学の選択肢が限られている
地方では小・中学校は学区の公立学校に通うのが普通で、高校受験が人生初の受験という子どもが大多数です。仮に地方移住した家庭の両親がともに大都市圏出身という場合、子どもの高校進学を考え始めると、都市部に比べ極端に進学先が少ないことに気付くはずです。
まず、トップ高校は自治体の県庁所在地にあることがほとんどです。地方といっても中心部に住んでいれば自転車での通学も可能ですが、家が郊外にある場合は1時間に1本、2本というバスに揺られて通うか、親による車での送迎しかないというケースもあります。
また、周囲に何もない場所では日が落ちた後の夜道を照らすのは街灯のみ。周りが真っ暗になり防犯上危険を伴います。しかも、平日の最終バスは夜の7時台の1本で終了という場合もあり、公共交通機関が充実している都市部とは比べものにならないほど通学の足は限定されています。
少子化が進んでいることから高校再編も行われており、高校の数も少なくなっています。そうなると、細かい偏差値刻みで進路先を選ぶことが難しく、子どもに合う学校がなかなか見つからないということも起こりえます。
地方での生活には良い面も多いですが、進学時の選択の幅が狭く、通学するのも大変で、さらに交通費がかさむという現実に直面する可能性があることを忘れてはいけないでしょう。
幼少期の自然体験と進路のどちらを重視するか
都市部と違い、地方都市では温泉やハイキングを楽しむために出かけると、車で30分程度で目的地に到着できるという利点もあります。子どもが小さいうちは、こうした自然との距離の近さは嬉しいものです。
しかし、そうした環境のみを追い求めてしまうと、子どもが成長した時に進学で悩む可能性も否定できません。今はまだ幼くても、あっという間に子どもは大きくなり羽ばたいていきます。
本気で地方に住むことを考えている場合は、中心部から遠くなく、交通機関が相応に充実している地域など、子どもの高校進学時に支障をきたさない場所を選択肢に入れることは外せません。
子育て世代の移住は地方の活性化につながりますが、親の一方的な願望を通すのではなく、子ども自らが選択できるような環境を作ることを意識したいものです。
参考資料
「地方への人の流れの創出」に向けた効果的移住定住推進施策事例集(https://www.soumu.go.jp/main_content/000742996.pdf)(総務省)
ふるさと回帰支援センターが初めて移住に関する調査を実施(https://www.furusatokaiki.net/wp/wp-content/uploads/2021/10/webnews_20211008_furusato_questionnaire.pdf)(認定NPO法人ふるさと回帰支援センター)
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