つみたてNISAって本当におすすめ?デメリットや注意点を解説
LIMO / 2021年11月7日 10時45分
つみたてNISAって本当におすすめ?デメリットや注意点を解説
インフルエンサー等のSNSで「つみたてNISAをやらないと損!」といった情報をみて、つみたてNISAを始めてみたという方が増えています。
実際に、日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)」によると、2021年6月末現在でつみたてNISA口座を開設している人のうち85.7%は投資未経験者でした。
逆にいえば、つみたてNISAを始めている人で「以前に投資の経験がある人は14.3%しかいない」ということも言えます。
投資は自己責任が原則です。本記事では始める前に知っておきたいつみたてNISAのデメリットと注意点について解説していきます。
つみたてNISA制度をおさらい
2018年にスタートした少額投資非課税制度「つみたてNISA」は、投資未経験者に投資ブームを起こした火付け役といえる存在です。
まずは、つみたてNISAのメリットとあわせて、投資の基本について簡単におさらいしておきましょう。
通常、投資をおこなうには、証券会社で総合口座(課税口座)をつくり、投資信託などの金融商品を購入します。
購入した金融商品が値上がりしたり、分配金が支払われたりすることで投資家の利益になるというのが投資の基本です。
投資で得た利益に対しては原則20.315%の税金がかかりますので、例えば10万円の利益が出た場合の手取りは約8万円ということになります。
つみたてNISAの場合、つみたてNISA専用の非課税口座を利用するため、利益に対する税金はかかりません。
現時点でのつみたてNISAを利用できる期間は2037年までですが、2024年の法改正により2042年まで期間が延長されることになっています。
つみたてNISAの3つのデメリット
つみたてNISAの口座開設数は、2018年末が53万口座、2019年末は95万口座、2020年末に172万口座となり、2021年6月末時点では262万口座と、対前年比で52.0%増えています。(日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)」調べ)
とくに2020年の新型コロナ流行以降はお金に対する不安が高まり、貯金から投資へと後押しされた背景もあるでしょう。
とはいえ、万人にとって万能な制度をつくるのは至難の業です。
つみたてNISAの落とし穴とも呼べるデメリットについても解説していきます。
■デメリット①税金がかかる場合がある
年間40万円までの掛け金を最大20年の間非課税で運用できることは、つみたてNISAのメリットとしてご存知の方も多いでしょう。
非課税期間終了の20年をむかえるときに利益が出ている状態であれば、つみたてNISAのメリットを受けることができます。
一方、非課税期間が終了するときに損失が出ていた場合はその時の時価が取得価格となります。損失が出た状態で課税口座に移して運用を続け、元本を回復した場合は利益とみなされ税金がかかる対象になります。
■デメリット②投資できる商品が限定されている
つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁の定めた基準をクリアした公募株式投資信託やETF(上場株式投資信託)に限られています。
長期投資に向いた投資信託をある程度絞ってくれているという点では初心者には始めやすいでしょう。
その反面、個別株やREIT(不動産投資信託)等つみたてNISAでは購入できない商品もあります。
投資に慣れてきて、投資の幅を広げたいという場合には課税口座を利用して投資する必要が出てくるでしょう。
■デメリット③非課税で投資できる上限が少ない
つみたてNISAで投資ができる金額は、年額40万までです。
月になおすと3万3333円ですから、あくまでも少額投資を支援する制度となっています。
「少額・つみたて」の投資法に限られるため、大きな元手資金を効率的に増やしたいという場合は他の運用方法を検討することもひとつの方法です。
つみたてNISAの4つの注意点
つづいては、つみたてNISAを始める上での注意点をみていきましょう。
■短期間でお金を大きく増やすことは難しい
つみたてNISAは、つみたて投資専用の非課税制度です。
つみたて投資はコツコツ時間をかけておこなうものですから、最初のうちは利益がでても少しです。
つみたて投資は長期間実施することで大きな資産を作る方法だと考えましょう。
■元本保証はない
つみたてNISAは、金融庁が選定した商品とはいえ元本保証はありません。
そのため「必ず増える」「損をしない」というわけではないということは覚えておきましょう。
■つみたてNISA口座は、1人1口座(1金融機関)しか開設できない
つみたてNISA口座は、複数の金融機関で開設することができません。
別の金融機関に変えたい場合は、年単位での変更となるため翌年以降の切り替えとなります。
また、変更の際には金融機関変更の書類を提出する必要があります。
■投資非課税枠は再利用できない
たとえば、これまで購入してきた投資信託Aを売却し、投資信託Bに切り替えたいとなった場合、売却した投資信託Aの枠を使って再度非課税で投資をすることはできません。
「非課税枠は使いきり」ということは覚えておきましょう。
まとめにかえて
これまで投資をしたことがない多くの方は、「投資は利益に税金が取られるから」やらなかったわけではないと思います。
「投資はよく分からないから」・「投資はリスクがあるから」やらなかったという理由が多数ではないでしょうか。
つみたてNISAには、通常の投資方法にはない「一定期間中の利益は非課税」というメリットがあります。
しかし、通常の投資にないメリットをつくったことで、通常の投資にはないデメリットも産まれています。そのことを理解した上で、つみたてNISAが自分に合っているかを判断していきたいですね。
参考資料
日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)について」(https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/nisaall.pdf)
金融庁「つみたてNISAの概要」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html)
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