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【共働き世帯】ひと月の育児・教育費はいくらか。想定を上回る現実の子育て支出

LIMO / 2021年11月10日 18時15分

【共働き世帯】ひと月の育児・教育費はいくらか。想定を上回る現実の子育て支出

【共働き世帯】ひと月の育児・教育費はいくらか。想定を上回る現実の子育て支出

年々増加する共働き世帯。総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」によると、2020年の共働き世帯は1240万世帯で、専業主婦世帯の571万世帯の倍以上になっています。

そんな中、松井証券は共働き世帯の男女・合計700人を対象に(注1)、「育児・子育て」に関する実態調査を実施。共働き世帯が育児や教育にどのくらいお金をかけているのか、また将来の教育費用の準備などについて聞いています。以下、官公庁の統計と合わせ、出費や貯蓄の実態を見ていきましょう。

注1:調査対象は、12歳以下の子供がいる共働き3人世帯の20-50代 男女計600人(男性300人/女性300人)、6歳未満の子供がいる共働き3人世帯の20-50代 夫婦50組(男性50人/女性50人)。

想定していたより高い育児・教育費用

まず、子供が生まれる前に育児・教育費用(注2)が1ヶ月にいくらかかると想定していたかを聞いたところ、想定金額は全体の平均で育児費用が月4.3万円、教育費用が月4.1万円。

これに対して現在実際にかかっている金額は、育児費用が5.6万円、教育費用が4.7万円と、想定していた以上にお金がかかっているという結果になっています。

2019年10月に始まった「幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)」で、幼稚園、保育所、認定こども園等に通う3歳から5歳までの利用料は無償化されています(幼稚園については月額上限2万5700円)。ただ、通園のバス代や給食の食材料費、行事代などは保護者負担になります。

また、0歳から2歳までの子どもについては住民税非課税世帯のみが無償化の対象になっていますので、多くの場合、この間に職場復帰をして保育園等を利用するとその費用がかかることになります。

注2:育児費用とは乳幼児にかかる食費、日用品費、被服費、医療費、保育費などの費用。教育費用とは乳幼児~学童期にかかる塾や習い事などの費用。

教育費用として1ヶ月に3.9万円を貯蓄

次に貯蓄面を見てみます。子供の教育費用の貯蓄をしているかという質問に「貯蓄をしている」と回答したのは78.0%。そのうちの半数以上は子供が誕生した後に貯蓄をスタートしています。

平均貯蓄額は月3.9万円。子供の年齢別では、以下の通り3歳未満での貯蓄額が最も多いという結果でした。

3歳未満:月4.6万円

3歳以上6歳未満:月2.9万円

6歳以上12歳未満:月3.7万円

共働き夫婦の3組に1組が「育児資金の準備」に不満

また、共働き夫婦50組100人に「育児で満足していないこと」を聞いたところ、1位「育児にかけている時間」(34.0%)、2位「夫婦間の育児分担の割合」(32.0%)、3位「育児資金の準備」(31.0%)となっています。

意外とかかる習い事や塾のお金

一方、子供の習い事には水泳やサッカー、野球などのスポーツ系、ピアノや絵画などの芸術系、そして学習塾や英会話スクール、プログラミングなど、さまざまなものがあります。こうしたことにかかる金額の統計は、文部科学省の「子供の学習費調査」(隔年で実施)にまとめられています。

平成30年度の調査結果によると、1年間に保護者が支出した幼稚園と小学校の子供1人あたりの学校外活動費(注3)は次の通りです。

<幼稚園・学校外活動費>

公立:8万3895円(月あたり約7000円)

私立:16万5658円(月あたり約1万4000円)

<小学校・学校外活動費>

公立:21万4451円(月あたり約1万8000円)

私立:64万6889円(月あたり約5万4000円)

注3:家庭教師や学習塾などの「補助学習費」と、各種習い事や体験活動など「その他の学校外活動費」の合計。

子供がやりたいものに絞って習わせるにしても、毎月の月謝はかさみます。筆者の2人の子供たちも水泳やそろばん、通信教育をやっており、時折見直しをしてはいるものの毎月かかるお金は安くはありません。

また、2人とも公立の小学校に通っていますが、給食費や教材費、高学年になると修学旅行の積み立て金なども必要になります。さらに、放課後や夏休みなどに学童を利用すれば、その費用もかかります。

一般的に公立はお金がかからないというイメージではありますが、こうした費用は意外と見落としがちかもしれません。

共働き世帯の妻は忙しい

総務省が5年ごとに実施する「社会生活基本調査」の平成28年度の生活時間に関する結果を見ると、6歳未満の子供がいる共働き世帯の妻は、4時間以上の仕事をこなしながら家事や育児のほとんどを担っているということがわかります(図表1参照)。

図表1:共働き世帯と専業主婦世帯の行動の種類別生活時間

(/mwimgs/f/c/-/img_fc307007c419fd619abf2e4e02e6bf89160052.jpg)

拡大する(/mwimgs/f/c/-/img_fc307007c419fd619abf2e4e02e6bf89160052.jpg)

出所:平成28年 社会生活基本調査(総務省)をもとに筆者作成

ある番組で女優の菅野美穂さんが、子育てについて「子供を洗って湯冷めしないうちに自分も出ないといけないので、ボディソープで(洗髪も含めて)全身を洗ってた」と発言したことに対し、ネットなどでは女性の共感の声が上がっていました。

このように、仕事と家事育児のかけもちで目が回るような忙しい毎日の中では1分1秒も惜しいもの。教育資金のことまでゆっくり考える余裕は、体力的にも精神的にもないというのが正直なところではないでしょうか。

ただ、記事の前半で紹介した松井証券の調査では、育児に満足している夫婦の約8割が資産運用をしているという調査結果もありました。

共働き夫婦は財布を別々にしていることも多いですが、夫婦で将来のお金について話し合えるというのは、お互いが相手を信頼している証だと言えます。結果的に子育て以外の満足度も高めることにつながるのではないでしょうか。

おわりに

経済の停滞が続き、給料が上がらない今の時代、共働きでないと子供の習い事や塾代を捻出することはなかなか難しいでしょう。

我が子に十分な教育を受けさせたいと考えるのは親の常。しかし、子供のためにとついお金をかけ過ぎてしまうのは、課金ゲームと揶揄される教育資金のマイナス面だと言えます。

だからこそ、どのように資金を準備するかを夫婦で話し合い、周りに流されることなく冷静な判断をしていくことが大切なのではないでしょうか。

参考資料

専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2020年(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html)(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)

「育児・子育て」に関する実態調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000019241.html)(松井証券)

平成30年度 子供の学習費調査の結果について(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf)(文部科学省)

平成28年社会生活基本調査 生活時間に関する結果要約(https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/youyaku2.pdf)(総務省)

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