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NISAのロールオーバー「するか・しないか」はこう見極める

LIMO / 2021年11月7日 11時45分

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NISAのロールオーバー「するか・しないか」はこう見極める

~非課税期間がもうすぐ終わる人へ~

2017年にNISA口座で購入した株式・投資信託などの非課税期間は2021年12月末で終了します。そこで秋頃から年末にかけて、ロールオーバーの案内を目にする機会が多くなっていませんか?

今日は、NISAで投資をするなら知っておきたいロールオーバーについて解説します。「そもそもロールオーバーとは?」「ロールオーバーを選んだ場合・選ばなかった場合のメリット・デメリット」などを整理していきましょう。

NISAの「ロールオーバー」とは?

株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。一般NISAでは毎年120万円の非課税投資枠が設けられ、5年間非課税で運用ができます。

5年間の非課税期間が終了した時に、NISA口座で保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移すことを「ロールオーバー」といいます。ロールオーバーをすれば、最大10年間非課税で運用が可能です。

ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超えている場合でも、その全額を翌年の非課税投資枠に移すことができます。ただし、120万円の非課税投資枠を使い切っているため、その年は新たにNISA口座での買い付けはできません。

<ロールオーバーの留意点>

ロールオーバーができるのは一般NISAとジュニアNISAです。つみたてNISAはロールオーバーができません。

ロールオーバーをするには、翌年分のNISA(一般NISA・ジュニアNISA)が開設されている必要があります。

ロールオーバーをするには、定められた期間までに所定の手続きをする必要があります。(※金融機関によって、期日や手続きの方法が異なります)

NISAの非課税期間が終了。ロールオーバーをするか・しないか

5年間の非課税期間の終了に伴って、取るべき選択は次の3つです。

    翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)

    課税口座(特定口座/一般口座)に移す

    売却する

それぞれにメリットとデメリットがあるので、それも含めて見ていきましょう。

(/mwimgs/9/6/-/img_960d37b7aafa4bd0e415e374a37dc196152676.jpg)

拡大する(/mwimgs/9/6/-/img_960d37b7aafa4bd0e415e374a37dc196152676.jpg)

金融庁「NISAの基礎知識」を参考に筆者作成

1. 翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)

ロールオーバーを選択すれば、さらに5年間非課税で運用できます。

NISA口座の場合、利益が出ている時には、非課税になるメリットがありますが、損失が出ている場合は、その損失は「なかったこと」にされます。

損失がないということは、他の利益から損失を差し引いて、税金を減らすことができる「損益通算」ができません。また、損失を3年間繰り越してその間の利益と相殺できる「繰越控除」もできません。

そのため、NISA口座で含み損が出ている場合は、売却はせず、課税口座に移してから売却するか、ロールオーバーをして、含み損が含み益に変わるまで運用を継続するのがよいでしょう。

*メリット:さらに5年間非課税で運用ができる

*デメリット:NISAでの損失は「損益通算」「繰越控除」ができない

2.課税口座(特定口座/一般口座)に移す

課税口座に移す場合は手続きは不要です。そのため、期日までにロールオーバーの手続きをしないと、課税口座に払い出されます。

特定口座を開設している場合は、特定口座へ、開設していない場合は一般口座へ払い出されます。課税口座では払い出し時点の時価が「取得価格」となることに注意しましょう。

非課税期間終了時点で保有資産が値下がりしている場合、その値下がりした価格が取得価格となるので、その後値上がりして利益が出ると、最初から課税口座で運用していた場合よりも多く課税されてしまいます。

<例>

NISA口座で120万円で購入した金融商品が、5年間の非課税期間終了時に100万円に値下がりした場合、その100万円が課税口座の新しい取得価格となります。

(/mwimgs/6/0/-/img_605c502ab0cf11bd39ea034a5d04d7c970921.jpg)

拡大する(/mwimgs/6/0/-/img_605c502ab0cf11bd39ea034a5d04d7c970921.jpg)

出典:金融庁「NISAのポイント」

①その後、130万円に値上がりして売却した場合、30万円に課税されます。
②その後、80万円に値下がりして売却した場合は、利益がないので課税されません。

①のケースでは、最初から課税口座で運用していれば、利益は10万円なので、それよりも多く税金を払うことになります。

②のケースでは、20万円の損失となるので、他の利益と損益通算ができます。

*メリット:損失が出た場合に「損益通算」「繰越控除」ができる

*デメリット:利益に課税される

3.売却する

5年間の非課税期間が終わらないうちに売却する方法です。NISA口座での売却なので、値上がりによる利益は非課税となり、値下がりによる損失は損益通算・繰越控除ができません。

*メリット:利益に課税されない

*デメリット:損失は「損益通算」「繰越控除」ができない

5年の非課税期間が終了する時に、保有資産が値上がりしているか、値下がりしているかで、3つの選択のうちどれを選んだらいいのかが判断ができます。

値上がりしている場合は、売却して利益を確定してもよし、ロールオーバーをしてさらに値上がりを期待するのもよいでしょう。値下がりしている場合は、NISA口座では売却せず、課税口座に移してから売却すれば、損益通算ができます。

また値下がりしている場合は、ロールオーバーを選択して、さらに5年間運用を続けて値上がりするのを待つという方法もあります。運用状況や今後の動向にも注目して判断できるとよいでしょう。

2024年、NISAが変わる!

さいごに、これからのNISAについて簡単に触れましょう。

2024年から、NISA制度が新しくなります。変更点は大きく3つです。

    つみたてNISAは、現行の制度内容を維持し、期限を5年間延長

    一般NISAは、制度の見直しを行い、2階建ての新NISAとなり5年間延長

    ジュニアNISAは、延長せずに2023年末に終了

2階建ての新NISAは、1階部分がつみたてNISAと同様の運用方法で非課税枠20万円、2階部分が今までの一般NISAと同様の運用方法で非課税枠102万円となり、非課税枠は合わせて年122万円となります。

ジュニアNISAは2023年末で終了となりますが、ロールオーバーをすることで引き続き20歳まで非課税で保有することができます。(2024年以降は、新規買い付けはできず、売却のみ可能)。

また、子どもが18歳になるまでは払い出しができないという制限がありましたが、2024年以降は制限がなくなり、払い出しが可能となります。

NISA制度は、少額からの積立・分散投資をさらに促進する方向で制度の見直しが行われています。家計の安定的な資産形成を目指して、積極的に活用していきたいですね。

参考資料

金融庁「NISA特設ウェブサイト」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html)

金融庁「NISAのポイント」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/point/index.html)

金融庁「令和2年度税制改正について(令和元年12月)」(https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/zeikaitaiko01.pdf)

SBI証券「NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA」(https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_nisa&cat1=nisa&cat2=nisa&dir=nisa&file=nisa_rollover.html)

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