子育て世帯が知っておきたい、2022年から「傷病手当金」の支給期間の変更
LIMO / 2021年11月23日 11時45分
![子育て世帯が知っておきたい、2022年から「傷病手当金」の支給期間の変更](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_26090_0-small.jpg)
子育て世帯が知っておきたい、2022年から「傷病手当金」の支給期間の変更
これまでパートの方でも従業員501人以上の企業に勤め、一定要件を満たせば社会保険へ加入できましたが、2022年10月より従業員数が101人以上の企業へと適用が拡大されます。来年の変更を前に、パートの方は社会保険に加入しようか迷われているのではないでしょうか。
健康保険に加入すると給付される手当金の一つに、「傷病手当金」があります。傷病手当金とは、病気やケガをして働けない場合、条件を満たせば給与の3分の2相当が支給されるもの。生きている限り病気やケガのリスクは誰しもあるので、「もしもの時」でも給与の3分の2相当が支給されると心強いでしょう。
この「傷病手当金」ですが、2022年より支給期間の捉え方が変更されます。傷病手当金の詳細と2022年の変更点について確認しましょう。
「傷病手当金」とは?
傷病手当金は、病気やケガなどで休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。国民年金に加入している方は原則支給されませんが、社会保険に加入すると支給されます。
病気やケガをして仕事を休む場合、以下の4つの条件を満たすと傷病手当金が支給されます。条件を確認しましょう。
業務外の事由による病気やケガの療養のための休業である
仕事に就くことができない
連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
休業した期間について給与の支払いがない
給与の支払いについては、支払いがあった場合でも、傷病手当金の額よりも少ないとその差額が支給されます。
期間については、病気やケガの療養のために仕事を休んだ日から、3日間は「待機」期間となります。この3日間は会社を休んだ日から連続して3日間である必要があります。「待機3日間」を休み、翌日4日目以降仕事に就けなかった日から、最長で1年6ヵ月間受け取ることができます。
この「支給期間」について、2022年1月1日より改正されます。
最長1年6カ月の支給期間が「通算」に
これまで傷病手当金が支給される期間は、「支給開始した日から」最長1年6ヵ月でした。支給開始日~1年6ヶ月の間に職場に復帰して給与の支払いがあれば、その期間は不支給期間になります。そうなると1年6ヶ月分すべてをもらうことはできませんでした。
また、支給開始後に1年6ヵ月を超えた場合、仕事に就くことができないくても傷病手当金は支給されません。
しかし2022年1月1日より、この1年6ヶ月が「通算」に変わります。途中で不支給だった期間はのぞいて、「1年6ヶ月分」は支給されるようになりました。
厚生労働省が2020年3月26日に公表した「傷病手当金について」によると、協会けんぽにおける傷病手当金の疾病割合で多くを占めるのは「精神及び行動の障害、新生物(がん)、循環器系の疾患、筋骨格系・結合組織疾患」など。平均支給期間は164日 (精神疾患:212日、新生物:180日)です。
また、同資料によるとがん患者の約3人に1人は20代~60代で罹患。悪性新生物の治療のために仕事をしながら通院している人は36.5万人です。
新生物(がん)や循環器系の疾患は珍しくない病気です。たとえば子育て中の女性がこれらの病気になって仕事を休む場合、収入が減るだけでなく、子どもを預ける費用など想定外の出費もかかるでしょう。
このようなリスクを考えると、病気やケガをしても条件を満たせば来年からは通算で1年6ヶ月間給与の3分の2相当が支給されると心強いですね。
出産手当金と傷病手当金はどちらが優先?
社会保険に加入すると、「出産手当金」も貰えるようになります。出産手当金は「出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)~出産日の翌日以降56日」まで、会社を休んで給与の支払いがなかった期間に給与の3分の2相当が支払われる制度です。
出産手当金と傷病手当金を両方受給できる場合、出産手当金のみが支給されます。ただ、この2つは支給日額が異なる場合があるため、出産手当金の方が傷病手当金より少ない場合があります。
この場合は傷病手当金を請求することで、出産手当金との差額が支給されます。
これまで見てきたように、社会保険に加入することで傷病手当金や出産手当金が支給されることは、育児をする女性にとって嬉しいポイントでしょう。
社会保険に加入するかどうかは、それぞれのご家庭の事情があります。ただこういった制度の変更を頭に入れておくと、総合的な判断ができるでしょう。
参考資料
日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html)
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html)
厚生労働省「「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保 険法等の一部を改正する法律」の成立について」 (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000797412.pdf)
全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/)
厚生労働省「傷病手当金について 」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000619554.pdf)
全国健康保険協会「出産手当金について」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311/)
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