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【SDGs】優待で人気なイオンのESG戦略とは?その注目点と評価

LIMO / 2021年11月28日 11時0分

【SDGs】優待で人気なイオンのESG戦略とは?その注目点と評価

【SDGs】優待で人気なイオンのESG戦略とは?その注目点と評価

~株式投資の重要ヒント!有名企業のESG戦略分析シリーズ~

昨今、国内外で「SDGs」への注目度が急速に高まっています。当然、上場企業でもSDGsに関する取り組みを積極化する動きが見られ、セットで語られることの多い「ESG」と併せて株式市場でも重要な情報と見られています。今回はSDGs、ESGの基礎を簡単に説明したうえで、個人投資家にも人気のあるイオンのSDGs戦略を解説したいと思います。

SDGs・ESGを簡単におさらい!

SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の意味であり、国連加盟国が「持続可能でよりよい世界」を目指すために設定した国際目標です。具体的には、「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」といったように社会の抱える問題を幅広くカバーした目標が計17個定められており、日本を含めた多くの国がその達成に向けて努力している状況です。なお、SDGsの全ゴールについては末尾に参考情報として掲載していますので、ご参照ください。

SDGsについては、国だけでなく各企業も取り組んでいます。社会が持続可能であることはもちろん、企業にとっては事業が持続可能であることも重要であり、それに向けた取り組みに関する情報を積極的に開示しています。

そして、企業のこうした取り組みを評価しようとする動きが、金融市場でも広まっています。SDGsに関連している「環境」「社会」に加え、「企業統治」の計3点に対する企業の姿勢を、投資判断の際に考慮するという動きです。これは環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)のそれぞれの頭文字を取ってESG投資と呼ばれ、国内外の機関投資家を中心に急速に広まっています。また、上場企業にとっては投資を受けられるか否かに直結するテーマでもあるため、投資家からの目を意識した情報開示も広まりつつあります。

イオンのSDGs・ESG戦略のポイントを解説!

「環境(E)」と絡めて、イオンのような大規模な小売店の事業の持続可能性を考えた場合、「仕入れの柔軟さ」「温室効果ガスの削減」などが特に重要となってきます。仕入れの柔軟さとは、様々な環境の変化においても、仕入れを止めることなく安定して続けられる仕組みといえるでしょう。温室効果ガスの削減については、業務体制や取り扱う商品において二酸化炭素(CO2)を出さないための工夫を取り入れるということになります。

これらの点で、イオンはどのような取り組みを行っているのでしょうか。仕入れの柔軟さについては、「イオン持続可能な調達原則」という独自ルールのもと、以下の取り組みを実践しています。

自然資源の違法な取引・採取・漁獲を排除する

生物多様性保全、自然資源枯渇防止の観点でイオン基準を設定・運用する

再生不可能な資源の利用については最小限に留める

農産物や漁業資源の産地、漁獲方法などのトレーサビリティを確立する

林産物において保護価値の高い森林の破壊を防止する

また、農産物、畜産物、水産物、紙・パルプ・木材、パーム油といったように資源ごとに調達方針と目標を設定している点も、きめ細やかです。具体的な取り組みの例としては、天然まぐろ資源に依存しない完全養殖まぐろの販売を開始・強化するなどしています。

温室効果ガスの削減については、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つの視点で、省エネ・創エネの両面から温室効果ガスをゼロにする取り組みを進めています。とりわけ、脱炭素型住宅の新築・リフォームや電気自動車(EV)の購入といった脱炭素型ライフスタイルへの転換をサポートする商品や金融サービスは、消費者との距離感の近さという強みを生かしたイオンならではの大規模かつ効果的な取り組みといえるでしょう。

健康経営優良法人(ホワイト500)」に5年連続で認定

次に、「社会(S)」と絡めてイオンの事業の持続可能性を考えた場合、「個人情報の保護」「社内での労働管理」「サプライチェーン全体での労働規範の設定」などが重要となってきます。

個人情報の保護体制については他の小売企業とさほど違いは見られませんが、社内での労働管理は秀でており、「労働生産性の向上」「人材定着 望まない離職の低減」「従業員満足度の向上」を最終目標として健康経営を推進しています。その結果、イオンとイオンリテールは、経済産業省と日本健康会議が共同で行っている認定制度「健康経営優良法人(ホワイト500)」に5年連続で認定されています。

また、取引先も含めたサプライチェーン全体での取り組みも優れています。「イオンサプライヤー取引行動規範」という仕組みのもと、強制労働やハラスメントの防止、労働時間の適切な管理、待遇の管理、安全衛生の維持など、多方面で取引先と足並みをそろえた活動をしています。特筆すべきは相談ホットラインの開設・運用で、自社だけでなく取引先従業員からの相談も受け付け、解決に向けてイニシアティブを取っています。

こうしたイオンの取り組みは、ESG投資におけるE・Sに直結するのはもちろん、SDGsが掲げる17のゴールの「すべての人に健康と福祉を」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」などの複数ゴールにも関わっており、投資家からの評価にもつながっていることでしょう。

イオンの直近業績とまとめ

イオンは業績についても今後改善が期待できます。2022年2月期上期(3-8月)の営業収益は4兆3449億円(前年同期比1.7%増)、営業利益は778億円(同2.3倍)と、利益は大幅な伸びを見せています。金融事業での貸し倒れ関連費用の縮小や、GMS事業でのテナント賃料収入の増加、ディベロッパー事業でのベトナムや中国での売上拡大など要因は様々ありますが、中食週間の普及などを背景に長期的に見ても事業環境は良好といえるでしょう。

今回ご紹介したように、イオンは業績のほか、SDGs・ESGにおいても注目点は多いです。とりわけ、ビジネスモデルや会社の規模を生かした環境面・社会面での取り組みは当然影響力も大きく、今後の新たな展開やその効果はより注目を集めることでしょう。

【参考】SDGsの17の目標

1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も
9:産業と技術革新の基盤を作ろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう

参考資料

外務省「SDGsとは?」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)

イオン株式会社「イオンの健康経営」(https://www.aeon.info/sustainability/health/)

経済産業省「ESG投資とは」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/esg_investment.html)

イオン株式会社「2022年2月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2021年10月6日)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8267/tdnet/2030245/00.pdf)

イオン株式会社「2021年度 第2四半期決算」(2021年10⽉6⽇)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8267/ir_material_for_fiscal_ym4/107069/00.pdf)

イオン株式会社「イオンサプライヤー取引行動規範」(https://www.aeon.info/sustainability/social/coc/)

イオン株式会社「お取引先さまホットラインについて」(https://www.aeon.info/sustainability/contact/)

イオン株式会社「イオン持続可能な調達原則」(https://www.aeon.info/sustainability/procurement/)

イオン株式会社「イオン 脱炭素ビジョン」(https://www.aeon.info/sustainability/datsutanso/)

イオン株式会社「プライバシーポリシー」(https://www.aeon.info/privacy/)

イオン株式会社とイオンリテール株式会社「健康経営優良法人2021(ホワイト500)」に認定(https://www.aeon.info/news/release_27637/)

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