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70代の老後資金「ひと月の取り崩し」はどのくらい?

LIMO / 2021年11月28日 19時15分

70代の老後資金「ひと月の取り崩し」はどのくらい?

70代の老後資金「ひと月の取り崩し」はどのくらい?

いまどきの70代のみなさんは、元気ではつらつとした方がとても多い、という印象を持っています。

筆者は以前、証券会社で資産運用のアドバイスを行っておりました。

担当するお客様は70代の方がほとんどで、ご自身で本を買って上場会社を調べたり、スマホやパソコンを駆使して株式を売買されたりする方もいらっしゃいました。意識的に体や頭を動かして、健康を維持されていたのかもしれませんね。

また、貯蓄を取り崩していくことへの不安から、今ある資産を効率的に運用できないかというご相談も多くいただいておりました。

とはいえ、そういった潤沢な資産を持っている方は一握り。実際はほとんどの方が貯蓄を取り崩しているのではないでしょうか。

そこで今回は、70代世帯の「貯蓄の取り崩し」がひと月どのくらいか、解説していきたいと思います。

70代世帯「貯蓄の取り崩し」はひと月いくら?

そもそも取り崩しが必要な場合とは、生活費が収入(主に年金)だけでは足りない場合です。つまり、「赤字部分」が貯蓄からの取り崩し金額となります。

70代「平均的な年金月額」はどのくらい?

まずは、厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2019年度)」をもとに、70代世帯の年金額を確認しましょう。

国民年金(基礎年金)の平均年金月額

70~74歳:5万6697円

75~79歳:5万5922円

厚生年金保険(第1号)の平均年金月額

70~74歳:14万6421円

75~79歳:15万1963円

会社勤めだった夫の場合、約15万円の厚生年金を受給できます。加えて、専業主婦だった妻の場合、約5万円の国民年金を受給できます。

夫婦合わせて月額約20万円の年金収入になりますね。

「老後の生活費」のめやすはどのくらい?

次に、公益財団法人 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」から老後の生活費の相場を見てみると……。

老後の最低日常生活費は月額平均で22万1000円です。

さらに、ゆとりある老後生活費となると36万1000円となります。ゆとりある老後生活費とは、習い事や旅行など「お楽しみ」のための費用も含めた生活費を指します。

結果として、取り崩し金額は以下の通りになります。

最低限の生活:約20万円(年金)-約22万円(生活費)=マイナス2万円/月

ゆとりある生活:約20万円(年金)-約36万円(生活費)=マイナス16万円/月

いずれにせよ、平均年金収入の場合、最低でも月々約2万円は取り崩していく必要があるということがわかりました。

70代世帯の老後資金。みんなの「貯蓄額」はどのくらい?

次に、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに、取り崩し原資である貯蓄額を見ていきましょう。

(/mwimgs/0/f/-/img_0fc354aacfebad26d3fdbba42882fbf6262724.jpg)

拡大する(/mwimgs/0/f/-/img_0fc354aacfebad26d3fdbba42882fbf6262724.jpg)

70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」(金融資産非保有世帯を含む)

平均:1786万円/中央値:1000万円

全体の約半分の世帯が1000万円以上貯蓄しています。一方で、注目すべき点は、貯蓄ゼロの世帯が約2割もいる点です。

取り崩す資金がないということは、収入の範囲内で生活をやりくりする必要があります。ゆとりある生活どころか、最低限の生活も我慢する部分が多くなりそうですね。

貯蓄の取り崩しを続けたら、老後資金は何年で枯渇する?

この貯蓄を取り崩していくと何年で底をつくでしょうか。

通帳残高が減っていくようすを想像するだけでもドキドキしますが、現実を見て足りない資金を準備するきっかけになればと筆者は思います。

今回は、貯蓄の中央値である1000万で計算します。

最低限の生活:1000万÷(2万/月×12カ月)=約41年
ゆとりある生活:1000万÷(16万/月×12カ月)=約5年

「最低限の生活」の場合は、なんとか「人生100年時代」を乗り越えられるかもしれません。ただし、「ゆとりある生活」の場合は1000万円だけでは約5年で貯蓄が底をつきます。

老後にゆったりと、安心した生活を続けるためには、しっかりと貯蓄をしておく必要がある、ということが分かります。

また、介護施設の費用も踏まえると、平均入居期間(5年)でかかる費用は1000~2000万円となります(「LIFULL介護」をもとに試算)。そのため、月々の取り崩し以外に一時的な出費があることも想定して貯蓄を作っていく必要がありますね。

今日からできること

最近では、「FIRE」(Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)を目指す人が増えています。

早期退職後も経済的に豊かに暮らすために、早期から資産形成や副業に励む人が増えているということです。しかし、早期退職でも定年退職でも、重要なことは退職後にどんな生活を送りたいかということではないかと筆者は感じます。

みなさんはどんなセカンドライフを思い描いていますか。そのライフスタイルによって今から準備する金額が見えてくることでしょう。

一度きりの人生、年齢を重ねても夢をもって自分らしく生きられる手段として、貯蓄はとても大切です。まずは、自分に合った老後資金の作り方を見つけるべく、情報収集することからはじめまてみるのはいかがでしょうか。

参考資料

厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2019年度)」

公益財団法人 生命保険文化センター 「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」

LIFULL介護「老人ホームの費用相場」

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