年金はずっと貰えるの?貯蓄が減り続ける老後の不安を前に、夫婦がやめた3つのこと
LIMO / 2021年12月1日 17時35分
年金はずっと貰えるの?貯蓄が減り続ける老後の不安を前に、夫婦がやめた3つのこと
今年ももう1ヶ月で終わり。貯蓄や月々の生活費など「今年のお財布事情」についてもそろそろ見直す時期です。
人生100年時代といわれる現代。生命保険文化センターの調査によれば、老後資金を使い始める平均年齢は65.9歳から。年金の受給開始年齢も原則65歳ですから、およそ35年間を「年金と貯蓄」で過ごすことになります。
人生のおよそ3分の1が老後という現実に、不安を抱える方も多いでしょう。
今回は、今のシニア世代のお財布事情を確認しながら、老後が不安な夫婦がやめたことを3つご紹介します。
今のシニア世代の「年金と貯蓄」平均額は?
実際に今のシニア世代は、どれくらいの年金を受給し、貯蓄を保有しているのでしょうか。まずは厚生労働省年金局の「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」より、今のシニア世代が受給している年金の平均月額を確認します。
【国民年金】平均月額:5万5946円
男性平均:5万8866円
女性平均:5万3699円
【厚生年金】平均月額:14万4268円
男子平均:16万4770円
女子平均:10万3159円
たとえば「厚生年金の夫と国民年金の妻」の場合、1カ月の受給額は21万8469円になります。
ちなみに、「老後2000万円問題」の試算のもととなった金融審議会の「市場ワーキング・グループ(第21回)厚生労働省提出資料」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実支出は26万3718円です。
1カ月の収支を見ると、4万5249円の赤字ですね。35年間では約1900万円赤字となり、貯蓄から取り崩す必要があります。
次に平均貯蓄額について、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)」から確認します。
【二人以上世帯】金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
60歳代:平均1745万円 中央値:875万円
70歳代:平均1786万円 中央値:1000万円
平均値は一部の大きな数字に引っ張られる傾向にあります。より実態に近いといえるのは中央値でしょう。
中央値を見ると、60代で875万円、70代で1000万円。先ほどの計算では約1900万円の赤字でしたが、貯蓄額は心もとない結果となりました。
こういった現状を見ると、改めて年金や貯蓄の大切を実感するでしょう。
不安になった夫婦がやめた3つのこと
年金と貯蓄のみで老後を安心して過ごすには、できるだけ支出を抑える必要があります。老後が心配になった夫婦が実際にやめたことをみていきましょう。
タバコをやめた
Iさん(64歳)は定年を機に夫婦で話し合い、夫がタバコをやめました。1日1箱は吸っていたというIさんの夫。退職したことでストレスも減り、コロナ禍の影響も後押しして禁煙を決めたそうです。
2021年10月1日にはたばこ税が増税されましたが、何度も行われる値上げも家計の負担でした。この増税により、たとえばメビウスは1箱580円に。1カ月で約1万7000円、1年で約21万円もの節約になります。
ただ、好きなお酒はやめていないそう。楽しみをすべて止めることはできないので、お酒は残してバランスをとったとのことです。
デパ地下巡りをやめた
デパ地下巡りが趣味だったというYさん(62歳)。美味しいものが大好きで、デパ地下でパンやお惣菜、スイーツを買うのが楽しみでした。歩く分、運動にもなるので健康にも良いと考えていたようです。
ただ、体調に不安を感じることがあり食生活を見直すことに。デパ地下へ行く回数を3分の1に減らしたそうです。一度行けば2000~4000円ほど買い物をしていたこともあり、その分の出費も減りました。
箱単位での買い置きをやめた
先述のIさんは、オトクだからと箱単位で食料品や飲み物を買い置きしていました。麦茶や缶詰、お菓子などを箱で買い置きしていましたが、購入する時は数千円単位に。あればあるだけ、すぐに食べたり飲んだりして管理もできていなかったようです。
しかし買い置きしている品を見直してみると、あるからつい食べてしまうもの(食べなくても良いもの)、家で作れるものもあることに気付きました。箱単位で買うのは備蓄品のみにして、その都度買うようにしたそうです。
資産寿命を伸ばす方法を考えよう
長年続けてきた生活水準を下げるのはなかなか難しいものです。ただ家の中のものや普段の習慣を見直すことで節約につながることもあるでしょう。
日々の支出を減らすことができれば、貯蓄の取り崩しも減らせます。まずは食費や嗜好品から見直してみましょう。
年金については、ずっと貰えるのか不安に感じる方も多いでしょう。年金は少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成、いわゆる「財政検証」が実施されています。直近では2019年8月27日に「2019(令和元)年財政検証結果のポイント」が公表されました。急に破綻してもらえなくなる可能性は低いですが、今後の動向を見ていきましょう。
ご自身の実際の年金受給額については、1年に1回届く「ねんきん定期便」を確認しましょう。50歳以上には「年金見込額」が、59歳の方には封書で年金見込額と全期間の年金記録情報が届きます。
老後を安心して過ごすためにも、年金額を確認して、節約や資産運用で資産寿命を伸ばす方法を検討しましょう。
参考資料
日本年金機厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_r01.pdf)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2020/20bunruif001.html)
公益財団法人生命保険文化センター「『老後』とはいつから?」(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1168.html)
金融審議会「『市場ワーキング・グループ』(第21回)厚生労働省提出資料」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf)
日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」(https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/20150331-05.html)
厚生労働省「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)
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