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iDeCoで選びがちな元本確保型商品がおススメではない理由

LIMO / 2021年12月9日 17時45分

iDeCoで選びがちな元本確保型商品がおススメではない理由

iDeCoで選びがちな元本確保型商品がおススメではない理由

個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は、自分で拠出した掛金を自分で選択した商品で運用し、将来年金として受け取ることができる私的年金制度です。通常の貯蓄商品や運用商品にはない税制優遇もiDeCoの魅力でしょう。

ただ、投資初心者にとっては、この「自分で選択して運用する」という特徴がiDeCo加入の最も高いハードルになっているとも言えます。また、加入した後にどう運用したらいいのかと悩む人も少なくないはずです。

「確定拠出年金の統計資料」(運営管理機関連絡協議会)には、iDeCo加入者がどんな商品で運用を行っているかの統計があります。この統計資料などを参考に、iDeCoで資産形成をしていく上での注意点を見ていきましょう。

iDeCoの運用商品選択状況は?

自分で商品を選んで掛金を運用するiDeCoですが、実際どのような商品で運用されているのでしょうか。「確定拠出年金の統計資料」によると、2020年3月末時点の運用商品選択状況では、元本確保型商品の資産額(預貯金と保険の合計)が全体の資産額に占める割合は53.9%。一方、株式型や債券型などの投資信託・金銭信託等は45.5%になっています(図表1参照)。

図表1:運用商品選択状況(単位:万円)

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拡大する(/mwimgs/1/a/-/img_1a5ac569179cea77c8d70834a3de2cea181196.jpg)

出所:「確定拠出年金の統計資料」(運営管理機関連絡協議会)より筆者作成

ただ、元本確保型商品の割合は、2017年3月末の64.6%から2020年3月末には53.9%に減少。元本確保型商品から投資信託など元本割れリスクのある運用商品へのシフトは、少しずつではありますが進んでいることがうかがえます。

では、元本確保型商品の内容はどのようなものかというと、金融機関によって元本確保型として提供されている商品は異なります。たとえば、銀行系なら定期預金であったり、生保系なら保証終身の年金保険であったり、損保系なら傷害保険商品などといった具合です。

ちなみに、筆者は楽天証券でiDeCo口座を開設していますが、そこで提供されている元本確保型商品は、みずほ銀行の確定拠出型年金向け1年物の定期預金で、金利は税引き前で0.002%です(金利設定開始日:2021年10月22日)。

iDeCo口座には手数料がかかる

元本確保型商品の場合、満期まで保有すれば元本割れのリスクを回避できます(定期預金はいつ解約しても元本割れはない)。しかし、銀行や郵便局で預貯金をするのとは異なり、iDeCo口座の開設と運用には手数料がかかることには注意が必要です。

その手数料はというと、まず、iDeCoの加入時や企業型確定拠出年金からの移換時に国民年金連合会に支払う手数料が2829円(税込)、そして毎月掛金を拠出するごとに171円の手数料がかかります(国民年金連合会:105円/月※、事務委託先金融機関:66円/月)。

この手数料は、必ずかかる共通の手数料ですが、運営管理機関である銀行や証券会社などの金融機関による手数料は、各社で差があります。

※拠出区分が「月ごとに金額を指定し拠出する」場合、収納回数に応じて年間の手数料が異なる。

iDeCoの運営管理機関手数料はどのくらい?

2021年3月末現在の「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」(国民年金連合会)によると、iDeCoを取り扱う運営管理機関(金融機関)は157社あり、プラン数は246。

これらプランの年間手数料(事務委託先金融機関手数料を含む)の分布を見ると、加入者手数料が「4500円~5000円未満」の金額帯が93プランと最も多くなっています。

次いで「5000円~5500円未満」が47プラン、「6000円~6500円未満」が32プランで、加入者手数料が4500円以上必要なプランが全体の8割以上を占めていることが分かります(図表2参照)。

図表2:運営管理機関プラン別手数料(事務委託先金融機関手数料を含む)の分布

(/mwimgs/d/0/-/img_d0c83680daa743b89f4cd64ec5b9a00392885.jpg)

拡大する(/mwimgs/d/0/-/img_d0c83680daa743b89f4cd64ec5b9a00392885.jpg)

出所:「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」(国民年金連合会)より筆者作成

一部の金融機関では運営管理機関手数料0円も

一方で、運営管理機関手数料が無料の金融機関もあります。長期で積み立てをしていくiDeCoの商品性を考えると、1年間にかかる手数料が5000円の場合、10年間では5万円と馬鹿にならない金額です。

たとえば、運営管理機関手数料が0円の金融機関で毎月10,000円を拠出して10年間運用した場合、手数料は共通手数料の171円のみで合計2万520円(171円×120ヶ月)。

一方、運営管理機関手数料が400円の金融機関で毎月10,000円を拠出して10年間運用した場合、手数料は共通手数料の171円と運営管理機関手数料400円の合計571円となり合計6万8520円(571円×120ヶ月)になります。

①は手数料が拠出額に占める割合が1.71%、②は5.71%ですから、現在の金利水準で元本確保型商品に預けっぱなしにすると、運用益がごくわずかであるにもかかわらず高い手数料だけを負担することになってしまいかねません。

おわりに

運営管理機関手数料は何年、何十年と払い続けるものですが、掛金から差し引かれることもあり、お金を取られているということをそれほど意識しないかもしれません。

しかし、iDeCoは原則として長期間運用するもの。決して安くない手数料を払い続けていくだけの価値があるのかを吟味しつつ、運営管理機関や運用商品を選択することが肝要だと言えるでしょう。

手数料が運用益を上回ってしまった!ということにならないよう、すでに加入している人も、加入を検討している人も、コストを抑えることに意識を向けてみてはいかがでしょうか。

参考資料

確定拠出年金の統計資料(https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/statistics_202003.pdf)(運営管理機関連絡協議会)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況(https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/system_overview_0303.pdf)(国民年金連合会)

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