国民年金と厚生年金「シングル・家族」の標準的な年金額は?
LIMO / 2021年12月4日 17時55分
国民年金と厚生年金「シングル・家族」の標準的な年金額は?
大ヒット上映中の、天海祐希さん主演「老後の資金がありません!」。
キャッチーなタイトル、そしてコメディ要素満載のこの作品が好評を博しているようです。みなさんは、老後の資金の準備、もう始めていますか?
そもそも「老後資金」がこれだけ注目されるきっかけとなったのは、2019年に、金融庁のレポートで「老後は年金だけでは2000万円が不足するよ」という内容が発表されたためといってよいでしょう。
そう、あの「老後2000万円問題」です。
しかし、全世帯が一概に2000万円不足するということではありません。シングル世帯の方は生活費を抑えられる部分も大きいでしょうし、夫婦共働きの場合は年金受給額が二人分になりますね。
「老後2000万円問題」はあくまでモデルケースでの試算です。
そこで気になるのが、「実際のところ年金額っていくら貰えるの?」という点でしょう(※編集部注)。今回は公的年金の標準的な受給額の例を、「8つのパターン」に分けて検証していきます。
年金生活を支える「老後の資金」についても考えていきましょう。これから老後を考える「働く世代」の方は必見です!
【※参考記事】「基礎年金と厚生年金」結局いくらもらえるの?(https://limo.media/articles/-/25920)
公的年金制度の「イロハ」を確認!
まずは、年金の基本をおさらいします。
1階部分にあたる国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務があります。2階部分の厚生年金は、公務員や会社員などが国民年金にプラスして加入します。
国民年金だけ加入していた場合、老後に受け取るのは「老齢基礎年金」のみ。厚生年金に加入していた人は、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2階建てです。(※いずれも年金受給要件を満たした場合)
国民年金(基礎年金)「ひとり分の年金額ってどのくらい?」
ここからは、厚生労働省年金局の「令和元年(2019年)度 厚生年金・国民年金事業年報」から、現在のシニア世代の方が、どの程度の国民年金を受給しているかを確認します。
【国民年金】男女別・年金月額階級別受給権者数
男子平均:5万8866円
女子平均:5万3699円
※男女合わせての平均年金月額:5万5946円
こうしてみると性別による差は少ないですが、全体的に非常に低い年金額であることが分かります。
厚生年金「ひとり分の年金額ってどのくらい?」
会社員・公務員などが受け取る厚生年金の受給額についても見ていきます。なお、以下に記載する「厚生年金保険(第1号)年金月額」には、基礎年金(国民年金)月額を含みます。
厚生年金保険(第1号)年金月額階級別受給権者数・男性
男子平均:16万4770円
女子平均:10万3159円
※男女合わせての平均年金月額:14万4268円
こうしてみると性別による差が大きいことがわかります。厚生年金は納めた保険料が、年金加入期間とともに受取額に反映されため、こうした男女差・個人差が生じるのです。
女性の平均受給額が低めなのは、出産・育児・介護などのタイミングで働き方を変えたり家庭に入る人が多いこともあるでしょう。
受給パターン別!「シングル・家族」の年金額
では、最後に男女別平均年金額をシングル世帯・夫婦世帯に分けて、8つのパターンに分けて見ていきましょう。男性・女性ともに、それぞれの平均月額を受給した場合を想定します。
シングル世帯「ひと月の平均年金受給額」
①男性:厚生年金:16万4770円
②女性:厚生年金:10万3159円
③男性:国民年金:5万8866円
④女性:国民年金:5万3699円
夫婦世帯「ひと月の平均年金受給額」
⑤夫婦ともに厚生年金:26万7929円(夫:16万4770円+妻:10万3159円)
⑥夫が厚生年金+妻が国民年金:21万8469円(夫:16万4770円+妻:5万3699円)
⑦夫が国民年金+妻が厚生年金:16万2025円(夫:5万8866円+妻:10万3159円)
⑧夫婦ともに国民年金:11万2565円(夫:5万8866円+妻:5万3699円)
※厚生年金の受給額は、基礎年金(国民年金)月額を含みます。
上記は男女それぞれの「平均年金月額」に基づいて単純計算したものです。あくまでも参考程度にごらんください。
とはいえ、世帯のあり方・夫婦の働き方次第で、世帯の年金収入が数倍以上変わってくることがわかります。
国民年金だけを受給する方、特にシングル世帯の方は何かしらの対策が必要ですね。付加保険料の納付、国民年金基金への加入などは、比較的手軽に始められる工夫でしょう。
サラリーマン世帯の場合、2階部分の厚生年金を受け取れますので、国民年金のみを受給する場合と比較すれば、手厚い受給額が期待できることは確かです。とはいえ、現役時代の稼ぎには及びません。
さらにいうと、高収入だった人ほど、年金収入と現役時代の収入のギャップが出る点も忘れないでおきたいところです。
資産形成「はじめの一歩」は情報収集から!
ひと月の暮らしにどのくらいお金が必要かは、ひとそれぞれ違います。とりわけ老後の生活資金については、家族構成や健康状態などに左右される部分が大きいでしょう。
また、老後の生活を支える柱となる「年金額」を世帯単位でとらえていくと、家族構成や現役時代の年金加入状況により大きな差があることが分かります。働き方が多様化するいま、男女差以上に個人差についても着目されていくかもしれませんね。
安心して年金生活を送るためには、コツコツと「老後の資金」を準備していく必要があります。ポートフォリオに「預貯金・保険・投資」をバランスよく組み入れていくことは、将来を見据えた資産形成のファーストステップとなるはずです。
この年末年始の休暇を活用して「マネーの情報収集」をスタートしてみましょう。
参考資料
映画『老後の資金がありません!』公式サイト(https://rougo-noshikin.jp/)
金融審議会「市場ワーキング・グループ(第21回)厚生労働省提出資料」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf)
厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/)
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