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事業買収例も出た「ゲームの習い事」とは?数字で見てみる

LIMO / 2021年12月11日 7時30分

事業買収例も出た「ゲームの習い事」とは?数字で見てみる

事業買収例も出た「ゲームの習い事」とは?数字で見てみる

2021年11月25日に朝日放送テレビ株式会社により公表された「コロナ禍における子供の習い事」に関する調査にて、子供の習い事にかける費用が増加傾向との発表が出ていました。
コロナ禍によって外出の機会が減っていることから、何とか家族以外の人と関わる機会を作りたいというニーズがあるようです。

その習い事の一つとして「ゲーム」を習うという動きがあるので、今回は各種データを用いて、実際にそのニーズが日本においてどの程度あるのか、獲得可能な最大市場規模 (TAM)を簡易的に算定してみました。

日本での「ゲームの習い事」の市場規模を算定してみる

今回は、株式会社ゲムトレが2021年11月29日に公表したプレスリリース「世界で急成長する『ゲームの習い事』市場。ゲムトレがゲームの習い事カオスマップを作成。」で使われているデータを再検討してみます。

日本国内における、お稽古・習い事市場は約3兆円(※1)とされており、78.7%(※2)の子どもが何らかの習い事をしています。
(※1) 矢野経済研究所調べ
(※2) 学研教育総合研究所調べ

という表現が存在するので、

1)子どもにおけるお稽古事・習い事市場規模の算定
2)そのうち、ゲームやそれに類するジャンルの習い事をしている割合

を概算し、1)×2)を行うと、最大市場規模が算定できます。
まず、矢野経済研究所のプレスリリースには下記のように記載されています。

2020年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比2.7%減の2兆6997億1000万円

そして、この2.6兆円の市場規模は「主要15分野計」とされています。この15分野は

1.学習塾・予備校
2.家庭教師派遣
3.幼児向け通信教育
4.学生向け通信教育
5.社会人向け通信教育
6.幼児向け英会話教材
7.資格取得学校
8.資格・検定試験
9.語学スクール・教室
10.幼児受験教育
11.知育主体型教育
12.幼児体育指導
13.企業向け研修サービス
14.eラーニング
15.学習参考書・問題集

と、幼児向けから大人向けまで「全て」を含んだ値です。ここから、日本の子どもの人数などを利用して除算する必要があります。

総務省が2021年5月4日に公表した「我が国のこどもの数-「こどもの日」にちなんで-」によると、2021年4月現在の「総人口に占めるこどもの割合」は11.9%です。

つまり、1)の子ども向けの習い事市場規模は、上記の子供の割合を掛け合わせて、

2.6兆円×11.9%=3094億円

とするのがより正確でしょう。

市場規模をさらに深堀り

続いて、2)の「そのうち、ゲームやそれに類するジャンルの習い事をしている割合」を見ていきます。

この割合は学研教育総合研究所「小学生白書Web版 小学生の日常生活・学習・新型コロナ対策の休校に関する調査 7.習い事について」で算定可能です。

ゲームと最も類似のジャンルとして「プログラミング・ロボット教室」が挙げられますが、これを実際に習わせている割合は回答者(1200名)全体のうち、2.4%ほどです。ゲームもこれらと同等のシェアを取れると仮定すると、1)で算出した「3094億円」に2.4%のシェアを掛け算する必要があります。

このようにすると、
1)×2)=3094億円×2.4%=74.2億円

つまり、ゲームの習い事の現状のTAMは「74.2億円/年」と言えます。

プレスリリースで公表されている値については、丁寧に試算すると「公表されている値と大きく違う」ということがしばしばあります。違和感がある数値については試算を試みるのがおすすめです。

参考までに、ゲムトレ社の直近の経営成績を掲載します。この情報は、ゲムトレ社の株式を取得し、傘下におさめた株式会社カヤックのIRリリースから引用しました。

<ゲムトレ社の経営成績>

決算期:2021年4月期

売上高:1275万8000円

営業利益:539万円

当期純利益:407万9000円

小規模ながら、手堅く利益を出してきた企業とは言えそうです。上場企業の傘下に入ることで、今後どのように拡大していけるのかがポイントとなるでしょう。

具体的にどういうゲームを習うのか

先述のプレスリリース「世界で急成長する『ゲームの習い事』市場。ゲムトレがゲームの習い事カオスマップを作成。」に掲載されている企業の公式サイトを見る限り、Fortnite(フォートナイト)などのTPS(Third Person Shooting:操作しているキャラクターが画面上に見えるタイプのシューティングゲーム)、Apex Legends(エーペックスレジェンズ)などのFPS(First Person Shooting:画面が一人称となり、操作キャラクターの視点で遊ぶシューティングゲーム)が中心になっているようです。

子供に人気のサンドボックス(自由に建物などを作って遊ぶゲーム)タイトルでもあるMinecraft(マインクラフト)を教えるコースもあります。

子供たちがゲームを習うメリットとは?

日本で運営しているゲームの習い事関連の企業サイト・サービス紹介のランディングページは、「子ども本人」というより、「子どもを持つ親」を説得するようにデザインしていると考えられます。

白背景主体で、明るい色味を活用して、「安全で楽しい」「安心して任せられる」というテイストに仕上げていることがその理由です。

また、ゲームを習わせるメリットとして、以下の点を中心に打ち出しています。

先生にネットマナーも含めて教えてもらえる、時間を管理してもらえる

ゲームの細かいやり方も教えてもらえる

個人的な考えとしては、習い事は「好きなもの」「興味を持ったもの」を学ぶのは楽しいと思いますが、親から「押し付けられる」のは良くないと思います。また、どのような習い事も「習い事以外の自習の時間」が上達には重要なので、「時間を管理してもらえる」というのは訴求点としては厳しいでしょう。ゲームに熱中しているほど、習い事の時間以外もつぎ込んでしまうものです。

とはいえ、どんなものでもいいので「自分で興味を持ったもの」で始められると「自分で情報を取りに行って試行錯誤する」「自発的に教えてもらおうとする」というような流れにつなげられるので、今後の人生でも役に立つと思います。一度、「自分で学ぶ」という姿勢を身につけられれば、大体どんなことでも新しく学んでいけるものです。

ゲームを習い事にすることで「自分で学ぶ」きっかけにするのも一つの方法なのかもしれないですね。

参考資料

朝日放送テレビ株式会社「コロナ禍で習い事ブーム到来!?『子どもの習い事に関する調査』|オンネラおうちラボレポート」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000062174.html)

株式会社ゲムトレ「世界で急成長する「ゲームの習い事」市場。ゲムトレがゲームの習い事カオスマップを作成。」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000056150.html)

矢野経済研究所「教育産業市場に関する調査を実施(2021年)」(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2804)

総務省「我が国のこどもの数(令和3年5月4日)」(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/pdf/topics128.pdf)

学研教育総合研究所「小学生白書Web版 小学生の日常生活・学習・新型コロナ対策の休校に関する調査 7.習い事について」(https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/202008/chapter7/01.html)

株式会社カヤック「株式会社ゲムトレの株式取得及び第三者割当増資引受(子会社化)に関するお知らせ」(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01527/b9f87fa4/1b41/42c3/9d2c/a20eabb98f60/20210927203142373s.pdf)

ゲムトレ公式サイト(https://gametrainer.jp/)

ユニキャン公式サイト(https://www.uni-cam.jp/)

ゲームカレッジ Lv99(https://www.fantasy.co.jp/level99/)

ゲムアカ(https://school.gamewith.jp/)

e2アカデミー(https://esp-academy.jp/)

esports 銀座 school(https://www.konami.com/ginza/school/)

スキルタウン(https://skilltown.jp/)

ココナラ (ゲームのアドバイス)(https://coconala.com/categories/175/427)

GamerCoach(https://gamercoach.jp/)

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