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「医療費控除はどう確定申告する?」元国税職員が徹底解説!

LIMO / 2021年12月11日 11時15分

「医療費控除はどう確定申告する?」元国税職員が徹底解説!

「医療費控除はどう確定申告する?」元国税職員が徹底解説!

医療費控除は、年間に支払った医療費の金額が一定額を超えたときに受けられる控除です。

筆者が国税職員だった頃に質問される内容で最も多かったのが「医療費控除」についてでした。メディアでもよく取り上げられますし、「医療費控除」は国民の関心が集まりやすい内容なのだと感じています。

そこで今回は、「医療費控除を支払った際の申告はどうするのか」について解説していきます。

10万円以上の支払いがあったときに適用

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日の1年間で支払った医療費の合計額が10万円を超えたときに申請できる制度です。総所得金額が200万円未満の方は所得の5%を超える医療費の支払いがあれば申請できます。総所得金額というのは、お給料や年金などの収入から一定の計算式にあてはめて計算した金額の合計額と考えてください。医療費の支払いがあった年は、まずご自身の所得金額を確認してみましょう。

支払った医療費には自分の分だけではなく、配偶者や生計を一にする父母など家族の医療費を支払った分も算入できます。医療費は名義に関係なく支払った人の控除になるためです。

医療費控除の対象になるのは治療にかかった費用

医療費控除の対象になるのは、原則的に治療にかかった費用です。病院で診察をしてもらったときにかかる診療費、診察の結果治療に必要と判断され処方された治療薬などが代表的です。また、妊娠にともなう通院や出産費用も医療費に該当します。

ほかにも風邪を引いたときに自身の判断で購入した市販薬や、ケガをした際に購入した消毒薬なども医療費控除の対象になる医療費に該当します。ドラッグストアで医薬品を購入した際のレシートは保管しておきましょう。

医療費控除の対象になる医療費は、病院に行って治療したときの治療代だけではなく、市販の医薬品を購入した代金も医療費控除の対象になるのです。ただし、サプリメントやビタミン剤などの予防目的や健康増進目的のものは医療費控除の対象になりません。

交通費については誤りが多い項目なので注意が必要です。マイカー、バスなどの通院に利用した交通費は、公共交通機関の利用分が医療費控除の対象になります。よって、バスや電車で通院したときは交通費が医療費控除に算入でき、マイカーで通院した際は医療費控除に入れられないということです。可能であれば電車やバスなどの公共交通機関を利用した方がお得であるといえるでしょう。

医療費控除の計算は補てん金を引くのを忘れずに

医療費控除の金額は次の計算式で算出します。

医療費控除の金額=支払った医療費の金額-補てん金-10万円(もしくは総所得金額の5%)

注意が必要なのは、補てん金を差し引くという点です。筆者が国税職員として申告審査をしていたときも誤りが散見されました。

補てん金とは、生命保険契約によって支給される入院給付金や健康保険制度によって支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などのことをいいます。ほかにも、不妊治療を受けた際に申請すると受け取れる補助金も補てん金に該当します。

先に書いた算式で算出された金額は医療費控除として所得金額から差し引かれ、税金がかかる所得(課税所得)を減らすことにつながるのです。

医療費控除を受けるためには確定申告が必要

医療費控除の適用を受けるためには確定申告書の提出が必要です。

あわせて、医療費の明細書も提出が必須となります。確定申告書も医療費の明細書も、様式は近くの税務署で入手できますし、国税庁のホームページからもダウンロードおよび印刷が可能です。

確定申告書作成の流れについては、医療費の領収書を集計して金額を確認、医療費の明細書および申告書の作成となります。以前は医療費の領収書を添付もしくは提示していましたが、法律が変わりその必要がなくなりました。ただし、医療費の領収書は自宅で5年間の保管が必要です。

作成方法は複数ありますが、おすすめなのは国税庁の確定申告書作成コーナーから作成する方法。パソコンからはもちろんのこと、給与収入や年金収入の方はスマホからも申告することもできますので非常に便利です。確定申告書作成コーナーでは、数字を入力すると税額まで自動計算してくれるシステムになっています。誤りもなく済みますよ。

会社にお勤めで年末調整がお済みの方は、医療費が多くかかった翌年の1月より申告書の提出が可能です。

還付金の振り込み時期については所轄の税務署によって違いがありますが、おおよそ提出後2ヶ月後には口座に振り込まれます。申告書にはご自身名義の口座を記載するのを忘れないようにしてください。

おわりに

医療費控除は毎年使うという制度ではないでしょう。しかしながら、知識として知っておけば高額の医療費がかかった年に利用できる便利な制度です。

ケガや病気がないに越したことはありませんが、使える制度は使ってかしこく節税することはとても大切です。毎年税法改正があることや、判断が難しいケースもありますので医療費控除でわからないことがあれば、税務署の相談窓口や税理士を頼るのも手でしょう。また、確定申告の時期になれば税務署が相談会場を設置しますので、活用してみてください。

参考資料

国税庁タックスアンサーNO1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)

国税庁 総所得金額等(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/03/order3/yogo/3-3_y01.htm)

国税庁タックスアンサーNO1122 医療費控除の対象となる医療費(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm)

国税庁タックスアンサーNO1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1124.htm)

国税庁 文書回答事例 「東京都特定不妊治療費助成事業」に基づき支給される助成金に係る医療費控除の取扱いについて(https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shotoku/12/02.htm)

令和2年分確定申告特集 医療費控除を受けられる方へ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/iryouhikoujo.htm)

国税庁 医療費控除の適用を受ける場合は領収書の提出が不要となりました(https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/topics/tokushu/pdf/iryohikozyo.pdf)

国税庁 令和2年分確定申告特集 スマートフォンでの申告がさらに便利に(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-smartphone.htm)

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