【国民年金・厚生年金】8つの受給パターンで世帯の年金を徹底比較!老後の資金計画の参考に
LIMO / 2021年12月10日 17時50分
【国民年金・厚生年金】8つの受給パターンで世帯の年金を徹底比較!老後の資金計画の参考に
早いもので、2021年ももう師走。この一年を振り返り、来年に向けた暮らしや仕事のプランを練り始めている方もいらっしゃるでしょう。
年末年始は、日頃の家計の収支、さらには長期的なマネープランを見直すよい機会ですね。ゆっくりと、貯蓄や資産形成について考える時間を持ちたいものです。
さて、「つみたてNISA」などを活用してコツコツと積立投資をする人が増えていますね。資産運用を行う目的として、多くのみなさんが想定されているのは、老後を見据えた資金づくりでしょう。
老後に必要となるお金は、健康状態や家族のライフスタイルなどの影響を受け人それぞれ。とはいえ、ひと月の年金額から生活費を差し引くことで、おおまかな金額を把握することはできそうですね。
「将来の年金受給額(※編集部注)」を把握することで、老後資金をどのくらい準備すればよいのか見当がつきやすくなります。
今回はこの「年金受給額」を深掘りしていきます。国民年金・厚生年金の標準的な月額を、世帯の受給パターンを8つに分け、それぞれでどのような差がでるのかにも着目します。
【参考記事】「基礎年金と厚生年金」結局いくらもらえるの?(https://limo.media/articles/-/25920)
国民年金・厚生年金「みんなの月額、どのくらい?」
まず、下の図をごらんください。年金制度のしくみをイメージしていただけると思います。
日本の公的年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれますね。下記の2つの年金制度から成り立ちます。
「国民年金(基礎年金)」:日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入
「厚生年金」:会社員・公務員などが、国民年金に上乗せする形で加入
国民年金保険料を20歳から60歳までの全期間(40年間)納付すると、老後に満額(※)の国民年金を受け取れます。年収や職業によって金額が変わることはありません。
※2021年度の国民年金満額は6万5075円(月額)
一方、厚生年金は現役時代に収入に応じた年金保険料を納め、それが加入期間とともに老後の年金額に反映されます。よって、高収入の人ほど、また加入期間が長いほど、老後の厚生年金額は増えることになります。
次で、国民年金(基礎年金)・厚生年金、それぞれの年金額を詳しく見ていきます。
国民年金・厚生年金「ひとり分の年金額」の平均・分布図
では、国民年金(基礎年金)・厚生年金それぞれの受給額事情を把握していきます。厚生労働省年金局の「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」を参考にします。
【男女別】国民年金月額階級別受給権者数
全体平均年金月額:5万5946円
男子平均月額:5万8866円
女子平均月額:5万3699円
【男女別】厚生年金保険(第1号)・月額階級別受給権者数
全体平均月額:14万4268円
男子平均月額:16万4770円
女子平均月額:10万3159円
国民年金(基礎年金)の受給額には男女差はほとんどみられません。厚生年金については「男性>女性」の傾向がはっきり表れていますね。女性は家庭の事情などで離職、あるいは仕事をペースダウンする人の割合が多いことが、その背景にあるといえるでしょう。
老齢年金「8つの受給パターン」で、世帯タイプごとの受給額を比較!
ここからは「世帯の年金額」の例を、8つのパターンに分けて比較していきます。ます。男女ともに、さきほどの平均月額を受け取った場合を想定して、世帯の標準的な年金額をくらべてみましょう。
シングル世帯の場合
厚生年金(男性):16万4770円
厚生年金(女性):10万3159円
国民年金(男性):5万8866円
国民年金(女性):5万3699円
夫婦世帯の場合
(夫)厚生年金&(妻)厚生年金:16万4770円+10万3159円=26万7929円
(夫)厚生年金&(妻)国民年金:16万4770円+5万3699円=21万8469円
(夫)国民年金&(妻)厚生年金:5万8866円+10万3159円=16万2025円
(夫)国民年金&(妻)国民年金:5万8866円+5万3699円=11万2565円
夫婦世帯で「厚生年金&国民年金」の組み合わせであっても、夫婦のどちらが厚生年金を受け取るかで合算の受給額に差がつきます。
「夫婦ともに厚生年金」の世帯は、「夫婦ともに国民年金」の世帯の、2倍以上の受給額となっていますね。
老後に必要なお金「単身世帯・夫婦世帯」それぞれどのくらい?
年金額を把握できたところで、今度は「65歳以降」の老後の暮らしに必要となるお金がどのくらいか、試算してみましょう。
厚生労働省「令和2年簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳。よって、今回は、男性は82歳、女性は88歳まで老後生活が続くと仮定して計算します。
また、ひと月の生活費は総務省の「家計調査-家計収支編(単身世帯・二人以上世帯)-2020年度」から、65歳以上世帯の「消費支出」データを使用します。
65歳以上世帯の月間消費支出
男性(単身):13万6923円
女性(単身):13万9417円
二人以上世帯:31万6487円
【シングル世帯】年金以外に老後資金はどのくらい必要?
厚生年金(男性):(16万4770円-13万6923円)×12ヶ月×(82歳-65歳)≒プラス568万円
厚生年金(女性):(10万3159円-13万9417円)×12ヶ月×(88歳-65歳)≒マイナス1000万円
国民年金(男性):(5万8866円-13万6923円)×12ヶ月×(82歳-65歳)≒マイナス1592万円
国民年金(女性):(5万3699円-13万9417円)×12ヶ月×(88歳-65歳)≒マイナス2366万円
【夫婦世帯】年金以外に老後資金はどのくらい必要?
夫婦世帯についても計算してみましょう。なお、「夫が平均寿命で先立つ」ケースを前提として、82歳~88歳の6年間、女性はシングル扱いとします。
(夫)厚生年金&(妻)厚生年金
{(16万4770円+10万3159円-31万6487円)×12ヶ月×(82歳-65歳)}+{(10万3159円-13万9417円)×12ヶ月×(88歳-82歳)}≒マイナス1252万円
以下のパターンを同様に試算します。
(夫)厚生年金&(妻)国民年金:マイナス2617万円
(夫)国民年金&(妻)厚生年金:マイナス3412万円
(夫)国民年金&(妻)国民年金:マイナス4777万円
シングル世帯の男性(厚生年金)以外、老後生活は年金のみでは大きな赤字となりそうですね。
また、この「消費支出」には、介護費用は含まれていません。また、住宅費も持家世帯を前提として低く設定されていますので、老後も賃貸物件に住む場合は家賃分を考慮して別途準備する必要があります。
老後の資金は「コツコツ・じっくり」準備を進めよう!
実際に老後に必要となる費用は、健康状態などの影響を受け人それぞれになるでしょう。いざとなったときに慌てないよう、老後資金の準備は先手先手で進めていきたいものですね。
冒頭でふれた「つみたてNISA」以外にも、「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や個人年金保険、そして預貯金をバランスよく組み合わせながら、時間をかけてじっくり資金形成をすすめていきましょう。
金融商品や資産運用スタイルにはさまざまな種類があります。チョイスに迷った場合、まずは情報収集を!インターネットやマネー雑誌なども活用し、「お金の勉強」を楽しむことから始めてみませんか?
参考資料
厚生労働省年金局 「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/)
総務省「家計調査-家計収支編(単身世帯)-2020年度」(https://www.stat.go.jp/data/kakei/2.html)
総務省「家計調査-家計収支編(二人以上の世帯)-2020年度」表番号4-6世帯主の年齢階級別(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330006&result_back=1&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Acycle&tclass4val=0)
厚生労働省「令和2年簡易生命表」
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