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【日本社会への影響】外国人への永住権付与や家族帯同を認めたら何が起こるのか?

LIMO / 2021年12月19日 20時15分

【日本社会への影響】外国人への永住権付与や家族帯同を認めたら何が起こるのか?

【日本社会への影響】外国人への永住権付与や家族帯同を認めたら何が起こるのか?

外国人労働者の永住等を認めると、彼らの老後の介護を日本人労働者が担当するなど、労働力不足が深刻化しかねません。行政コストもかさむので、コストは雇い主が負担すべきだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

外国人労働者の受け入れは日本人労働者の賃金を抑制する

労働力不足だから外国人労働者を受け入れよう、と政府は考えているようですが、企業が労働者を募集しても応募がないのは労働力不足なのではなくて賃上げが足りないからです。適正な賃金(労働力の需要と供給を一致させるような賃金。均衡賃金と呼ばれる)を提示すれば労働者は集まるのです。

外国人労働者を受け入れることで労働力の供給を増やせば、現在の均衡賃金より低い水準が均衡賃金となるので、日本人労働者の賃金が上がらなくなります。それは企業経営者にとって好ましいとしても、労働者にとっては好ましくありませんし、企業の機械化のインセンティブを削ぐという意味では日本経済にとっても好ましくありません。

前回の拙稿『日本人の賃上げを!「労働者不足だから外国人労働者を受け入れる」の問題点(https://limo.media/articles/-/26340)』では、こうした側面から政府の方針に疑問を提示したわけですが、今回は別の側面から政府の方針に疑問を呈することとしましょう。それは、外国人労働者の永住や家族帯同を認めることの問題です。

永住を認めると外国人労働者の老後は日本人が介護することに!?

外国人の永住を認めるということは、労働者が高齢者になって働けなくなっても日本に滞在するということでしょう。そうなると、元外国人労働者を介護する労働力が必要となるわけです。

それを日本人が担当することになるとすれば、トータルとして外国人労働者を受け入れたことが日本の労働力不足を緩和したのか否かわからなくなってしまうでしょう。

短期的には労働力不足が緩和したとしても、長期的な影響まで考えると、目的と結果が大きく乖離(かいり)しかねないことには十分留意すべきです。

さらに、家族を帯同するとなると、日本語を理解しない子供のために学校で日本語を教える必要が出てくるかもしれません。そうなると、日本語を教える教師を雇う必要が出てくるのみならず、さらには家族の分を含めて様々な行政サービスを多言語で提供するための通訳を雇う必要も出てくるかもしれません。

それでは、労働力不足を補うための外国人労働者の受入が、かえって日本人労働者への需要を増やして労働力不足を加速してしまうことにもなりかねません。

外国人受け入れで増える行政コストは雇い主が負担すべき

外国人を受け入れると、行政コストがかさみかねません。少なくとも役所の住民票担当係に通訳を雇う必要が出てくるだけでも行政コストがかさむわけです。家族の帯同を認めれば、日本語を教える教師を雇うコスト等々も発生しかねません。

もしかすると、外国人労働者の一定割合は老後に生活保護を必要とするかもしれません。日本で働いた年数が少ないと、年金保険料の支払い実績が不十分で、老後の年金が十分に受け取れない可能性もあるからです。

そうしたコストは外国人労働者を雇う企業が負担すべきです。そうすれば、「外国人労働者を雇うと莫大な利益が得られるから、行政コストは喜んで負担する」という企業だけが外国人を雇うことになり、問題は軽微だからです。

仮に、「外国人労働者を雇うと利益が1円増えるから雇いたい」という企業のために外国人労働者を受け入れて、そのために多額の行政コストがかさむのであれば、受け入れることは日本の国益にならないでしょう。つまり、本来受け入れるべきではない外国人労働者も受け入れてしまうことになるわけです。

しかも、そのコストが「外国人労働者を受け入れたことで賃上げが得られなくなった日本人労働者」の支払った税金で賄われるとすれば、それは大いに問題と言わざるを得ません。

日本のGDPや人口を守る必要はなかろう

日本は、少子高齢化により人口が減っていき、経済規模も縮小していくと予想されています。超長期的には日本という国が消滅してしまうかもしれないわけで、大問題ですが、そこは保育園待機児童問題を解決し、子供手当を増額し…といった少子化対策で解決すべき問題です。

外国人労働者を受け入れることで問題を解決しようというのは的外れでしょう。数千年後の日本列島には、日本人は1人もいないが外国人は大勢いるということになるならば、問題が解決したとは言えないからです。

経済規模を保つために外国人労働者を受け入れるというのも的外れです。GDPが大きいこと自体に意味があるのではなく、1人当たりGDPが大きく、人々が豊かに暮らせることに意味があるのです。

人口が半分になって、GDPが半分になっても、1人当たりGDPが減らなければ生活水準は維持できるわけで、かえって都市の過密が防げて人々が広い家に住めるかもしれないのですから(笑)。

本稿は以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事リスト(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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