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「年収1000万円」片働きと共働きどちらがいいのか

LIMO / 2021年12月23日 15時0分

「年収1000万円」片働きと共働きどちらがいいのか

「年収1000万円」片働きと共働きどちらがいいのか

何かと話題となった18歳以下への10万円相当給付。2021年12月10日に公表された山際内閣府特命担当大臣の記者会見要旨によると、市区町村に12月1日時点の準備状況を確認したところ、予備費で措置する中学生までの分については9割超が年内に支給開始予定とのことです。

今回の10万円給付で議論された一つに「所得制限」があります。年収960万円以下(扶養親族等が児童2人と年収103万円以下の配偶者の場合の目安)の所得制限が夫婦どちらかの年収になることに、さまざまな意見が挙がりました。

年収1000万円は多くの方が憧れるラインの一つと言えるでしょう。一方で今回のように1人で年収1000万円を達成すると給付の対象外になるケースもあります。

年収1000万円でも片働きと共働きでどう違うのか、その手取りなどお財布事情をみていきましょう。

片働きで「年収1000万円」の場合

まずは夫婦どちらかが年収1000万円のケースを考えてみましょう。

年収1000万円を達成する人は日本でどれくらいいるのでしょうか。国税庁が2021年9月29日に公表した「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」より確認します。

出典:国税庁「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」

「年収1000万円超 1500万円以下」は全体で3.4%(男性5.2%、女性0.7%)とかなり少数派です。それだけ年収1000万円を達成するのは難しく、努力がいるのでしょう。

では、「会社員の夫(年収1000万円)と専業主婦の妻、子ども(16歳未満)が2人の世帯」を例として、手取り収入を計算します。

1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-48万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)=569万円(課税所得)
所得税:569万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=71万500円
住民税:569万円×10%=56万9000円(=住民税)

1000万円-150万円(社会保険料)-127万9500円(所得税と住民税)=722万500円

※社会保険料:年収の15%とする
※住民税:所得の10%とする
※千円未満:切捨て

片働きの手取り収入は722万500円ほどでした。

片働きで年収1000万円の場合、家族の人数や収入によっては「児童手当」の所得制限の対象となります。

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に、「3歳未満一律1万5000円、3歳以上小学校修了前は1万円・第3子以降なら1万5000円、中学生は一律1万円」が支給される制度。

しかし、モデル世帯として「会社員の夫と専業主婦、子ども2人の家庭」の場合、年収960万以上が所得制限の対象となり、特例給付の「児童1人当たり月額一律5000円」となります。

また、「高等学校等就学支援金制度」も所得制限の対象となる場合があります。

たとえば両親のうち一方が働いている場合で、「子2人(高校生・中学生以下)※扶養控除対象者が1人の場合」は、年収約910万円が所得制限の目安となります(ただしこちらは共働きでも所得制限の対象となる場合があります)。

今回のように、18歳以下への10万円相当給付でも対象になりました。

共働きで「年収1000万円」の場合

次に、共働きで年収1000万円にケースを考えてみましょう。

今回はわかりやすくするため、「会社員の夫婦それぞれ年収500万円、子ども(16歳未満)が2人の世帯」として手取り額を計算します。

500万円-144万円(給与所得控除)=356万円
356万円-48万円(基礎控除)-75万円(社会保険料控除)=233万円(課税所得)
所得税:233万円×10%(税率)-9万7500円(控除額)=13万5500円
住民税:233万円×10%(住民税)=23万3000円

500万円-75万円(社会保険料)-36万8500円(所得税と住民税)=388万1500円
388万1500円×2人=776万3000円

※社会保険料:年収の15%とする
※住民税:所得の10%とする
※千円未満:切捨て

共働きでの手取り収入は776万3000円でした。先ほど片働きでは722万500円だったので、手取り年収でおよそ50万円ほど高い計算になります。

夫婦共働きで年収1000万円の場合、児童手当はどちらか片方の年収や扶養親族等の数によっては所得制限の対象となる場合もあります。

また、「高等学校等就学支援金制度」は「39万6000円の支給 (月額3万3000円)」 の場合は所得制限の対象です。

「11万8800円の支給 (月額9900円) 」の場合は、「子1人(高校生)※扶養控除対象者が1人の場合」でも年収1030万円が所得制限の目安となりますので、年収1000万円なら対象にならないと考えられるでしょう。

お金だけでは語れない部分も大きい

今回は「年収1000万円」について片働きと共働きの手取りや所得制限の対象を確認してきました。実際にはお金だけでは語れない部分も大きいでしょう。

1人で年収1000万円の方が少数派なことからも分かるように、年収1000万円を達成するまでにはそれだけの努力が必要だと考えられます。また、収入が高い分、働く時間が長くなる場合もあるでしょう。

男性側が激務の場合は、女性が家事・育児のほとんどを担うご家庭も多くなります。

共働きで年収1000万円を達成し、生活していくのも簡単なことではありません。女性がフルタイムで働く場合には、遅くまで子どもを預かってくれる先を探したり、病気のときには病児保育にお願いしたりするご家庭もあるでしょう。

いまは実家が遠方で、周囲に頼れる人がいないなか、仕事や育児・家事に奮闘されている方が多い時代です。お金だけでは語れない、子どもやパートナーとの時間、余暇の過ごし方、家事・育児などについてもあわせて考えていきたいですね。

どちらが良いというものではなく、その答えは個々人で異なるでしょう。

参考資料

内閣府「山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年12月10日」(https://www.cao.go.jp/minister/2111_d_yamagiwa/kaiken/20211210kaiken.html)

首相官邸「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(2021年11月19日公表)(https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2021/20211119_taisaku.pdf)

内閣府「児童手当制度のご案内」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

文部科学省「高校生等への修学支援」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)

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