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日本人の平均年収がなぜ400万円台からほとんど増えないのか、働き手側の3つの事情

LIMO / 2021年12月24日 5時55分

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日本人の平均年収がなぜ400万円台からほとんど増えないのか、働き手側の3つの事情

日本人の賃金が諸外国と比較して、長期間上昇していないということが話題になっています。

そもそも、働く人の年収の違いの差の違いはどこから生まれてくるのでしょうか。

「日本だけ平均賃金が上がっていない!企業が内部留保を貯めて、従業員に還元していないせいだ」という論調もあります。

その要素もあるかとは思いますが、年収が上がっていない背景は、それだけではないと考えています。

私が、様々なポジションの採用にもかかわる中で、働く側の仕事に対する考え方が仕事を取り巻く環境の変化の中で変わってきていることも一つの背景かなと考えています。

そして、それは中途入社組だけではなく、新卒就職組も考え方が変わってきているのではないでしょうか(※編集部注)。

今回は、平均年収といった数字もあわせて、考え方の違いについてみていきたいと思います。

【※参考記事】入社3年で辞める、辛抱強くない若者は不幸になるのか(https://limo.media/articles/-/11474)

日本人の平均年収は一体いくらか

では、あらためて、現在の日本人の平均年収は、一体いくらなのでしょうか?

2021年9月に国税庁より発表された「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、現在の日本人の平均年収は約430万円です。

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」

そして、この年収、平成22年(2010年)から400万円台は変わっていません。

そして、男女差もあります。

男性の場合であれば、平成30年以降、530万円から540万円の間、女性であれば同期間で290万円台となっています。

そもそも年収400万円の人と1000万円の人はどのくらいの割合いるのか

国税庁の同資料を見ると、以下のことがわかります。

男性で年収400万円台の人は男性全体の17%、女性の場合であれば女性全体の11%程度ということがわかります。

また、全体でみると、約15%ということになります。

では、一般的に高所得者層である年収1000万円台の人はどのくらいいるのでしょうか。

男性で年収1000万円超~2000万円以下は男性全体の6.3%、女性の場合には女性全体の0.9%ということがわかります。

また、全体でみると、約4%ということになります。

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」

年収400万円と1000万円の思考の違いとは

ここまで年収の幅で、その比率についてみてきました。

年収で差が出るのか、「平均的に仕事ができる人」か、「特別に仕事のできる人」かの違いだという人もいるでしょう。

もちろん、仕事の内容や責任の違いなども年収が異なりますが、現在は必ずしもそうした理由だけではないと考えています。

ここまで採用に関する面接も何度も行ってきましたが、最近は特に、仕事への考え方が変わってきたように思います。

当然ですが、生活の中心は、何も仕事ばかりではありません。

それぞれの人生の目的も異なりますし、家族がいれば、その状況も個人ごと世帯ごとによって異なります。

そうした多様化した就業者を取り巻く変化によって、結果として仕事に対する考え方が違っても当然です。

そして、それらは、今後高齢化が進み、家族の介護の等の有無なども加わり、さらに仕事に対する考え方の多様化が生まれてくると思います。

思考の違いのバリエーションと年収の関係

それでは、ここからどのような仕事に対する考え方の多様化、また思考の違いがあるのかについてみてみましょう。

違い(その1):仕事優先思考 vs. プライベート優先思考

若いころは、「自分の希望するキャリアを歩みたい」という人が多いのではないかと思います。

結果、若いうちは、プライベートよりも仕事を優先する人の割合も多くなると思います。

一方で、年齢を重ねてくると、仕事の重要性は理解できるけれども、家族と一緒にいられる時間を重視する人も増えてきます。

子育て世代では、育児にかかりきりとなり、どうしても十分な時間が取れずにいるという人も多いのではないでしょうか。仕事の時間が限定されれば、当然収入は減ります。

また、子育て世代ではなくても、自分の親が高齢になり、介護などが必要になれば、仕事にあてる時間も減るでしょう。

違い(その2):インプット思考 vs. アウトプット思考

若いうちは、「経験を積めるなら給料は安くてもいい」と考える人も多いのではないでしょうか。こうした状況は、どちらかといえば、インプットを重視するケースです。

一方、社会人になって、経験を積んでしまった後は、自分の腕を試したいと考える人も多いと思います。こちらは、アウトプットを重視するケースです。

もっとも、若い人がインプット思考で、ベテランがアウトプット思考というわけでも必ずしもありません。

最近面接している人の中で、40代でも「いま就いている職業の先が見えないので、新しいことに挑戦したい」という人も数多くいます。

年齢を重ねればアウトプット思考かと思われがちですが、自分の仕事を取り巻く環境が変われば、インプットもアウトプットも行ったり来たりしているのが現状ではないでしょうか。

違い(その3):ミクロ思考 vs. マクロ思考

一つのことに専念したいというのがミクロ思考、俯瞰して全体を観たいというのがマクロ思考です。

全社は現場で活躍しているイメージ、後者はマネージャーとして活躍しているイメージです。

いずれも、仕事というプロセスを動かそうとするといずれも必要な役割です。

一方、労働市場の需要と供給の関係から言えば、とりわけ、マネージャー層の需給がタイトです。

以前からも話はありますが、会社としては昇進していってほしい人材でも「目の前の仕事に専念したい」「今の仕事に満足している」「多くの人とかかわる責任のあるポジションにつきたくない」というような風潮もあります。

会社としては、マクロで仕事をとらえてほしいと思う一方、個人としてはミクロを突き詰めたいというギャップがあります。

結果、マネージャー層の需給がタイトとなり、マネージャーの年収が上昇し、供給が足りている仕事の給料が上昇しないということもあります。

まとめにかえて

ここまで見てきたように、仕事をする側を取り巻く環境の変化や思考の違いからも、日本の賃金構造への影響も出てきている可能性があります。

また、企業もこうした変化をとらえた報酬体系を準備しないと、仕事をする側に仕事と報酬に興味を持ってもらえない状況も生まれかねません。

最後に、日本の給料は、現状、社会人経験の長い人がより高い給料を手にできる環境となっています。

今後、ここまで見てきた思考の違いを給料に報酬体系に反映させることで、この構造も変わってくるかもしれません。

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」

参考資料

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」

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