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年収1000万円でも親の口癖は「うちは貧乏」そのワケとは

LIMO / 2021年12月25日 6時45分

年収1000万円でも親の口癖は「うちは貧乏」そのワケとは

年収1000万円でも親の口癖は「うちは貧乏」そのワケとは

家計の話などをする際に、意外な落とし穴があります。

それは、仮に夫婦世帯である場合に、「夫婦共働きか、そうでないか」という点です。

最近では、表現すらももはや古いですが、「女性の社会進出」などという言葉もあり、夫婦共働きは当たり前になりつつあります。

そうした環境下では、家計を考える際に「世帯」で考える必要があります。

単純な算数ですが、夫婦ともども年収が500万円であっても、世帯年収は1000万円あることになります。

日本人の平均年収が430万円ということですが、仮に夫婦で平均年収だとしても世帯年収は800万円を超えることになります。

世帯年収で1000万近くあれば、家計は問題ないだろうと考える方もいるかと思います。

年収1000万円世帯でも貧乏ということはありうるのか

さて、皆さんは「年収1000万円あっても貧乏」と聞くと、どう思われるでしょうか。

「贅沢しすぎだ」
「お金の使い道が間違っている」

いろいろな指摘があると思います。

私のケースなのですが、子どもの頃に、母親からよく「うちは貧乏」と聞かされていました。

そういわれるものですから、友達がクリスマスにファミコンのゲームソフトを買ってもらっていても、「うちは貧乏だしな」と思い、なかなか欲しいと言い出せなかったのを覚えています。

ところが、大人になって(といっても40代になっていましたが)、年末に家族で集まった時に、親も高齢となっているので、相続などのお金の話になりました。

そこで、突然知らされたのですが、私が子供のころの父親の年収は1000万円近くあったというのです。

その内容は「自分が子どものころに聞かされていた話と違う。うちは貧乏だったはず」といったのですが、そこには母親のいい分もありました。

なぜ母親は「うちは貧乏」といったのか

当時、母親は専業主婦で、育ち盛りの子供二人を育てていました。

育ち盛りの男の子二人に、地方出身の母親が嫁いで都会に出てきて、「自分自身には足りていなかった」と考えていた教育を自分の子どもに与えたいと思ったそうです。

小学校に入る前後から、書道や水泳などのおけいこ事をはじめ、小学4年生以降は私立中学受験をするための毎月の進学塾の塾代、ときには講習代などの教育費が家計をかなり圧迫したといいます。

また、長期ローンで購入した、今と比べるとかなり高い金利での戸建ての住宅費用などもかさみ、年収は1000万円近くとは言いながらも、手取りの月給ほとんどのこらず、貯蓄ができなかったといいます。

実際、私立中学進学時にかかる費用の一部は祖父母のサポートもあったと明かしてくれました。

地頭がよい人は塾などに通わずとも、有名私立中学に合格する人もいますが、多くの人は塾に通って合格するという人が多いかと思います。

塾代がかかることを「課金ガチャ」と呼ぶこともありますが、合格するためにたくさん受講しなければならないケースもあります。

当時は、今ほど中学受験の熱量も高くなかったと思いますし、子供の携帯電話やスマホの費用も必要なかったでしょうから、現在の子育て費用を考えると、30年程前と比べるさらにかさんでいると容易に推測できます。

子育て世代が苦しい日本でいいのか

では、現在、日本の就業している人の所得はどれくらいなのでしょうか。

冒頭に触れた平均年収をあらためて国税庁の資料をもとに見ていきましょう。

令和2年の国税庁のデータによれば、男性の平均給与が532万円、女性の平均給与が292万円ということで、仮に、この男女の平均が夫婦共働きであるとすれば、世帯収入は約825万円あることになります。

それぞれが平均でも世帯年収は800万円を超えています。

世帯年収1000万円でも、子どもを塾などに通わせると苦しいという話を見てきましたが、仮に世帯年収が800万円ならなおさらです。

では、年収1000万円を達成している人はどのくらいいるのでしょうか。

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」

年収1000万円世帯は全体の何パーセントか

先ほど見た国税庁の資料によれば、年収が1000万円超から1500万円の世帯は全体の3.4%。

また、年収が1000万円超でみると、全体の4.6%となります。

仮に、世帯で働き手がこの年収の人の一人の場合には、全体に占める割合がわずか上位5%弱のレンジにいるにもかかわらず、苦しいとなる日本で、果たして子育てに積極的になる世帯も少ないのでは?と思うのですが、いかがでしょうか。

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」

まとめにかえて

私のような就職氷河期世代から見れば、自分の親世代は、まだ会社での退職金や年金もあり、老後はゆとりがあるように見えます。

私たち世代が老後を迎える中で、子育てに疲弊し、老後の貯蓄もままならず、年金(支払い開始時期)への不安が残る中、何をしていけばよいのでしょうか。

岸田新政権の賃金アップの掛け声は現役世代にとっては魅力的なものの、富が高齢者世帯に偏っている現状を考えれば、マイルドなインフレを実現することで、継続的な賃金アップと預貯金を魅力的な資産に見えなくすることで、現役世代に富をシフトさせてほしいものです。

参考資料

国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)

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