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今年は中国経済の急減速に要注意?2022年の景気はどうなるか

LIMO / 2022年1月3日 4時55分

今年は中国経済の急減速に要注意?2022年の景気はどうなるか

今年は中国経済の急減速に要注意?2022年の景気はどうなるか

新型コロナや米国のインフレも心配ですが、今年の景気の最大のリスクは中国経済の急減速かも知れません(経済評論家 塚崎公義)。

景気は順調に回復中

新型コロナの流行が一段落し、緊急事態宣言も解除された事で、人々の経済活動は確実に回復しているようです。街中の人出も戻りつつありますし、12月の月例経済報告は「このところ持ち直しの動きがみられる」としています。

そして、12月の日銀短観は景気回復を印象付けるものとなっています。業況判断DIを見ると、これまで最も悲惨な目に遭って来た対個人サービスと宿泊・飲食サービスが顕著に回復しています。最も困っていた人が一息ついているというのは明るい話です。

製造業は、業況判断DIこそ前回(9月)から横ばいでしたが、今年度の利益の予想は大幅に改善していますし、製品需給の判断も改善しています。収益が改善し、製品需給の判断も明るくなれば、設備投資が増えると期待して良いでしょう。

筆者が注目しているのは、広範囲で労働力不足の深刻化(労働者から見れば事態の改善)が進展している事です。これが賃金上昇を通じて消費を拡大する事が望まれるわけですが、そうでなくとも雇用が拡大して労働者の所得が増えて消費が増える事は期待出来そうです。省力化投資も増えそうです。

このように、景気は回復しつつあり、今後についても景気回復の好循環が続くと期待される状況ですが、数多くのリスクも指摘されています。以下では新型コロナの第6波、米国のインフレと金融引締め、中国経済の急減速について考えてみましょう。

新型コロナへの過度な懸念は不要

新型コロナは、国内での流行は沈静化していますが、海外では新しい変異株であるオミクロン株が急速に拡大しています。感染力が非常に強いとのことなので、これが国内でも流行しはじめると、第6波となるわけです。

日本人は慎重なので、過去の感染が欧米諸国より遥かに少なかったのに経済の落ち込みは欧米諸国と大差ありませんでした。ということは、第6波が来れば再び経済は深刻な落ち込みに見舞われるかも知れません。

もっとも、過度な懸念は不要です。オミクロン株は感染力が強い一方で、重症化や死亡の可能性は低そうなので、それほど恐れる必要は無いのかも知れません。

中には「感染力が強いので、世界中の人に感染してしまえば、全員が抗体を獲得するので新型コロナは収束するだろう。その過程で重症化や死亡もそれほど多く無いだろう」という人もいるほどです。

そうならない可能性もありますし、新たな変異株が発生する可能性もありますから、楽観は禁物ですが、過度な懸念も不要という事ではないでしょうか。

米国のインフレの日本経済への影響は限定的

米国のインフレが金融引締めを招くと心配している人は多いようです。株価は金融政策の影響を強く受けますから、株式市場の投資家たちが利上げを懸念するのは当然の事でしょう。

しかし、実体経済は株価ほど金融政策の影響を受けないので、米国経済が失速して日本経済が大きな影響を受けるとは考えにくいでしょう。経常収支赤字国にとっては、米国から流入していた資金が反転流出して苦境に陥る可能性があるでしょうが、それが日本経済に影響するとも思われません。

これまでの米国のインフレは資源価格の高騰、流通の混乱、部品の不足等に起因する「悪いインフレ」でしたが、そうした要因はピークアウトし始めたようですから、今後もインフレが続くとすれば、それは景気拡大による賃金上昇がもたらす「良いインフレ」でしょう。

そうであれば、仮に金融政策が間違えたとしても、インフレか不況が来るだけでスタグフレーションに見舞われるリスクは小さそうです。それも今後を考える際の安心材料ですね。

中国経済の急減速リスクには要注目

中国の不動産バブルが崩壊すると言われ初めてから10年以上経ちますが、あながちオオカミ少年とも言えないようです。中国では多くの不動産開発企業が資金繰りに問題を抱えているようなのです。

中国政府としては、こうした企業を救済したいけれども一方で不動産価格の高騰も抑え込まなければならず、難しい舵取りを迫られているようです。

もうひとつ筆者が気にしているのは、中国政府が経済発展よりも共産党体制の安定を重視するために打っている手が強引すぎるように見えることです。

仮に富裕層に重税を課して、税収を貧困層に配分して人心を掌握するというのであれば、実害は小さいでしょう。「重税を払った残りだけでも十分豊かになれるくらい稼げば良いのだ」と考えた人々が起業家精神を発揮するでしょうから。

しかし、ある日突然「お前のビジネスは中国共産党の安定を阻害しかねない」と言われて禁止されたり懲罰的な制裁を加えられたりするのでは、人々は萎縮してビジネスにチャレンジするインセンティブを失いかねません。

人々がリスクを恐れてビジネスに消極的になれば、経済が失速する可能性もあるでしょう。海外からの投資も萎縮して流出してしまうかも知れません。

中国経済がバブル崩壊やビジネスの萎縮などで急減速すれば、日本経済への悪影響は多大なものとなりかねません。もともと内需が弱い日本経済が、インバウンドも期待出来ない状況で、輸出を頼りにしているのに、最大の輸出相手国である中国の経済が急減速したのでは影響は深刻です。

新年早々に暗い話は嫌ですから、そうならない事を祈りながら筆を置くことにしましょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから>>(https://limo.media/list/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)

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