60代「貯蓄がある人・ない人」の資産格差のワケ
LIMO / 2022年1月1日 5時50分
60代「貯蓄がある人・ない人」の資産格差のワケ
資産運用の格差は利回りと運用期間にあり
2022年は年金の仕組み(※編集部注)が大きく変わります。まだまだ先と思える老後ですが、今の暮らしが将来と密接に関わっていることは間違いありません。
「老後格差」なる言葉もありますが、少なからず現役時代のお金事情が老後に影響していくでしょう。
老後の暮らしを考えることは、現在の家計を考えるきっかけにもなります。「老後にお金が足りない」という事態にならないよう、今からできることを始めてみましょう。
その第一歩として、現在60代の「貯蓄がある人」「貯蓄がない人」の実情をさぐってみます。
【※参考記事】厚生年金「ひと月25万円以上」受給する人の割合は?(https://limo.media/articles/-/24659)
60代世帯の貯蓄平均・中央値は?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」を参考に、今の60代世帯の貯蓄額を見てみましょう。
60歳代・二人以上世帯の「金融資産保有額」
(※金融資産を保有していない世帯を含む)
平均:1745万円
中央値:875万円
金融資産非保有(貯蓄ゼロ)世帯は18.3%。約2割が貯蓄なしという結果にも驚きですが、貯蓄が3000万円以上の世帯が同様に約2割いる現状も見過ごせません。
貯蓄額だけでみれば、老後の格差が如実に表れていますね。
「貯蓄がある世帯」のみに限定すると、平均はいくら?
それでは「貯蓄がある人」の場合、実際にはいくらぐらい保有しているのでしょうか。今度は同調査のうち、金融資産保有世帯に限定して見ていきます。
60歳代・二人以上世帯の「金融資産保有額」
(※金融資産保有世帯のみ)
平均:2154万円
中央値:1465万円
60代のうち金融資産保有世帯の平均は2154万円、中央値は1465万円でした。貯蓄ゼロ世帯を含むと中央値が875万円だったので、2倍近い差になりますね。
3000万円を超える世帯も増加し、24%。4世帯に1世帯は3000万円以上の貯蓄があることになります。
「貯蓄のあり・なし」は資産の中身も関係ある?
貯蓄の内訳もみていくことで、「貯蓄がある人」「貯蓄がない人」の違いを検証してみましょう。
60歳代金融資産保有額の内訳
(※金融資産非保有世帯を含む)
金融資産保有額:1745万円
預貯金:959万円
金銭信託:5万円
生命保険:286万円
損害保険:39万円
個人年金保険:134万円
債券:45万円
株式:144万円
投資信託:96万円
財形貯蓄:27万円
その他金融商品:11万円
60歳代金融資産保有額の内訳
(※金融資産保有世帯のみ)
金融資産保有額:2154万円
預貯金:1184万円
金銭信託:6万円
生命保険:353万円
損害保険:49万円
個人年金保険:165万円
債券:56万円
株式:178万円
投資信託:118万円
財形貯蓄:33万円
その他金融商品:13万円
金融資産非保有(=貯蓄ゼロ)世帯を含むかどうかに関わらず、預貯金の割合は約55%でした。突発的な支出に備え、引き出しやすい預貯金として半分は確保しているようです。
残りの45%に注目すると、保険や投資信託等に分散されています。割合こそほぼ同じですが、保有額に400万円ほどの違いがあるのがポイントです。
「貯蓄がある人」「貯蓄がない人」の違いの一つは、このような資産運用の方法、運用期間にありそうですね。もう少し深掘りしてみましょう。
資産運用の「金利・期間」は、貯蓄格差の要因のひとつかも?
資産運用は、積み立てる金額だけでなく金利や運用期間でも左右されます。以下の条件で、月々2万円を運用した結果をシミュレーションしてみます。
15年間の運用を年率1%と6%で比較
年率1%で運用できた場合:388万2280円(元本360万円対比108%)
年率6%で運用できた場合:581万6374円(元本360万円対比162%)
年率6%の運用を15年と30年で比較
15年運用した場合:581万6374円(元本360万円対比162%)
30年運用した場合:2009万301円(元本720万円対比279%)
同じ2万円の運用でも、年率や運用期間で大きな差が生まれることがわかります。
格差から考える「老後のヒント」
「貯蓄がある人」「貯蓄がない人」の違いは、資産運用の方法もひとつだと考えられます。実際にシミュレーションをしてみると、複利や時間を味方につけることが大事だとわかりました。
老後の資産を短期の投資や退職金だけに頼るのは、あまりにもリスクが高いでしょう。退職までの時間を逆算し、お金を育てる方法を検討することが大切です。
資産運用を視野に入れる場合、お金の知識は正しく身につける必要があります。運用益で資産を増やせるメリットがある一方、元本割れのリスクもゼロではないからです。
「貯蓄がある人」を見習いつつ、いかにリスクを回避してお金を育てるか。そのカギは、正しい情報収集となります。この機会に、幅広く情報収集をしてみましょう。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/pdf/point2020.pdf)
金融庁「資産運用シミュレーション」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
35歳共働き世帯です。貯金「200万円」ですが、世間と比べ少ないでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月7日 4時50分
-
都内で暮らす50代独身男性の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら?【2024年版】
MONEYPLUS / 2024年9月3日 7時30分
-
51歳、現預金3500万円。物価上昇を考えると老後が不安です。今からできる対策はありますか?
オールアバウト / 2024年9月2日 12時20分
-
夫が52歳で早期退職しました。貯蓄が「5000万円」ありますが、夫婦ともに無職のままでも老後貧乏にはならないでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月23日 5時10分
-
60代のリアルな年収と貯金額をアンケート調査!シニア世代の資産配分について専門家がアドバイス
オールアバウト / 2024年8月21日 11時30分
ランキング
-
1日系企業、社員の一時帰国容認も=邦人に募る不安―中国・男児襲撃事件
時事通信 / 2024年9月19日 21時1分
-
2高齢者のダイエットは危険!実は寿命を削ってしまう可能性もあることが判明
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月19日 11時0分
-
3為替相場 20日(日本時間 6時)
共同通信 / 2024年9月20日 6時0分
-
4マイナ保険証では"大損"する人が続出…廃止される健康保険証だけに記載された最重要情報で医療費は雲泥の差
プレジデントオンライン / 2024年9月19日 10時15分
-
5ローソン、107円になる「長すぎるパン」を発売 「大きすぎるパン」も KDDIと共同開発した背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月19日 16時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください