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【SDGs】優待で人気なすかいらーくのESG戦略とは?その注目点と評価

LIMO / 2021年12月31日 6時45分

【SDGs】優待で人気なすかいらーくのESG戦略とは?その注目点と評価

【SDGs】優待で人気なすかいらーくのESG戦略とは?その注目点と評価

~株式投資の重要ヒント!有名企業のESG戦略分析シリーズ~

昨今、国内外で「SDGs」への注目度が急速に高まっています。当然、上場企業でもSDGsに関する取り組みを積極化する動きが見られ、セットで語られることの多い「ESG」と併せて株式市場でも重要な情報と見られています。今回はSDGs、ESGの基礎を簡単に説明したうえで、個人投資家にも人気のある、ガストやバーミヤンといったレストランチェーンを運営するすかいらーくグループのSDGs戦略を解説したいと思います。

SDGs・ESGを簡単におさらい!

SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の意味であり、国連加盟国が「持続可能でよりよい世界」を目指すために設定した国際目標です。具体的には、「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」といったように社会の抱える問題を幅広くカバーした目標が計17個定められており、日本を含めた多くの国がその達成に向けて努力している状況です。なお、SDGsの全ゴールについては末尾に参考情報として掲載していますので、ご参照ください。

SDGsについては、国だけでなく各企業も取り組んでいます。社会が持続可能であることはもちろん、企業にとっては事業が持続可能であることも重要であり、それに向けた取り組みに関する情報を積極的に開示しています。

そして、企業のこうした取り組みを評価しようとする動きが、金融市場でも広まっています。SDGsに関連している「環境」「社会」に加え、「企業統治」の計3点に対する企業の姿勢を、投資判断の際に考慮するという動きです。これは環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)のそれぞれの頭文字を取ってESG投資と呼ばれ、国内外の機関投資家を中心に急速に広まっています。また、上場企業にとっては投資を受けられるか否かに直結するテーマでもあるため、投資家からの目を意識した情報開示も広まりつつあります。

すかいらーくグループのSDGs・ESG戦略のポイントを解説!

「環境(E)」と絡めて、すかいらーくのようなレストラン運営会社の事業の持続可能性を考えた場合、「原材料調達の柔軟さ」が特に重要となってきます。原材料調達の柔軟さとは、事業環境に変化が起こっても食材などの原材料を安定して調達できる体制ということになります。

この点、すかいらーくのサプライチェーンに関する説明を見ると、全国に10カ所あるセントラルキッチンでは余分な在庫を持たず、保存コストを抑えるといった、安定性よりも効率性を重視する姿勢が見受けられます。

ただ、原材料の調達先は世界40カ国にも上り、為替変動の影響を最小限にとどめるほか、相場が高騰した食材については産地の変更や契約期間・量の見直しなどを実践しており、安定性のカバーもできているようです。

次に、「社会(S)」と絡めてすかいらーくの事業の持続可能性を考えた場合、「食の安全・安心」「労働管理」などが重要となってきます。食の安全・安心について取り組みは広範で、アレルギー物質や栄養成分、主要食材原産地の表示のほか、栄養バランスの取れた定食メニューの充実、ライスの量の加減、ソイブレッドや雑穀米の選択など、利用者が自分で選べるような健康メニューも提供しています。

また、労働管理においては、営業時間の変更を軸に大きな活動を展開しています。2017年に約350店で深夜営業時間の見直し、2019年には年末年始の営業時間短縮を新たに取り入れ、2020年7月以降は原則グループ全店の深夜営業時間を23時30分に短縮しました。こうした取り組みは単純に営業活動の縮小というネガティブなものではなく、利用者の新しい生活様式に合わせ、利用者が多く来店する時間、利用者が求める売り方(デリバリー・テイクアウト)に人的資産を集中させることで、事業の効率性向上や収益確保を企図したものでもあります。

こうしたすかいらーくの取り組みは、ESG投資におけるE・Sに直結するのはもちろん、SDGsが掲げる17のゴールの「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」といった複数ゴールにも関わっており、投資家からの評価にもつながっていることでしょう。

すかいらーくグループの直近業績とまとめ

すかいらーくの経営は持久戦が続いている状況です。同社は11月に2021年12月期通期の業績予想を修正しました。売上高予想はやや引き下げ、利益予想については大幅な引き上げとなりました。ただ、利益面についてはコロナ禍の中で、深夜営業廃止による固定人件費や水道光熱費の低減、プロモーション費用の低減、オーナーの協力による店舗賃料の減額や売上歩率への契約変更、本部経費の削減など、苦境ならではのメス入れが継続している状況で、依然としてコロナとの厳しい戦いが繰り広げられています。

今回ご紹介したように、すかいらーくグループは厳しい事業環境に立たされながらも、労働管理において従業員保護と収益性の確保を両立しているほか、原材料の調達においても安定性を高める取り組みを進めています。コロナ動向とセットで業績に注目が集まるのはもちろん、ESGの観点でも事業の収益性・安全性が改善する点においても、より注目を集めていくことでしょう。

【参考】SDGsの17の目標

1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も
9:産業と技術革新の基盤を作ろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう

参考資料

すかいらーくグループ「統合報告2020 垂直統合サプライチェーン」(https://www.skylark.co.jp/company/i_report/2020/scm.html)

株式会社すかいらーくホールディングス「2021年12月期通期連結業績予想(IFRS)の修正および配当予想修正に関するお知らせ」(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3197/tdnet/2048430/00.pdf)

株式会社すかいらーくホールディングス「2021年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結) 」(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3197/tdnet/2048436/00.pdf)

すかいらーくグループ「安全・安心への取り組み」(https://www.skylark.co.jp/csr/safety/index.html)

すかいらーくグループ「健康と栄養に関する考え方」(https://www.skylark.co.jp/csr/health_nutrition.html)

すかいらーくグループ「働き方改革の推進」(https://www.skylark.co.jp/csr/work_style_reforms.html)

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