ふるさと納税のメリット・デメリットを元国税調査官が解説!
LIMO / 2022年1月11日 11時55分
![ふるさと納税のメリット・デメリットを元国税調査官が解説!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_26888_0-small.jpg)
ふるさと納税のメリット・デメリットを元国税調査官が解説!
お得な制度の代名詞ともいえるふるさと納税。2008年にスタートして以来ずっと注目を集めています。筆者が確定申告事務に従事していたときに多く寄せられた質問のひとつが「ふるさと納税」に関するものでした。
そこで今回は、ふるさと納税の基本やメリットデメリットについてお伝えします。
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい都市など自分が選んだ自治体に貢献するための制度です。「納税」という名前がついていますが「寄附金」として扱われ、「寄附金控除」として所得税や住民税から控除できる仕組みになっています。
複数の地方自治体に寄付できますが、ふるさと納税先の自治体数が5団体を超えると「ワンストップ特例」が利用できなくなりますので注意が必要です。「ワンストップ特例」については、あとで解説します。
自己負担額が2000円といわれるふるさと納税ですが、これは一定の上限金額内におさめた場合です。自己負担額が2000になる上限額は、ふるさと納税を行った人の収入や控除の状況によって変わってきますので自分の上限額はいくらなのかあらかじめ確認する必要があるでしょう。
上限額を計算する式は次のとおりです。
上限額=個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税の税率×1.021)+2000円
正直ややこしい数式ですよね。総務省のホームページに上限額の目安一覧表がありましたのでそちらをご覧いただくほうが良いかもしれません。
一部抜粋して記載するとこのようになります。
【ふるさと納税の例1】
本人の年間収入 400万円
家族構成 独身
ふるさと納税の年間上限額 4万2000円
【ふるさと納税の例2】
本人の年間収入 600万円
家族構成 夫婦+子供(高校生1人)
ふるさと納税の年間上限額 6万円
ふるさと納税のメリット
皆さんご存じかとは思いますが、改めてふるさと納税のメリットについて考えてみたいと思います。
メリット1.返礼品がもらえる
ふるさと納税をする自治体からさまざまな返礼品を受け取れるのはメリットでしょう。自治体それぞれが個性あふれる特産品を返礼品としているため、返礼品を選ぶ楽しみがあるのも特徴です。
メリット2.節税になる
先に書いたように、ふるさと納税は所得控除のひとつである「寄附金控除」として取り扱われ、所得税や住民税の減額につながります。簡単な式にすると次のようになります。
ふるさと納税の金額=2000円+所得税からの控除額+住民税からの控除額
所得税からの控除額は所得税の税率によって異なってきます。
所得税の控除額=(ふるさと納税額-2000円)×所得税の税率
また、住民税からの控除額は基本分と特例分に分かれます。
住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2000円)×10%
住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
具体的な計算についてはお住まいの自治体にお問い合わせください。
ふるさと納税のデメリット
メリットに目が行きがちなふるさと納税ですが、デメリットもあります。考えられるデメリットを2つ挙げます。
デメリット1.控除を受けるためには一定の手続きが必要になる
先に説明した所得税や住民税の控除を受けるためには、「ワンストップ特例」を利用するか「確定申告をする」必要がありますので、少々手間だと感じる人もいらっしゃるかもしれません。
デメリット2.お目当ての返礼品がもらえないケースがある
欲しい返礼品があったとしても、人気の品である場合品切れになってしまうことも。お目当ての返礼品がある人は早めにふるさと納税の手続きをすることをおすすめします。
ふるさと納税後の手続き
ここからはふるさと納税をした後にすべき手続きを説明します。方法は2種類。「ワンストップ特例」と「確定申告」です。それぞれみていきましょう。
ワンストップ特例を利用する
ワンストップ特例は、確定申告が不要な会社員等がふるさと納税を行う場合に使える制度です。特例を利用するには、納税先の自治体数が5団体以内であることが要件になります。また、ふるさと納税先の自治体に特例を利用するための申請書を提出する必要があります。
ただし、会社員等で医療費控除や住宅ローン控除を受けるために確定申告を提出する際にはワンストップ特例制度は使えませんので、ふるさと納税も寄附金控除としてあわせて申告することになります。
確定申告をする
ふるさと納税先の自治体数が5団体を超える人や自営業者等確定申告が必要な人は、確定申告でふるさと納税した分を申告することになります。
確定申告をする際はインターネットで申告書を作成するのが便利です。詳しくは国税庁のホームページを確認してください。
ふるさと納税を賢く活用する
ふるさと納税は減税につながったり返礼品がもらえたりとても魅力的な制度です。しかしながら上限額を意識する必要がありますし、デメリットもないわけではありません。仕組みやメリットデメリットを知ったうえで賢く利用したいですね。
参考資料
総務省「ふるさと納税ポータルサイト」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html)
和光市「ふるさと納税の上限額の計算方法」(http://www.city.wako.lg.jp/home/kurashi/zeikin/kojinshiminzei/kojinjuminzei/zeigakukoujo/furusatonouzei.html)
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