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年収1000万円世帯が、ゆとりを実感しにくいワケ

LIMO / 2022年1月13日 16時50分

年収1000万円世帯が、ゆとりを実感しにくいワケ

年収1000万円世帯が、ゆとりを実感しにくいワケ

2021年の年末には、「子育て世帯への臨時特別給付金(18歳以下10万円給付)」の所得制限をめぐり、議論が巻き起こりました。

所得判定は児童手当の基準を参考にしますが、そもそも児童手当の所得制限が世帯所得ではなく、所得の多い方で判定することに疑問を持つ方が多かったようです。

例えば扶養親族3人(児童2人+年収103万円以下の配偶者)であれば、960万円が収入額の目安となり、これを超えると支給対象外。

夫婦どちらかの年収が1000万円を超えたら受け取れないが、それぞれが年収500万円であれば受け取れる。同程度の世帯年収で、公的補助に差が出るワケです。

いわゆる高収入のひとつの基準とされることも多い「年収1000万円」。この年収ゾーンの「ゆとりと負担感」について深掘りしていきます(※編集部注)。

【※参考記事】 元信金職員がみたお金が貯まる人の特徴(https://limo.media/articles/-/21143)

年収1000万円世帯の「負担感」

では、「年収1000万円世帯」の実際の収入事情を、「夫1人で稼ぐ世帯」と、「夫婦共働きで達成する世帯」の2つのパターンに分けて見ていきましょう。

ここでは「16歳未満の子どもが2人いる世帯」を例に、パターンごとにおおよその手取り額を出してみます。なお、社会保険料は年収の15%、住民税は所得の10%で計算し、千円未満は切捨てて計算します。

■夫・会社員(年収1000万円)+妻(専業主婦)+子ども2人(16歳未満)

1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-48万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)=569万円(課税所得)
所得税:569万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=71万500円
住民税:569万円×10%=56万9000円(=住民税)

1000万円-150万円(社会保険料)-127万9500円(所得税と住民税)=722万500円

■夫婦で会社員(それぞれ年収500万円)+子ども2人(16歳未満)

500万円-144万円(給与所得控除)=356万円
356万円-48万円(基礎控除)-75万円(社会保険料控除)=233万円(課税所得)
所得税:233万円×10%(税率)-9万7500円(控除額)=13万5500円
住民税:233万円×10%(住民税)=23万3000円

500万円-75万円(社会保険料)-36万8500円(所得税と住民税)=388万1500円
388万1500円×2人=776万3000円

その差を比べると、共働き世帯の方が約54万円ほど手取りが多いことが分かりました。

とはいえ、片働きで年収1000万円では所得制限の対象となってしまう制度に、今回の子育て世帯への10万円相当の給付や児童手当があります。その制度を詳しく見ていきましょう。

所得制限のワナ「だから年収1000万円世帯は、ゆとりを実感しにくい」

■「児童手当」

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人に支給されます。

児童手当(月額)

3歳未満・・・一律1万5000円

3歳~小学校終了前・・・1万円(第3子以降は1万5000円)

中学生・・・一律1万円

ただし、所得制限の対象となる方は特例給付の「児童1人当たり月額一律5000円」となります。「会社員の夫と専業主婦、子ども2人の家庭」であれば年収960万円が所得制限の対象になるでしょう。

※2022年10月からは、夫婦どちらかが年収1200万円以上の場合、児童手当が廃止されます。

■「高等学校等就学支援金制度」

高等学校等就学支援金制度は、収入などの要件に応じて、授業料部分が支援される制度です。これについたは、片働きか共働きかで所得制限が変わります。

■■目安年収「両親が共働き世帯の場合」

子の数:年11万8800円(月額9900円)の支給対象・年39万6000円(月額3万3000円)の支給対象

子1人(高校生):~約1030万円・~約660万円

子2人(高校生・中学生以下):~約1030万円・~約660万円

子2人(高校生・高校生):~約1070万円・~約720万円

子2人(大学生・高校生) :~約1090万円・~約740万円

子3人(大学生・高校生・中学生以下):~約1090万円・~約740万円

■■目安年収「両親のうち一方が働いている場合」

子の数:年11万8800円(月額9900円)の支給対象・年39万6000円(月額3万3000円)の支給対象

子1人(高校生):~約910万円・~約590万円
子2人(高校生・中学生以下):~約910万円・~約590万円
子2人(高校生・高校生):~約950万円・~約640万円
子2人(大学生・高校生) :~約960万円・~約650万円
子3人(大学生・高校生・中学生以下):~約960万円・~約650万
※給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、収入は同額として計算

上記はあくまで「目安の年収」です。実際は子どもの年齢などにより変わってきますが、「会社員の夫と専業主婦の妻、子2人(高校生・中学生以下)」の場合、年収910万円以上は対象外になるでしょう。

その他、子どもの医療費助成(乳幼児医療助成)も、自治体独自の所得制限が設けられているケースがあります。

毎月の児童手当を積立貯蓄に回せれば、それなりの教育資金を準備することもできるでしょう。また、小さいお子さんは何かと通院が頻繁になりますから、医療費助成があるかないかで、家計に大きな差が出ることも多いはずです。

「年収1000万円世帯」とひとくくりにすることは簡単ですが、こうした公的支援の対象になるかどうかは、暮らしのゆとり部分に少なからず影響するといえるでしょう。

税制優遇制度の活用も検討を!

「税負担が重いわりに、公的助成の対象からは外れてしまう・・・・・・」

場合によっては、「稼ぎ損」にもなり得る年収1000万円世帯。なかなかゆとりを実感しにくい場面もあるでしょう。そこで、税制優遇制度の活用を検討してみてもよいかもしれません。

ここでは近ごろ耳にすることが多い、「iDeCo・ふるさと納税・住宅ローン減税」についてお話しします。

「iDeCo:イデコ、個人型確定拠出年金」→所得控除

iDeCoは「自分でお金を出し、自分で金融商品を選び、自分で受取る」という年金制度です。

積立資金は原則60歳まで引き出しできませんが、運用益は非課税、掛金は全額所得控除になります。

■ふるさと納税→税額控除

ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。

所得税からの控除額:(ふるさと納税額-2000円)×所得税の税率

住民税からの控除額:(ふるさと納税額-2000円)×10%

※全額控除されるふるさと納税額(年間上限)は、世帯の収入や状況によって異なります。

■住宅ローン減税→税額控除

住宅ローンを借入れて住宅を取得した場合に、金利負担の軽減を図るための制度です。

1年目から10年目は「毎年末の残高×1%(最大40万円)」、11年目~13年目は「毎年末の残高×1%または建物の取得価格の2%÷3のいずれか少ない方」が減税される仕組みです。

※2022(令和4年)12月までの入居の場合

税金面でのメリットを受けながら、「負担を減らし、ゆとりを感じる」ことにも繋がりそうですね。ぜひ詳細をチェックしてみてください。

「節税しながら、資産を増やす」も検討を

今回は、「年収1000万円世帯」にフォーカスしました。

所得税には、収入に応じて税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。よって、稼ぎがよい分、引かれる所得税も増えます。一方で、年収が高いほど、公的な援助の対象外になる傾向があります。

年収1000万円は、そんな「働き損」を感じる一つのボーダーラインともいえそうです。

とはいえ、キャリアアップが年収に繋がることで、仕事に対する背筋は伸びるでしょう。お財布事情は世帯ごとにさまざまです。

先ほどご紹介した税制優遇制度などを活用することで、少しでもゆとりを実感できる部分を増やしていければ理想的ですね。マネー誌やウェブサイトなど、さまざまな媒体から幅広く情報収集していきましょう。

参考資料

内閣府「児童手当制度のご案内」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

文部科学省「高校生等への修学支援」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)

iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」

総務省「よく分かる!ふるさと納税」

国土交通省「すまい給付金 住宅ローン減税制度の概要」

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