男女の賃金格差はどれくらいあるのか。年齢や雇用形態、産業別にチェック
LIMO / 2022年1月26日 18時50分
男女の賃金格差はどれくらいあるのか。年齢や雇用形態、産業別にチェック
2022年1月20日の衆院代表質問で、岸田文雄首相は男女の賃金格差是正に向けて有価証券報告書の開示項目にするなど、開示ルールの在り方を具体的に検討すると各種メディアで報じられました。
OECDの「男女間賃金格差」(男性所得の中央値に対する男性と女性の所得中央値の差)によると日本は22.5%。1位の韓国31.5%、2位のイスラエル22.7%に次いで3位です。
男女の賃金の差は管理職の比率と勤続年数の違い、また職種や業種などさまざまな要因があるでしょう。実際にどれくらいの差があるのか、統計とともに確認していきましょう。
男女の平均年収の差は239万円
国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は433万円です。男女別では男性は532万円、女性は293万円と、男女で239万円の差があります。
ただこれは1年を通じて勤務した給与所得者5245万人の平均です。年齢や性別、職種などもすべてあわせた結果となるので、同調査より正規・非正規に分けた平均給与も確認しましょう。
【正規】平均給与 496万円
男性:550万円
女性:384万円
【非正規】平均給与176万円
男性:228万円
女性:153万円
男女差は正規で166万円、非正規で75万円。正規・非正規で分けても男女で大きな差があることがわかりました。
2001年~2020年までの男女間賃金格差をチェック
ではもう少し詳しく、厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」より、2001(平成13)年から2020(令和2)年の男女の賃金の推移を確認しましょう。
※賃金とは6月分の所定内給与額。「所定内給与額」とは、現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当として支給される給与)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額。
2020(令和2)年の賃金は男性で33万8800円、女性で25万1800円。男女間賃金格差(男=100)にすると74.3です。
男女間の賃金格差の推移をみると、2001(平成13)年の65.3から2020(令和2)年の74.3まで9ポイント是正されています。しかし逆に、まだ25.7もの男女差があるとも言えるでしょう。
年齢・雇用形態別の賃金はどれくらい違うか
賃金は雇用形態や年齢による違いも見られます。同調査より、男女に分けて年齢や雇用形態別の賃金も確認しましょう。
雇用形態別に見ると、男女計の「正社員・正職員」は32万4200円(42.2歳、勤続年数12.5年)、「正社員・正職員以外」は21万4800円(48.8歳、勤続年数8.7年)です。
男性の「正社員・正職員」をみると、20〜24歳では21万7300円で、最も高いのは55〜59歳で43万5300円。一方で女性の「正社員・正職員」は20〜24歳では21万3300円と男性と同程度ですが、最も賃金が高いのは55〜59歳で30万3600円です。
平均で見ると、男性の「正社員・正職員」は35万700円(42.9歳、勤続年数13. 8年)に対し、女性の「正社員・正職員」は26万9200円(40.6歳、勤続年数9. 8年)です。
男女の平均給与の差の一つに、勤続年数の違いもあると考えられるでしょう。ただ最も高い賃金で13万1700円もの差があることを考えると、管理職の比率などそれ以外の要素も考えられます。
産業別の違いはどれくらいか
もう一点確認したいのが、主な産業別の雇用形態や性別による賃金格差です。
上記を見ると、たとえば「建設業」の男性の正社員・正職員は34万8900円、女性の正社員・正職員は25万5000円。
「正社員・正職員以外」でみると男性は30万600円で、「雇用形態間 賃金格差(正社員・正職員=100)」は86.2 。女性は21万5400円で雇用形態間の賃金格差は84.5です。 建設業の場合は「雇用形態間 賃金格差」が80代ですね。
一方で、「卸売業、小売業」の男性の正社員・正職員は36万円、女性の正社員・正職員は26万4600円。
「正社員・正職員以外」でみると男性は22万1800円で、雇用形態間 賃金格差は61.6 。女性は17万9600円で雇用形態間の賃金格差は67.9です。 「卸売業、小売業」になると雇用形態間の賃金格差が60代になります。
上記を見ると男女差に加えて、産業別に雇用形態間による賃金格差もみられるとわかります。
格差は続くも社会は変化しつつある
男女の賃金格差について、その推移や雇用形態、年齢、産業などから確認しました。さまざまな観点から比較してみても、女性は男性より賃金が低い傾向にあります。
一方で、今回岸田首相が男女の賃金格差是正に向けて有価証券報告書の開示項目にすることを検討するとしたように、社会全体ではその差を是正する動きが見られます。
女性は育児や介護により離職することが多く、それにより賃金の影響を受けやすいのも事実ですが、今では共働き世帯が主流など時代は変化しつつあります。引き続きこの動向を見守りながら、ご自身のライフプランやキャリアについても考えていきましょう。
参考資料
OECD「男女間賃金格差」(https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm)
国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/minkan.htm)
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html)
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