日経平均株価「2万6000円割れ目前の大暴落」3つの背景とは
LIMO / 2022年1月29日 7時30分
![日経平均株価「2万6000円割れ目前の大暴落」3つの背景とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_27227_0-small.png)
日経平均株価「2万6000円割れ目前の大暴落」3つの背景とは
2022年を迎えてもうすぐ1カ月が経ちますが、株式市場は大荒れとなりました。
年始には2万9000円台で推移していた日経平均は、9%下落し、一時は2万6000円を下回る寸前まで値下がりしました。
今回はこのような暴落が起こった背景をご紹介します。
日経平均株価が大暴落
2021年の年末から2022年の年始にかけて2万9000円付近で推移していた日経平均は、月前半から崩れ始めました。
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2022年1月27日には終値で2万6170円、同日取引時間中には2万6054円をつけました。
終値の2万6170円を2021年末の終値と比較すると、9.2%の下落となります。
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また、この水準は実に約1年ぶりの安値圏となります。
なぜこのような大幅下落が起こったのでしょうか。考えられる3つの背景を紹介していきます。
背景1. 米国金利の上昇
背景の1つ目は、「米国金利の上昇」です。
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米10年物国債利回りの年初からの推移を見ると、大きく上昇したことが見て取れます。
金利上昇の要因となったのは、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測です。
年明けから金融市場では、FRBによるインフレ抑制を目的とした利上げが近々行われるとの思惑が広がっていました。
2022年1月6日(日本時間)に公開された2021年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも、年内に少なくとも3回の利上げの可能性が示唆され、タカ派の姿勢が強調されました。
そして、2022年1月26日~27日(日本時間)に開催されたFOMC後の記者会見では、パウエルFRB議長が3月に政策金利の誘導目標を引き上げる可能性が高いことを示唆したほか、3月に債券買い入れをストップし、保有資産の大幅な圧縮を進める計画を発表しました。
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こういった経緯の中で米10年物国債利回りは大きく上昇し、足元では約2年ぶりの高水準まで上昇しました。
金利は株式や不動産などあらゆる資産の価値に影響を与えます。
一般的には、金利と資産価値は反比例に動きますので、金利の上昇は資産価値にとってマイナスに影響します。
米金利が約2年ぶりの高値圏まで上昇したので、そのインパクトも非常に大きかったと考えられるのではないでしょうか。
背景2. 円高ドル安の進行
背景の2つ目は、円高ドル安の進行です。
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ドル円相場は2022年に入って、右肩下がりで推移してきました。
為替レートと金利には深い関係があり、金利の上昇は、短期的にはその国の通貨の買いにつながるケースが多いです。
米金利が上昇するケースでいえば、理屈としては「円安ドル高」の動きとなります。
しかし、日本円はリスク回避資産として買われる傾向が強く、今回のような株式市場の暴落を伴うような場合は、リスク回避の買いが優勢となって「円高ドル安」が進むケースもあります。
今回はおそらくこういった事情で円高ドル安が進んだと考えられます。
では、なぜ円高ドル安が今回の暴落につながったのでしょうか。
皆さんもニュースなどで「円高を受けて日経平均が下落した」といったニュースをご覧になったことがあるのではないでしょうか。
日経平均株価に採用されている銘柄には海外での売上規模が大きいものも多いです。
円高の進行はこういった企業にとって、海外でモノを売りづらくなったり、外国通貨建ての資産価値の目減りにつながったりしてしまいます。
多くの企業でこういった業績悪化の懸念が強まることで、株式市場では売りが出やすくなります。
背景3. 寄与度の高い業務・銘柄の下落
背景の3つ目は、「寄与度の高い業務・銘柄の下落」です。
ここで、日経平均とTOPIXの値動きも見てみます。
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どちらも下落してはいますが、日経平均の方が、下落率が大きいことが分かります。
ちなみに2021年末の終値と比較した下落率は、日経平均が9.2%、TOPIXが7.6%となります。
なぜ、日経平均の方がより値下がりしたのでしょうか。
ここで、東証33業種の直近1カ月の業種別騰落率ランキングを見てみましょう。
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※数値は2022年1月27日終値ベース
こうして見ると、サービス業、電気機器、精密機器、金属製品の下落率がそろって10%を超えており、大きいことが分かります。
電気機器、精密機器、金属製品は俗に「外需景気敏感業種」とまとめられるように、業績が海外動向に大きく左右される業種です。
上記したドル円相場の影響も大きく受けることになります。
ちなみにサービス業はそれ自体が外需景気敏感業種ではないですが、時価総額首位のリクルートホールディングスが米国展開を活発にしていることから、2021年末終値対比で27.0%も下落したことが響いています。
次に、業種別で見た日経平均採用銘柄社数を見てみます。
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※直近1カ月で10%以上下落した業種には色をつけてあります
こうして見ると、大幅安となった業種の中でも、電気機器の銘柄数が群を抜いて多いことが分かります。
日経平均採用銘柄は225社なので、1割以上が電気機器の銘柄ということになります。
次に、日経平均株価への寄与度の高い銘柄上位50社を見てみましょう。
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※直近1カ月で10%以上下落した業種には色をつけてあります
上位50社の中に電気機器の銘柄が13社含まれていることが分かります。
割合でいうと、実に26%にのぼります。
つまり、電気機器業種の大幅安は、日経平均にとっても非常に大きな重しになったということです。
ちなみにTOPIXは算出方法が異なるので、日経平均とは異なる寄与度となります。
まとめにかえて
暴落となった日経平均。
その背景には今回ご説明した3つの要素が大きく影響したのではないでしょうか。
今後の動向に注目です。
参考資料
Federal Reserve Board(https://www.federalreserve.gov/)
Federal Reserve Board「Federal Reserve issues FOMC statement」(https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20220126a.htm)
日本証券取引所グループ TOPIX(東証株価指数)(https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/index.html)
日本証券取引所グループ リアルタイム株価指数値一覧(https://www.jpx.co.jp/markets/indices/realvalues/01.html)
日経平均プロファイル「日経平均株価」(https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nk225)
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