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年収600万円世帯の本当の貯蓄はいくらか。老後資金を今から作るには

LIMO / 2022年2月5日 5時20分

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年収600万円世帯の本当の貯蓄はいくらか。老後資金を今から作るには

国税庁公表の「令和2年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は433万円(対前年比 0.8%減)とのこと。

これを男女別にみると、男性532万円(同1.4%減)、女性293万円(同1.0%減)となっています。

【図表】平均給与の推移

【出典】令和2年分民間給与実態統計調査(2021年9月)

これらをふまえ男性平均額より高い、年収600万円以上となると、データ上は一定の貯蓄もしながら、ゆとりある生活を過ごせそうな気がしてしまうのではないでしょうか。

私は以前、生命保険会社に勤務しファイナンシャルプランナーとして多くのみなさんのお金にまつわる相談を受けてきました。その経験もふまえ、今回は年収600万円以上世帯の貯蓄事情を紐解きながら、将来への資産の備え方についてお話ししていきたいと思います。

「年収600万円世帯」の平均貯蓄額はどのくらいなのか?

総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、「年収600万円台」の勤労世帯について、貯蓄額とその内訳をみていきましょう。

年収600万~650万円世帯(平均年収…622万円)

平均貯蓄額:1209万円

〈貯蓄の内訳〉

金融機関…1177万円

通貨性預貯金:412万円

定期性預貯金:376万円

生命保険など:263万円

有価証券:126万円

金融機関外…32万円

年収650~700万円世帯(平均年収…672万円)

平均貯蓄額:1229万円

〈貯蓄の内訳〉

金融機関…1191万円

通貨性預貯金:405万円

定期性預貯金:316万円

生命保険など:330万円

有価証券:140万円

金融機関外…37万円

こうみると、年収600万円の世帯は預貯金を中心に平均して1200万円程度の貯蓄をしていることがわかります。

年収600万円台・働く世帯の負債

貯蓄額とともに把握しておく必要があるのが「負債額」です。同調査から、年収600万円台世帯の負債額について確認します。

年収600万~650万円・勤労世帯の負債額

平均負債額・・・930万円

うち「住宅・土地のための負債」・・・874万円

年収650万~700万円・勤労世帯の負債額

平均負債額・・・920万円

うち「住宅・土地のための負債」・・・861万円

年収600万円台の負債のほとんどが、住宅ローンなどの「住宅・土地のための負債」ということがわかりました。

年収600万円・働く世帯の「ほんとうの貯蓄額」

では、先述の「平均貯蓄額」から「負債額」を差し引いた「純貯蓄額」をみていきましょう。いわゆる「本当の貯蓄額」ともいうべきものですね。

年収600万~650万円世帯の純貯蓄額

1209万円-930万円=279万円

年収650万~700万円世帯の純貯蓄額

1229万円-920万円=309万円

年収600万円台世帯の平均額で考えた純貯蓄額は、単純計算すると半年分の収入以下。この金額に、やや心もとない印象を受けた方も少なくないでしょう。

年収600万円・働く世帯の「家族のすがた」

もう少し実態を深堀りするため、「600万円世帯」の家庭状況を紐解いていきましょう。

年収600万~650万円・勤労世帯の家族構成

世帯主の平均年齢・・・48.3歳

世帯人数の平均・・・3.29人

うち18歳未満の世帯人員・・・0.97人

世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・54.8%

年収650万~700万円世帯・勤労世帯の家族構成

世帯主の平均年齢・・・48.3歳

世帯人数の平均・・・3.37人

うち18歳未満の世帯人員・・・0.98人

世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・56.4%

これらのデータから、2点読み取れるものがありました。

まず1点目が、約半数が「共働き世帯」であること。世帯主の配偶者のうち女性の有業率が55%前後となっていることで分かります。単身ではなく、2人で働くことで収入を維持している世帯も多いですね。

2点目は、大学などへの進学を控えたお子様がいる世帯が多い、ということ。世帯主の平均年齢は48.3歳。かつ、家族の中に18歳未満の人が1名ほどいることから分かります。

自宅外通学や医歯薬学系学部などを選んだ場合は、この先も高額な子育て費用が必要となるでしょう。

将来のお金のことも忘れずに

ここまで年収600万円世帯の貯蓄事情を紐解いてきました。年収600万円世帯は、マイホームの購入やお子様の教育費など、出費も多くなる年代の方が多い世帯と言えるかもしれませんね。

ちなみに、「教育資金」「住宅資金」「将来(老後)資金」は、人生の三大資金と言われています。

実は、この3つの資金のうちに、より丁寧に計画を立てる必要のあるのが「将来(老後)資金」なのです。将来お金に困ったときに、親族からの援助や自治体の保障に頼ることはできても、自らの力で老後に新たに資金を調達することは、簡単なことではないことは皆さんも想像できるのではないでしょうか。

将来のお金は「今から」準備を始める

低金利時代と呼ばれるいまは、預貯金で漠然とお金を持ち続けていても、受け取れる金利はほんのわずか。お金を「増やす」ことには繋がりにくいといえるでしょう。

そこでぜひ視野に入れていただきたいのが「お金に働いてもらう」という発想、つまり「資産運用」のスタートです。退職金や公的年金だけに頼らず、自助努力で資産を増やしていければ老後の安心につながります。

預貯金とは異なり、資産運用に元本保証はありません。そこで長期で取り組み、購入するタイミングを分散させながら、コツコツと積立ていくことをお勧めします。

決まった金額を定期的に投資していくと、安いときに多く買えるため、価格下落のリスクを抑えることに繋がります。つみたてNISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)といった少額からの積立投資を後押しする制度の活用を検討してみてもよいかもしれません。まずはお持ちの資産の状況をしっかり把握することからはじめてみることをおすすめします。

参考資料

令和2年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf)

家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1&tclass4val=0)

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