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オンライン授業の体制は整ったけれど…コロナ禍で学力格差は広がってしまうのか

LIMO / 2022年2月18日 17時50分

オンライン授業の体制は整ったけれど…コロナ禍で学力格差は広がってしまうのか

オンライン授業の体制は整ったけれど…コロナ禍で学力格差は広がってしまうのか

新型コロナウイルスによる臨時休校措置から、早いもので2年を迎えようとしています。現在も全国各地で感染による休校が相次いでおり、とくに子どものいる共働き世帯にとっては試練の日々が続いています。

休校になった際に子どもの学習時間の確保が出来るかどうかも家庭の収入に左右されやすく、教育格差が拡大していると懸念されています。

世帯年収別の家庭学習費から見えてくること

ARINA株式会社が運営する幼児、小学生の保護者向けの教育メディア「おうち教材の森」(https://naki-blog.com/study/)が中学生以下のお子さんのいる親300人を対象に「コロナ禍における家庭学習調査」を実施(2022年1月24日・25日)。コロナ禍によってさらに拡大しているとされている教育格差の実態が見えてきました。

収束が見えないコロナ禍ですが、「オミクロン株は子どもの教育に影響があるか」という問いに対し「マイナスの影響」と答えたのは60%にもなりました。感染症ということもあり、突然休校することもあり学校での学びが途切れやすくなります。

アンケート結果からは、新型コロナウイルスの感染拡大により子どもの教育費に変化も見られました。「増えた」が15.3%、「変わらない」は78.7%、「減った」は6%と回答。増えたもしくは現状維持とする家庭の割合が大半を占め、コロナ禍でも以前と同じ水準または増やす動きが顕著であることが分かりました。

しかしコロナ禍は景気後退にもつながり年収にも直結し、教育費の捻出も左右します。「コロナ禍で収入が変わったか」という質問の答えを世帯年収別に比べてみると以下のような結果が出ました。

年収400万円以下 

変わらない(42.3%) 減った(56.4%) 増えた(1.4%)

年収400万円~800万円

変わらない(55.6%) 減った(41.3%) 増えた(3.1%)

年収800万円以上

変わらない(83.3%) 減った(11.9%) 増えた(4.8%)

年収別の子ども1人にかける1カ月の教育費は年収800万円以上のボリュームゾーンが5000円以上、年収400万円以下や400万円から800万円の世帯では5000円未満が最多となっています。

同じ「教育費を出している」でも教育費のかけ方は年収により差が出ており、コロナ禍が長引けば長引くほど教育格差が助長されかねない状況です。

公教育でもオンライン態勢が整ったが

ここ10年近く、年収と学力との関係性が指摘されています。2020年3月の一斉休校では、主に公立学校に通う子ども達の学びの確保が大きな課題となり、私立学校との差が浮き彫りとなりました。

その後、文部科学省が2019年度より進めていたGIGAスクール構想を大幅に早め、2020年度内に義務教育での「児童生徒1人に端末1台」はほぼ達成。

しかし、ツールが準備されても実際に学校外でフル活用出来ているかといえば、現実的には問題が山積しています。公教育で学習機会の格差を是正できるかと言われると、道のりは決して楽なものではないようです。

GIGAスクール構想実現に向けた動きが一気に加速し、公立小中学校でも2021年度からタブレット端末やノートパソコンを利用した授業が行われることも珍しくありません。

しかし、現在も感染拡大に伴い臨時休校となる学校も出ていますが、緊急時に家に持ち帰ってオンライン授業への切り替えや家庭学習に活用するかどうかは自治体によって対応が様々です。

オンラインもしくはプリント配布と休校中の学習時間の確保の違いを問題視する向きもありますが、全国の公立学校で一律に「休校中もオンライン授業実施」とならないのは通信環境の差も要因の一つと考えられます。

スマートフォンの普及率は非常に高く、学校からの連絡もメール配信の時代です。保護者世代にとってインターネットは生活を送る上で欠かせないインフラになっていますが、各家庭により通信環境は異なります。

当然ながら光回線と導入が手軽なポケットWiFiとでは速度が違いますし、オンライン授業はデータ容量も大きく安定した回線に繋がっていないと、速度も遅くなり最悪の場合繋がらないこともあります。

家でオンライン授業を見る場合は「全員が接続が安定している中で勉強できる」を保証することは難しいです。臨時休校になっても、全国津々浦々で足並みを揃えて学校と同じような授業が行えるのは実現不可能な状況です。

オンラインでも親のフォローは必須

たとえ家でオンライン授業が可能となっても、接続を始め子どもが集中して取り組むかどうかは親のフォローが必要です。6,7歳の小学1年生が1人でセッティングし学校と同じように先生の話を聞けるか、と言われてもかなり難しいものがあります。在宅勤務が可能な職種は限られていますし、授業をオンライン化しても学校とは勝手が違います。

「元気に学校に行き授業を受けていく」という大前提が崩れてしまったコロナ禍は予期せぬ休校もあり、家での過ごし方や学習機会の確保などが各家庭任せになりました。

たしかに公教育でのICT機器の配布は行き渡っていますが、理想的な運用まで道半ばの状態です。コロナ禍が収束するまで教育格差が拡大するのは避けられないことを前提に、その振り幅をどれだけ小さくできるかという議論も必要になってくるのではないでしょうか。

参考資料

おうち教材の森「コロナ禍における家庭学習調査」(https://arinna.co.jp/survey-report-2/)

文部科学省「教育現場におけるオンライン教育の活用」に関する取りまとめについて(https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00541.html)

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