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SDGsレポートで指摘されている日本の3つの課題とは。賃金や家事の「格差」を考える

LIMO / 2022年2月20日 20時15分

SDGsレポートで指摘されている日本の3つの課題とは。賃金や家事の「格差」を考える

SDGsレポートで指摘されている日本の3つの課題とは。賃金や家事の「格差」を考える

毎年発表されるSDGs達成度レポートにおいて、「ジェンダー平等」の目標達成に向け日本が解決すべきと指摘されている3つの課題があります。それは「国会の女性議員の割合」「男女の賃金格差」「無償労働(=家事)時間の男女格差」です。

これを聞いて「やはり」と感じた女性の方もいらっしゃるかもしれません。ここでは3つの課題の実情や、世界との違いを詳しく解説したいと思います。

1.日本の女性議員割合は193か国中166位

国会の女性議員の割合が半数に近くなれば、女性の意見が社会のさまざまな部分に反映されやすくなるはずです。しかし日本の衆議院では女性議員が9.9%(2021年4月時点)と、およそ10人に1人の割合になっています。

これは世界193か国中166位であり、SDGsの目標である50%にはほど遠い割合になっています。また参議院は23.0%と衆議院に比べ多いものの、やはり「ジェンダー平等」とは言いがたい状況です。

一方で諸外国の割合は、以下のようになっています。

諸外国の女性議員割合

【出典】「Sustainabl Development Report 2021」による下院または一院制議会の割合を元に筆者作成

2021年のSDGs達成度ランキングで1位を獲得したフィンランドをはじめ、欧州諸国の女性議員は日本より高い割合を占めています。また同じ東アジアの中国や韓国と比べても、日本はかなり見劣りしてしまいます。

出産や育児と公職の両立が難しい

日本で女性の議席が少ない理由の一つに、議員活動と妊娠や出産、育児などの両立が難しいことが考えられます。というのも2021年に行われた「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」の一部改正で、家庭生活との両立を支援する環境整備を国や地方自治体に義務付けたからです。

以前は「努力義務」だった法律を、わざわざ「義務」に引き上げています。これは女性議員が子供を産み育てながら、公職を行う環境がなかなか整わない事情からではないでしょうか。仕事と家庭の両立が難しいのは、国会議員も同じなのかもしれません。

2.日本の男女賃金格差はワースト3位

SDGs達成度を伝えるレポートでは、日本は男女の賃金格差が大きいことも指摘しています。この格差は男性と女性の賃金の差を示す割合で評価され、数値が小さいほど格差が少ないことを意味します。この割合において日本はなんと、韓国、イスラエルに続きワースト3位になっています。

諸外国の男女賃金格差割合

【出典】OECD「男女間賃金格差」による割合を元に筆者作成。

出産や育児をしやすい環境ではない 

この男女の賃金格差においても原因の一つと考えられるのが、妊娠や出産、育児をしながらも働きやすい労働環境が整っていないことです。もとより日本では妊娠、出産などによる解雇や減給、不当な配置転換、否定的な言動をするハラスメントが、男女雇用機会均等法によって禁じられています。

ところが厚生労働省による男女の均等な雇用機会や待遇についてのサイトを見ると、妊娠、出産などについてのハラスメント防止や育児休業などの情報が、積極的に発信されています。つまりそれだけ社会に、仕事をしながら妊娠や出産、育児をすることへの理解が十分に広まっていないということなのでしょう。

3.家事をする男女格差が先進国で最大

「ジェンダー平等」の目標達成に向けた日本の最後の課題は、無償労働、いわゆる「家事」に費やす時間の男女格差です。OECD(経済協力開発機構)が調査した30の加盟国のうち、日本は家事の男女格差が最も大きい国になっています。

出典:内閣府「男女別に見た生活時間(週全体平均)(1日当たり,国際比較)」

日本人が1日あたりの家事を行う平均時間は、男性が41分なのに対し女性は224分。日本の女性は男性の実に5.5倍も家事をしています。ただし OECD 全体の平均は女性が263.4分であり、日本の女性が特に家事の時間が長いというわけではありません。

注目すべきは男性の家事の時間で、OECDの男性平均は136.5分。これに比べると日本の男性の41分というのは極端に短いことがわかります。

男性の長時間労働が原因か

もちろん日本人男性に「もっと家事をする意識を持ってもらいたい」という意見もあるでしょう。しかし先ほどのグラフで注目したいのが、男性の有償労働時間、つまり仕事の時間が他の国に比べかなり長いことです。

つまり1日の生活時間の中でかなりの割合を仕事が占めており、 どうしても家事をする時間が短くなってしまうという事情もありそうです。家事をする時間の男女格差を解消するには、労働環境の改善も必要なのではないでしょうか。 

課題を知ることが目標達成につながる

妊娠や出産、育児において働きやすい環境を作ることや、慣習化している長時間労働を減らすことは、すぐに解決できる問題ではないかもしれません。しかし多くの人に課題を知ってもらうことが、きっと「ジェンダー平等」の目標達成につながるはずです。ぜひ日本の現状を、まわりの人と話し合ってみてください。

参考資料

Sustainable Development Report 2021(https://dashboards.sdgindex.org/)

内閣府「男女共同参画白書 令和3年版 」(https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/html/honpen/b1_s01_01.html)

内閣府「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(https://www.gender.go.jp/policy/seijibunya/seijibunya_law.html)

OECD「男女間賃金格差」(https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm#)

厚生労働省「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html)

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