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【離婚】住宅ローンがある場合の財産分与 オーバーローンでも財産分与が認められるか

LIMO / 2022年2月26日 19時35分

【離婚】住宅ローンがある場合の財産分与 オーバーローンでも財産分与が認められるか

【離婚】住宅ローンがある場合の財産分与 オーバーローンでも財産分与が認められるか

夫婦が離婚をする際に、トラブルの元となりやすいのが財産の分け方です。財産といってもさまざまですが、今回は住宅ローンがある場合の財産分与について解説していきます。

離婚の際には夫婦の財産を分けることになる

夫婦が離婚をする際、夫婦のいずれかまたは双方が財産を持っている場合には、財産分与請求権(民法768条1項)が認められています。

これは、婚姻中に夫婦が築いた財産については、夫婦いずれかの名義であるかにかかわらず、夫婦の共有財産であると推定されるため(民法762条2項)、離婚にあたって精算する必要があるからです。

たとえば、夫名義の不動産があったとしても、婚姻後に購入したものであれば、基本的に夫婦共有財産となります。

なお、夫婦の一方が婚姻前から有する財産や婚姻中に自己の名で得た財産については、「特有財産」として財産分与の対象にはなりません。

当事者間で協議が整わないとき、または協議することができないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます(民法768条2項、民法771条)。

具体的には、家庭裁判所に対して、調停あるいは審判を申し立てることになります。裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めることになります(民法768条3項)。

財産分与請求権には時効も

財産分与請求権の時効(正確には「除斥期間」と言います。)は、離婚後2年です。そのため、離婚時に財産分与をしなかった場合には、離婚後2年以内に裁判所に対して調停あるいは審判を申し立てなければなりません。

裁判外において内容証明郵便等により請求したとしても、時効はストップしませんので、注意が必要となります。

必ず離婚後2年以内に、財産分与の調停あるいは審判を申し立てる必要があるということです。

住宅ローンがある場合の不動産の処理について

夫婦が婚姻後に住宅ローンにより不動産を購入し、離婚時(財産分与時)に住宅ローンが残っている、というケースも良くあると思います。そのような場合には、不動産の価額(時価)から住宅ローンを控除したものが財産分与の対象となります。

具体的には、住宅ローンを売却して、売却によって得た金額を双方で半分ずつ分ける方法があります。また、住宅は売却せずに、どちらか(基本的には住宅ローンを負担する者)が住宅を取得し、今後も住宅に住み続ける代わりに売却をした場合に得られるであろう金額(不動産会社の査定書をもとに定められることが多いです。)から住宅ローンを控除した残額の半分を相手に支払う、という方法があります。

オーバーローンの場合の不動産の処理について

夫婦の共有財産がオーバーローン状態の不動産(不動産の価格よりも住宅ローンの金額の方が大きい場合)のみである場合には、夫婦が築いた財産はないので、財産分与の申立ては認められません。マイナスの財産だけを分ける財産分与は、認められていないためです。

しかし、不動産が夫婦の共有名義である場合などに財産分与として、登記を一方の単独名義に移転するなど、積極財産の帰属を求める場合には、そのような財産分与請求は、必ずしも不適法となるわけではない、とされています(松本哲泓「改訂版 婚姻費用・養育費の算定」(新日本法規)・137頁)。

オーバーローンの不動産について、一方が相手の共有持分を取得する場合、相手が負担している住宅ローンについてどのように処理するかが問題となりますが、最終的に物件の共有持分を取得する者に債務を負担させることが公平とされています。

元妻が元夫にオーバーローンの不動産の財産分与を求めた事例であり、現在、不動産には元夫が居住しているが、元夫には、住宅ローンを支払い続ける資力、収入はなく、元妻が不動産の取得を希望し、住宅ローンも自らが全部負担する旨を申し出ていたという事情がある場合において、裁判所は以下のように判示しました。

「本件不動産は元妻に分与し、かつ、住宅ローンについても元妻の負担とするのが相当である。元妻が、本件不動産の所有権を取得するとともにその債務を負担するとすれば、オーバーローンの部分を負担することになるが、本件不動産に居住を続けることができるという現実の利益があり、他方、元夫は、本件不動産から退去しなければならないという不利益が生じるもので、その均衡を考えれば、住宅ローンの全部を元妻の負担としても不当なものではない。」(大阪高裁平成21年2月20日判決)。

ローンのみが残った場合は

最後に、オーバーローンの不動産について、どちらかが取得するのではなく、売却して、ローンのみが残った場合の処理についてご説明します。

このような債務について、夫名義の債務を専業主婦の妻に負担することを命じた裁判例はないとされています(二宮周平「新法学ライブラリー9 家族法 第4版」(新世社)・99頁)。

実務は、夫婦の債務の精算だからといって、夫婦平等とはしておらず、仮に、元妻に債務を負担させる場合であっても、半分ずつとするのではなく、収入の比を基準に分担するべきとされています(松本哲泓「改訂版 婚姻費用・養育費の算定」(新日本法規)・143頁)。

参考資料

松本哲泓「〔改訂版〕婚姻費用・養育費の算定」(http://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100131/)

二宮周平「新法学ライブラリー9 家族法 第4版」(https://www.saiensu.co.jp/search/?isbn=978-4-88384-287-2&y=2019)

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