【労働基準法】有給休暇は週1日勤務の副業やアルバイトでももらえるか。有休のしくみを社労士が解説
LIMO / 2022年2月27日 12時0分
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【労働基準法】有給休暇は週1日勤務の副業やアルバイトでももらえるか。有休のしくみを社労士が解説
労働者側からも注目度の高い法律に労働基準法で規定する有給休暇があります。働き方改革により「年5日取得義務」の改正があったことも起因し、有給休暇が再び注目されています。
そして、正社員はともかく、アルバイトであっても有給休暇があることは知れ渡ってきました。しかし、週に1日しか勤務しないアルバイトであっても有給休暇はもらえるのでしょうか。
有給休暇とは
労働基準法第39条に有給休暇に関する規定があります。端的には、採用された日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に継続または分割して、10日の有給休暇を与えなければなりません。
【図表】有給休暇のしくみ
![](https://limo.ismcdn.jp/mwimgs/7/a/-/img_7a2c2e50e45cb52ab037bc510532ea90167113.png)
【出典】厚生労働省「年次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
「休暇」というと、諸外国であれば、日本と比べてある程度まとまった長期の休暇を取る慣習がありますが、日本では、一日以下の単位で活用されるケースが多い印象です。
有給休暇が付与される対象者とは
労働基準法上の労働者が付与される対象者となります。労働基準法第9条に「労働者」の定義が規定されており、端的には「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と規定されています。
すなわち、パートやアルバイトも含まれており、かつ、週の最低出勤日数が規定されているわけでもありません。週に1日しか勤務しないアルバイトであっても労働者であることには変わりありません。
しかし、フリーランサーなどの業務委託の場合には、原則として労働基準法の適用がないので、有給休暇付与の対象ともなりません。
注意点として、形式的に業務委託となっているだけで、実態は他の労働者と同様に会社からの指揮命令があり、実質的に労働者と何ら変わらない場合は、契約の名称よりも実態が優先されますので、労働基準法上の保護の対象となる場合があります。
その場合は、当然他の部分にも影響が及ぶ可能性が高くなります。
有給休暇は週1日勤務でももらえるのか
結論としては、週に1日しか勤務のないアルバイトであっても有給休暇の付与対象です。
では、どのくらいの日数が付与対象なのかを確認しましょう。通常通り出勤する正社員であれば6か月経過後に10日が付与されます。さすがに週1日しか勤務のない方にも同じ日数を付与することは納得感を得ることは難しく、また、法律上も正社員より少ない日数で付与する形で差し支えないとしています。
そこで、「比例付与」といい、勤務日数が一定以下の労働者に対して付与できる日数を定めた方式があります。
端的には、週の所定労働日数が4日以下であり、かつ、週所定労働時間が30時間未満の労働者には、通常の正社員よりも少ない日数で付与しても差し支えないこととなっています。
よって、週に1日しか勤務のない方でも比例付与の対象となり、6か月継続勤務し、全労働日の8割以上の出勤率があった場合には「1日」の有給休暇が付与されます。
有給休暇5日消化義務との関係
週に1日のアルバイトであっても、有給休暇が付与されることは確認できました。また、2019年4月1日以降、年10日以上有給休暇が付与される労働者には付与された日から1年の間に5日以上の有給休暇の消化が義務付けられています。
もし達成できなかった場合には会社に対して1人につき30万円以下の罰金が規定されました。
仮に週1日のアルバイトの場合、罰金対象となることはあるのでしょうか。
結論としてはありません。有給休暇は6か月継続勤務で初めて発生し、その後、1年ごとに付与されていきます。
そして、6年6か月継続勤務時に付与される日数が最大付与日数となり、6年6か月継続勤務時における週に1日のアルバイトの場合は「3日」です。
すなわち、週1日のアルバイトの場合は法律上、年10日付与されることがありませんので、有給休暇5日消化義務の対象にもなりません(週に1日のアルバイトの方にも恩恵的に正社員と同様の日数を「法律上の有給休暇」として付与した場合は除く)。
よって、労働者が主体的に取得していく必要があります。
副業兼業者の有給休暇とは
仮にA社で、正社員として週5日働き、B社でアルバイトとして週1日働く場合、有給休暇はどのように発生するのでしょうか。「労働時間」については、労働基準法第38条により、「事業場を異にする場合においても、通算する」と規定されています。
すなわち、全く関係ない会社同士であっても労働時間は通算して考えるということです。よって、以前から正社員として働くA社で8時間働き、同じ日にA社より後に契約をしたB社で1時間働いた場合、B社では残業代が発生するという理屈です。
しかし、有給休暇に関する規定は、通算するという決まりはありません。それぞれの会社ごとに付与することになります。
この場合、6か月継続勤務時にA社で10日、B社で1日の有給休暇がそれぞれ付与されるということです。
有給休暇の取得は計画的に
労働基準法上、有給休暇にも時効が定められており、退職金が5年であるのに対して、有給休暇は2年となっています。週に1日しか勤務がない場合、2年は決して長いとは言えませんので、取得にあたっては早めに取得するようスケジュール調整しておくと良いでしょう。
参考資料
厚生労働省「年次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf)
e-GOV「労働基準法第9条」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049#:~:text=%E7%AC%AC%E4%B9%9D%E6%9D%A1%20%E3%81%93%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B,%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%81%AE%E8%80%85%E3%82%92%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82)
厚生労働省「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第 38 条第1項(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000673995.pdf)
の解釈等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000673995.pdf)
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