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年収1000万VS年収1億円「満足度」が高いのは?内閣府の調査でわかった意外な事実

LIMO / 2022年2月27日 17時50分

年収1000万VS年収1億円「満足度」が高いのは?内閣府の調査でわかった意外な事実

年収1000万VS年収1億円「満足度」が高いのは?内閣府の調査でわかった意外な事実

年収の目標と掲げられることの多い1000万円。さらに高みを目指せば、年収が1億円を超える人も一定数います。

そんな年収ごとに「満足度」を調査したのが、内閣府による「満足度・生活の質に関する調査」です。同調査から、年収と満足度の意外な関係が見えてきました。

今回は「年収1000万円」と「年収1億円」について、人数や割合、満足度などさまざまな切り口から眺めてみます。

それぞれの実情を確認してみましょう。

「年収1000万円」と「年収1億円」それぞれの人数を確認

国税庁の「令和元年度統計年報」を参考に、「年収1000万円以上年収1200万円以下」と「年収1億円以上2億円以下」の割合を見てみましょう。

年収1000万円以上年収1200万円以下

年収1000万円以上年収1200万円以下で税の申告をした人は、全2203万2084人のうち34万5637人でした。割合にすると約1.6%です。

また青色申告者の割合をみると、全547万8042人のうち11万5038人なので、約2.1%であることがわかります。

年収1億円以上2億円以下

1億円以上2億円未満の申告をした人は1万6213人です。全体が2203万2084人なので、割合にすると約0.07%であることがわかります。

また青色申告をした人を見ると、全547万8042人のうち、8831人。わずか約0.2%です。

給与所得者でも青色申告者でも、年収1000万円や1億円近辺の人は、どちらも少数であることがわかります。

内閣府の調査からわかった「年収と満足度」の関係

内閣府の「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書によると、年収が増加するにつれて満足度が高まる傾向にあることがわかります。

出所:内閣府 満足度・生活の質に関する調査(2019 年調査・2020 年調査)

しかし、その傾向は「年収3000万円~5000万円」で頭打ちとなります。

500万円~700万円:4.82

700万円~1000万円:5.28

1000万円~2000万円:5.86

2000万円~3000万円:6.27

3000万円~5000万円:6.37

5000万円~1億円:5.61

1億円~:5.25

1000万円~2000万円世帯の満足度が5.86なのに対して、1億円以上の満足度は5.25。なんと、年収1000万円と年収1億円を比べると、満足度では年収1000万円の方が高いことがわかったのです。

ただし、調査対象であるサンプル数は1億円以上のゾーンで少なくなっています。調査対象が十分でないという課題は残ります。

満足度の頭打ちは「金融資産残高」でも

「金額があがるほどに満足度はあがるものの、一定金額を超えると満足度が下がる」という現象は、年収以外でも見られました。

それが、世帯金融資産残高。金融資産の残高と満足度の相関関係でも、同調査からは同じ傾向が読み取れるのです。

出所:内閣府 満足度・生活の質に関する調査(2019 年調査・2020 年調査)

300万円以上500万円未満:4.67

500万円以上700万円未満:4.91

700万円以上1000万円未満:5.08

1000万円以上2000万円未満:5.42

2000万円以上5000万円未満:5.83

5000万円以上1億円未満:6.47

1億円以上3億円未満:6.88

3億円以上:5.97

資産残高が高くなるほどに満足度はあがりますが、そのピークは1億円以上3億円未満。ここを過ぎると、逆に満足度は下がることがわかりました。

実は、このように「家計と資産」と「満足度」の関係は一定の金額で頭打ちとなる現象が、他の先進国でも観察されています。

年収が1億円を超えると、日本の所得税率は45%にも上ります。税負担が高まることが、満足度に関わっている可能性もあります。

また会社員で年収1億円に届くのは難しいため、経営者や個人事業主などが多くを占めるでしょう。

決められた時間内の労働とはならず、プライベートとの両立が難しいことも考えられます。こうしたことが、少なからず満足度へ影響していると考えられます。

金融資産目標額は多くなる傾向に

金融資産の残高と満足度の相関関係は以上のとおりですが、目標と掲げられる金額は多くなる傾向にあります。

2022年2月14日、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」が公表されました。

こちらの最新データによると、「金融資産目標残高(問11)」では2021年の平均値が3233万円と、過去最高値を記録しています。調査項目の最高値である「7000万円以上」と回答する割合も、10.2%と過去最高です。

老後2000万円問題や年金のマイナス改定など、何かと不安になるニュースを目にすることの多い昨今、貯蓄に対するモチベーションは高まっているのかもしれません。

一方で、内閣府の調査からわかったように、年収や貯蓄が常に満足度と比例しないことも興味深いポイントです。

貯蓄を考えるときは、やみくもに貯めるのではなく、「目的に合わせて適切に貯める」ということが必要になります。

数十年先のライフイベントを見越し、それに合わせてお金を貯めることが王道です。例えば車の買い替え費用、子どもの教育費、住宅購入の頭金、老後資金などがその代表格です。

これらの全てを現金で用意するのは難しいため、預貯金と並行して保険や資産運用で備える視点も重要です。

それぞれのメリットとデメリット、あるいはリスクについてしっかり把握できることが、貯蓄を築く上でとても重要になるでしょう。

終わりに

年収や貯蓄の満足度について、主に「1000万円」と「1億円」で比較しました。

基本的には金額があがるにつれて満足度が上昇しますが、ある一定の金額で頭打ちとなります。

その結果、年収でも貯蓄でも「1000万円」の方が「1億円」の満足度を上回るという意外な事実がわかりました。

モチベーションの対象となりやすい年収や貯蓄ですが、複雑な背景も垣間見えます。お金だけでなく、税負担やプライベートとの両立など、さまざまな要因が満足度につながると考えられます。

参考資料

国税庁「令和元年度統計年報」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/r01/R01.pdf)

内閣府「「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書」(https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/pdf/report04.pdf)

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/)

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