「正社員の人手不足」企業の47.8%。業種別と正規・非正規の年収差も確認
LIMO / 2022年3月1日 18時50分
「正社員の人手不足」企業の47.8%。業種別と正規・非正規の年収差も確認
コロナ禍による雇用や賃金への影響を受け、正社員への転換を希望する方が増えているのではないでしょうか。
正社員に就職するのは特にコロナ禍だと厳しい印象がありますが、帝国データバンクが2022年2月24日に公表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、企業の47.8%が正社員が不足していると答えています(調査期間2022年1月18日~31日・有効回答企業数1万1981社)。
正社員の人手不足は2020年5月には29.1%まで下がりましたが、2021年1月には35.9%に戻り、今回の47.8%は新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2月と同水準まで上昇しています。
具体的にどのような業種が人手不足なのかや、正規・非正規の給与差についても確認していきましょう。
正社員の人手不足な10業種
先ほどの帝国データバンクの調査より、正社員が不足している10業種をみていきます。
上記の中でも6割を超える業界を見てみましょう。
「情報サービス」(65.7%)
「飲食店」 (65.1%)
「建設」(62.6%)
「メンテナンス・警備・検査」(60.8%)
「農・林・水産」(60.6%)
「教育サービス」(60.5%)
「自動車・同部品小売」(60.4%)
以前からIT人材の不足が問題になっていますが「情報サービス」がトップで65.7%でした。コメントも確認しましょう。
「ビジネスアプリケーション制作の案件が増えてきているが、1 つの案件が1~3年程度のスパンであるため、人手不足で仕事が取れないことが多い」(ソフト受託開発)
「引合いの減少や材料の高騰、人手不足などを実感している」(一般土木建築工事)
上記のように業務へ影響が出たり、人手不足以外の問題も挙がっています。
非正社員の人手不足な10業種
非正社員の2022年1月の人手不足は28.0%。こちらも2020年5月に15.2%まで下がったものの、現在は2020年2月と同水準まで戻ってきています。非正社員の人手不足の10業種を確認します。
トップ5を並べると個人消費関連の業種が多いのが分かります。
「飲食店」(76.6%)
「人材派遣・紹介」(51.7%)
「娯楽サービス」(50.8%)
「飲食料品小売」(49.4%)
「旅館・ホテル」(47.6%)
外出自粛で影響を受けた「飲食店」は 2021年10月調査時点で63.3%まで上昇し、今回は7割強という結果に。同調査の「人手不足がどんどん加速している」(中華料理店)というコメントからも分かる通り、飲食店の人手不足は深刻なようです。
「人材派遣・紹介」(51.7%)では「オミクロン株の影響は まだなく、派遣需要は旺盛。ただし、人手不足は変わらないため、採用コストは上昇傾向」(労働 者派遣)、「人手不足は当社にとってはチャンスである」(民営職業紹介)といった声が聞かれたとのことです。
正社員・非正社員の平均給与差はどれくらいあるのか
正社員・非正社員ともに人手不足の割合や業種を見てきました。コロナ禍では人手不足の割合が減っていたものの、現状ではコロナ感染の開始時期と同程度に戻ってきています。
人手不足の割合は、正社員の方が47.8%と高い点にも注目したいところ。現在オミクロン株のまん延により経済への不安は拭えませんが、アフターコロナまで見据えてキャリアを考え直しても良い時期にきているでしょう。
正規と非正規については安定性の他に、給与の面でも違いが大きいものです。国税庁の「令和2年分 民間給与実態調査統計」より、平均給与の違いを確認します。
正規
平均給与:496万円
男性平均:550万円
女性平均:384万円
非正規
平均給与:176万円
男性平均:228万円
女性平均:153万円
正規と非正規の平均給与差は約300万円。男性で約300万円、女性で約200万円もの差がみられました。
食料品や電気・ガス料金などが値上げされるこんにち。日々の生活費に加えて、教育費や住宅ローンを払い、また老後資金も自分で準備する必要のあります。貯蓄する方法は多々ありますが、基本は「収入-支出=貯蓄」であり収入を増やすことは大切です。雇用形態の転換や副業などは早いうちから考えていきたいですね。
ただ、人手不足には業種や職種による違いも大きいもの。長い目で見て今後のキャリアプランを考えながら、企業の動向を引き続き見守っていきましょう。
参考資料
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220212.html)
国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)
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