小4の壁で親を悩ませるのは学業不振だけではない。反抗期との向き合い方
LIMO / 2022年3月13日 17時50分
小4の壁で親を悩ませるのは学業不振だけではない。反抗期との向き合い方
「小4の壁」というと、学力差が出てくるという勉強面での負のイメージがありますが、心の成長も顕著です。
10歳ごろから自分と周りとの違いに気がつき始め、やがて来る思春期への入口にもなります。
自己肯定感が高く何事も積極的に取り組む子がいる一方で、自分に自信が持てず何事も後ろ向きになってしまう子も出てきます。
そしてクラス内の役割や立ち位置がよりハッキリしてきます。
「この子はリーダーシップをとる子」「あの子はムードメーカー」「静かで自分の意見をあまり言わない子」と小学4年生になると昭和の頃から変わらずある、クラスの雰囲気が確立してくる学年です。
しかし、学校での立ち位置や勉強面での変化だけにはとどまりません。子どもの内面が変わっていく課程で、身近な人への反抗心も芽生えてきます。
親との関りに変化が起きてくる
文部科学省が2009年に開いた「子どもの徳育に関する懇談会」の「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」の中で、中学生時代の項目に『親に対する反抗期を迎えたり、親子のコミュニケーションが不足しがちな時期でもあり、思春期特有の課題が現れる』と記されています。
しかし、いきなり中学生になったら反抗期が始まるわけではありません。個人差はありますが小学4年生前後から口数が減ってきたり、親を煙たがる言動が増えてきます。それまで何でも話をしてくれた子どもが自分から話しかけなくなり、親からの声がけにも反応が鈍くなります。
心配する親に対して「かまわないで」と言ってくるなど、来るべき思春期に向けて親と距離を置くなど親子関係が劇的に変化していきます。
親としては子どもの成長は嬉しい反面、反抗的な態度をされるとカチンときてしまい、思っている以上に厳しい言葉を言ってしまうことも珍しくありません。それが原因でさらなる火種をまいてしまい親子喧嘩が勃発する。
「反抗期だから」と頭では分かっていてもいざ現実と向き合うと上手に接することができず、逆に悩みが深まっていきます。
さらにここ2年はコロナ禍により子どもを取り巻く環境が激変。以前のような行動がとれず、ストレスが溜まりやすくなっていることも忘れてはいけません。
コロナ禍の影響も見過ごせない
国立成育医療研究センターは2020年以降、「コロナ×こどもアンケート」と題するコロナ禍による子どもや保護者の心の変化を調査しています。
調査結果からは「学校生活が急激に変わり学校行事の中止や会話の制限など窮屈な思いをし、ストレスを抱えている子ども達」の様子が浮き彫りになっています。
2021年2月19日から3月31日にかけて調査した「第5回コロナ×こどもアンケート」では、からだの健康や心の健康が全国的に臨時休校中だった2020年5月に比べて低下していることが明らかになりました。
反抗期は親にとって厄介なものですが、周囲の人へ当たり散らすこともできず殻に閉じこもっているのは、子どもからの無言のSOSです。コロナ禍によりあらゆる世代が影響を受けている中で、日々成長している子ども達の心身に与える影響は計り知れません。
親子の衝突が増えると広い心を持って接することは難しいですが、必要以上に目くじら立ててきつく叱りつけるのは避けたいところです。
思春期へと続く反抗期の向き合い方
かつて子どもであった親自身も経験している反抗期。
「ある年齢になれば反抗してくる」と頭で分かっていても、言動が荒くなってきた子どもとの向き合い方に悩まない方はいないでしょう。
キツイ言い方をしてきても親を憎んでいるわけではないです。一番身近な大人が動揺している姿を見て、自分の成長や言葉の威力を感じるだけで「本気で親を遠ざけたい」と考えているわけではありません。
親としては、毎日ケンカを吹っ掛けられて嫌になりますが、子どもの背伸びしたい気持ちを理解することも大切です。言われたら言い返すを繰り返していると、親子の間に溝が出来てしまいます。
これまでより意図的に距離を取り、青年期へと向かいつつある子どもとの関係性を見直していきましょう。時間をとってじっくり話し合いを重ね、言葉で「大切に思っている」ことを伝えることも心を安定させるポイントになります。
「子どもを大切に思っているのは口にしなくても分かるはず」では伝わりません。強がる年頃ですが、心はまだまだ子どもです。
「どんな時でも見守っている」ことが分かれば、不安定な気持ちを取り除くことができます。ましてやコロナ禍で学校生活に様々な制限が敷かれており、子どもの心が不安定になりやすい状況が続いています。
小4の壁では学業不振以外にも心の変化が生じてきます。親にとっては一気に問題が噴出する学年になり親子の衝突は増えてきますが、やはり家庭や親の存在は欠かせません。
成長するために子どもももがき苦しみます。
裏を返せば、親がうろたえずどっしり構えて子どもの変化を受け止めることができれば、心の成長へと繋がる飛躍のチャンスでもあるのです。
参考資料
文部科学省 「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/attach/1282789.htm)
国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート第5回調査報告ダイジェスト版」(https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/CxC5_digest_20210521MH2.pdf)
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