いつから「専業主婦は贅沢」になったのか。夫の年収は関係ある?ない?
LIMO / 2022年3月14日 18時50分
いつから「専業主婦は贅沢」になったのか。夫の年収は関係ある?ない?
もうすぐ入園・入学の季節ですが、しばらく専業主婦のままでいようか、パートをはじめようかと悩む方もいるでしょう。
少し前までは「専業主婦=当たり前」でしたが、今では専業主婦であることに罪悪感を感じたり、専業主婦は贅沢かと思い悩まれたりする方もいます。
生き方の多様化が進む現代、結婚・出産後に専業主婦になるか、パートをするか、フルタイムで働くか、それともフリーランスになるかは本来自由なことのはず。本人の希望やご家庭の事情によるものでしょう。
それでも現代では、専業主婦であることを気にしてしまう女性はいます。今回は専業主婦に視点をあてて、時代背景や変化などをみていきましょう。
「専業主婦が主流」は80年代まで
内閣府男女共同参画局の「結婚と家族をめぐる基礎データ」より、専業主婦世帯と共働き世帯の推移を1980(昭和55)年~2020(令和2)年まで見ていきます。
1980(昭和55)年には専業主婦世帯が1114万世帯・共働き世帯が614万世帯。90年代前半は同程度で推移し、1996(平成8)年には共働き世帯949万世帯・専業主婦世帯921万世帯。
それ以降、共働き世帯が上回り、2020(令和2)年には共働き世帯1240万世帯・専業主婦世帯が571万世帯です。
一時期に比べれば、随分と専業主婦世帯が減少しているとわかります。とはいえ、今の子育て世代は専業主婦の親に育てられた方も多く、専業主婦に馴染みのある方もいるでしょう。
「平均給与」1989~2018年の推移は?
専業主婦になるか決める際、その判断基準の一つとしていわれるのが夫の年収です。厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書」の資料より、平均給与の推移を1989~2018年までみていきましょう。
平均給与が最も高かったのは1994年の465.3万円。1989~2007年までは平均給与は450万円以上で推移しています。
450万円以下に下がったのは2008年、リーマンショックの起きた年です。直後の2009年は421.1万円へ。
それ以降、平均給与は400万円代前半で推移し、最も低いのは2014年で419.2万円。最新の国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」によれば2020年は433万円です。
先ほどの専業主婦と共働き世帯の推移と比べると、必ずしも平均給与が連動しているとは言えないでしょう。ただし2008年からの平均給与を見ると、共働きの必要性は高まっていると言えるところも。「贅沢」と言われてしまう一因にもなっていそうです。
サービス業、金融業…「第3次産業」の就業者は最大に
共働き世帯が増加した理由の一つとして、第三次産業の増加も考えられます。
第一次産業は農業や漁業など、第二次産業は工業や建設業など、第三次産業は第一次産業・第二次産業ともに当てはまらない商業や金融業、情報通信業、サービス業などのことを言います。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「図4 産業別就業者数(第一次~第三次産業、主要産業大分類)」より、第一次~第三次産業の推移を1951~2020年まで確認しましょう。
1951年に最も多いのは第一次産業でしたが、年々減少し2020年では最も少なくなっています。第二次産業は増えるもののほぼ横ばいとなる一方で、第三次産業は増加し続けています。
高度経済成長を経て第一次産業中心から第二次産業、第三次産業へと変化し、サービス業なども多様化したことで家計のためにパートで働く女性は増えているでしょう。
多様性が求められる今、想像力を大切に
専業主婦が減少し、贅沢と言われるようになった背景には、今回見たように平均給与の推移や産業の変化も関係しているでしょう。
一方で、今後も専業主婦は生き方の選択肢の一つです。わが子の小さい時期にじっくり向き合いたい、家族をサポートしながら快適な家庭を保ちたい、専業主婦が性に合っている、そう思い、選択することは自由です。周囲の声に悩むこともあるでしょうが、大切なのはご自身の生活と心身の満足や安定でしょう。
多様化が求められる現代だからこそ、他人の選択に想像力を持ち、個人の人生として見守る姿勢をもちたいですね。
参考資料
内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」(https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/1st/pdf/5.pdf)
厚生労働省「図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html)
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「図4 産業別就業者数(第一次~第三次産業、主要産業大分類)」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0204.html)
国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/minkan.htm)
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