大谷翔平選手「二刀流・筋肉強化策」カラダづくりを支えた3つの取り組みとは
LIMO / 2022年3月23日 12時10分
大谷翔平選手「二刀流・筋肉強化策」カラダづくりを支えた3つの取り組みとは
2021シーズン、大谷翔平選手は投打でMLBトップクラスの成績を残し、ア・リーグMVPに輝きました。シーズン前は二刀流の成功に懐疑的だった意見も、今となっては聞かれません。
躍進の裏側にはエンゼルス入団後、初めてケガをしなかった点が挙げられます。
大谷選手自身もシーズン終了後の会見で、「フィジカルの充実が結果に結びついた」と語っていました。大谷選手がどのような取り組みを行ったのかに迫ります。
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大谷選手「二刀流・筋肉強化策 その1」下半身のトレーニング
昨シーズンオフ、大谷選手は下半身強化のウエイトトレーニングと瞬発系のメニューを多くこなしていました。二刀流プレーヤーとしてシーズンを通して健康に保てるよう、フィジカル強化の徹底に努めます。
2020年シーズンは19年途中に痛めた左膝を負傷した影響で、機能回復が優先されたリハビリプログラムが組まれ、筋肉強化のメニューを満足に積めませんでした。
結果は44試合出場、打率.190、ホームラン7本、打点24に終わり、良いところを発揮できないままシーズンが終了。
特にアウトコースへ逃げていく変化球に上手く対応できない場面が多く見られました。テイクバックの際に軸足に十分体重が乗らず、イメージよりも早く身体が開いてしまうため、腰が引けた状態で打ちにいく必要がありました。
徹底したウエイトトレーニング
ボールに上手く力が伝わらず内野ゴロや空振りが増え、シーズンを通して打率が上がりませんでした。2020年シーズンの結果を受け、昨シーズンオフはデッドリフト・ジャンプ・片足スイングなど、徹底したウエイトトレーニングを行います。
背中・お尻・ハムストリング周辺の筋肉が強化され、フォームの安定感やスイングスピードが向上しました。同時に大谷選手はスイング軌道の改造にも着手します。ボールに対してバットを下から入れるアッパースイングに変更しました。
アッパースイングはボールにバックスピンをかけやすく、ホームランを打てる確率が高まります。特にレベルスイングだとゴロになりやすい低めの速球・変化球に角度を付けやすく、力強い打球を飛ばせます。
ただし、他のスイング軌道よりも余計に重力がかかるためバットが遠回りになりやすく、スイングスピードを速くするためにはパワーが必要でした。大谷選手はトレーニングで下半身の筋肉を強化し、威力のあるスピードボールにも負けない力強いスイングを生み出しています。
結果として球種・コース・高低を問わずにホームランにできるスイングが確立され、昨シーズンはア・リーグ3位の46本塁打を記録しました。長打になりやすい打球初速・角度を組み合わせた長距離打者の指標とも呼べるバレルゾーン率は、ア・リーグトップの12.2%です。
大谷選手「二刀流・筋肉強化策 その2」プライオボールでの壁当て
大谷選手はプライオボールを試合前のウォーミングアップに使い、フォームチェックや筋肉のメンテナンスに努めています。プライオボールはMLBで活躍するダルビッシュ投手も日々のルーティンに取り入れています。
プライオボールとは?
プライオボールは100g、450g、1kgなど、重さの異なるボールを投げ分け、全身の筋肉を効率的に動かす方法を感覚的に身に付けられるのが最大の特徴です。出力の大きい体幹を中心とした投球フォームが身に付くと、様々なメリットが見込めます。
リリースポイントの一定化・指先の感覚の鋭敏化・余計な力みの軽減など、怪我防止とパフォーマンスアップを両立できるからです。余計な力みが抜けると筋肉損傷のリスクを最小限に抑えられる他、リリース時の押し出しが強くなりボールのキレ・スピン量が増します。
プライオボールを使い始めた結果、大谷選手は昨シーズンエンゼルス入団後キャリアハイとなる130イニング、9勝、防御率3.31を挙げました。
大谷選手「二刀流・筋肉強化策 その3」食事管理
二刀流として試合に出場し続けるには、健康を保ち続ける必要があります。
試合で疲弊した筋肉を以下に素早く回復させるかが、パフォーマンスレベルを維持するカギに。
大谷選手は日本時代から栄養管理のアドバイザリー契約を結んでいる「明治」を通して、様々なサポートを受けてきました。
アスリートの基本とされる主食・おかず・野菜・フルーツ・乳製品を揃えた「栄養フルコース型」の食事から、タンパク質やビタミンなど必要な栄養素を摂取し、身体づくりに反映しています。
タンパク質でカラダづくりを強化
大谷選手が特に重視したのがタンパク質の摂取です。
タンパク質は筋肉強化や超回復に欠かせない栄養素で、エネルギー消費量に対しタンパク質の摂取量が不足した場合は筋肉の回復が遅くなります。筋合成に必要なタンパク質(グリコーゲン)が足りないからです。
筋肉の修復スピードが遅れるとパフォーマンス低下やケガにつながり、二刀流パフォーマンスの継続が難しくなります。
ピッチングやバッティングの動作は瞬発力を要求され、筋肉へのダメージが残りやすいため、タンパク質の摂取を多く重視していました。
鶏のむね肉・ヨーグルト・イカなど、低カロリー高タンパクな様々な食材を組み合わせたメニューを作ってもらい、バランス良く栄養を摂取しています。同時に栄養士から手軽に作れる自炊メニューを教えてもらった大谷選手は、料理にも取り組んでいました。
有名になったのがオムレツでしたが、血液検査で大谷選手の身体に合っていないと判明した後は口にする機会を減らしました。このエピソードからも、常に自分の身体と向き合うプロ意識の高さが伺えます。
まとめにかえて
常に自らを高める努力を続けている大谷選手は、フィジカル面での充実をたいせつにしています。
二刀流プレーヤーとして活躍するためには、健康維持が絶対条件。徹底したトレーニングや食事管理を行い、疲労を残さないよう工夫をしていました。
野球への飽くなき向上心の高さが、努力を欠かさない原動力となっているのかもしれません。
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