大学の費用は「都会と地方」で150万円以上の差!コロナ禍で奨学金が増えるもバイト収入は減少へ
LIMO / 2022年3月26日 17時50分
大学の費用は「都会と地方」で150万円以上の差!コロナ禍で奨学金が増えるもバイト収入は減少へ
国公立大学の後期日程も終了し、今年の大学入試も終わりを迎えようとしています。
依然としてコロナ禍による影響でオンライン授業も珍しくなく、サークル活動もままならずせっかく実家を離れて進学しても思うようなキャンパスライフを満喫できない状況が続いています。
高校を卒業した後、故郷を離れて見知らぬ土地で外出もままならないまま1人暮らしをするのは精神的にもつらいものがあります。
また、コロナ禍による世帯年収の減少もあり地元大学や実家から通学できる大学への人気が高まってきていますが、全ての学生が地元に残るわけではありません。実家を離れて都会の大学へと進学する学生もいます。
コロナ禍以前と明らかに違う大学生活
それでは、大学進学を契機に1人暮らしをする場合はどのくらいお金がかかるのでしょうか。独立行政法人日本学生支援機構が隔年で調査している「学生生活調査」をみると、コロナ禍の影響が大きいことが読み取れます。
学生生活調査は「全国の学生を対象として、学生生活状況を把握することにより、学生生活支援事業の充実のための基礎資料を得る」ことを目的に実施されています。
昨年9月に公表された「令和2年度学生生活調査」では、2021年11月を対象に過去1年間(2020年12月から2021年11月まで)の学生の経済状況を調査。そのため、コロナ禍以前である前回調査「平成30年度」との比較ができます。
令和2年度の調査では、1年間の学生生活費(大学昼間部学生の学費と生活費の合計)は平均181万3000円でした。平成30年度では191万3500円だったことを考えると、10万500円減少したことになります。
休校による学費の返還要求も主に私立大学の学生から上がりましたが、実際に返金や減額に応じた私立大学はごくわずかであることが、一般社団法人日本私立大学連盟が昨年6月に発行した「奨学金等分科会報告書」からも明らかになっています。
約10万円減少した学生生活費にはサークル活動費でもある課外活動費も含まれており、コロナ禍による活動自粛が大きく響いていると考えられます。
都会と地方では生活費が最大155万円の差
一口に学生生活費と言っても、1人暮らしや実家からの通学など住居形態により費用は異なります。さらに住んでいる場所を東京圏や京阪神と地方とでみてみると以下のような結果となりました。
●自宅住まいの平均
東京圏 171万7400円
京阪神 166万2500円
その他 146万200円
●学寮の平均
東京圏 204万4500円
京阪神 185万4700円
その他 188万円
●下宿アパートの平均
東京圏 247万6800円
京阪神 229万600円
その他 197万9100円
3パターンを見ても、「自宅住まいかつ東京圏と京阪神以外の地域に住んでいる」が最も学生生活費が抑えられていることになります。
さらに国立大学、公立大学、私立大学も条件に加えると「その他の地域の自宅住まいの国立大学生(97万4700円)」と「東京圏の下宿アパートに住んでいる私立大学生(252万6500円)」とでは最大155万円以上の差があります。
奨学金の割合が増えアルバイト収入は減少
学生の収入はいわゆる家からの仕送りも含まれる「家庭からの給付(学費の支払いや仕送りなど)」と「奨学金」、「アルバイト収入」そして「定職収入・その他」の4項目で成り立っています。
平成30年度の1年間の学生の収入額は200万1300円でしたが、令和2年度の調査では192万7600円と7万円以上減少。そのうち最も多い「家庭からの給付」は114万4700円と前回の119万6600円より5万1900円少なくなりました。
また、アルバイト収入額は40万1500円だったのが36万6500円になっています。
学生のアルバイト先として人気のある飲食店はコロナ禍により自粛や営業時間短縮など苦しい状況にあります。そのため、フルでアルバイトをすることができない学生が相当数いると考えられます。
また、感染対策としてアルバイトを控える学生もおり、そうした複合的な理由が重なったことで令和2年度の調査でのアルバイト収入額の減少として表れているとみられます。
コロナ禍以前と比べて家庭からの給付とアルバイト額は減少している一方で、奨学金の割合は増加しています。前回の調査よりも1万3600円増加の37万3200円となりました。
調査からも家庭からの援助とアルバイトのシフトの減少などの影響で収入が少なくなり、奨学金で補填する学生が増えていることがうかがい知れます。
景気と密接な関係がある進学選択
日本学生支援機構の調査結果から、都会と地方での学生生活費が異なっているのは明らかです。感染状況の好転により景気は上向きになると予想されるため、都会の大学に進学を希望する受験生の数もこうした条件が揃わないと劇的に回復することは難しいです。
コロナ禍による経済状況の悪化や、1人暮らしをしてもオンライン授業が多く交友関係を広げることができないこともあり、地元志向が強まるのも仕方がないことでしょう。
参考資料
一般社団法人日本私立大学連盟「令和2年度奨学金等分科会報告書」(https://www.shidairen.or.jp/files/user/pdf/R02_ScholarshipReporting.pdf)
独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」(プレスリリース)(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2021/09/24/press.pdf)
独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2021/09/24/data20sokuhou.pdf)
独立行政法人日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査」(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2021/03/09/data18_all.pdf)
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