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日本の「平均年収400万円」割合や手取りはいくら?物価や社会保険料の推移とともに考察

LIMO / 2022年4月5日 18時50分

日本の「平均年収400万円」割合や手取りはいくら?物価や社会保険料の推移とともに考察

日本の「平均年収400万円」割合や手取りはいくら?物価や社会保険料の推移とともに考察

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は433万円となっています。

平均年収は30年ほとんど間変わっていない一方で、物価や社会保険料は上がっています。

食料品や電気代などの値上げが叫ばれるこんにち。今回は日本の平均年収400万円にスポットを当てて、「手取り額はいくらか」「割合はどのくらいか」などその実態に迫りながら、物価や社会保険料の推移も見ていきます。

年収400万円の「手取り」は約314万円

まずは年収400万円の手取り額はいくらになるのかを見てみましょう。

一般的に年収400万円は「額面金額」を指し、ここから税金と社会保険料が引かれて銀行口座に振り込まれる金額が「手取り額」になります。

【社会保険料】 健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料

【税金】 所得税、住民税

30歳独身(東京都在住)の会社員を例に、月収25万円にボーナスが「月収2ヵ月分×年2回」支給されると仮定して、年収400万円の手取り額を試算しました。

※令和3年度の保険料率で筆者試算

ボーナスを含まない毎月の手取り額は「19万2868円」となりました。毎月6万円近い金額が引かれていることになります。

年間の手取り額は「314万5944円」でした。社会保険料が「59万1684円」、税金が「26万2372円」引かれています。社会保険料の負担が重いことがわかりますね。

【男女別】年収400万円の割合は?

国税庁の令和2年分の調査によると、給与所得者の平均年収は433万円となっています。しかし平均年収の方が一番多いとは限りません。

そこで、給与所得者の年収を階級に分けて、その割合をグラフで表しました。

出典:国税庁「民間給与実態統計調査結果(令和2年) 第3表 給与階級別の総括表」をもとに筆者作成

1番割合が多いのが「300万円超400万円以下」の17.4%、その次が「200万円超300万円以下」の15.5%です。

平均年収433万円が含まれる「400万円超500万円以下」は14.6%で、3番目に多い割合となりました。

ボリュームゾーンが500万円以下にあることがグラフからわかるように、500万円以下を合計すると69.7%となり、約7割が500万円以下という結果になりました。

次に男女別の割合も見てみましょう。

出典:国税庁「民間給与実態統計調査結果(令和2年) 第3表 給与階級別の総括表」をもとに筆者作成

出典:国税庁「民間給与実態統計調査結果(令和2年) 第3表 給与階級別の総括表」をもとに筆者作成

男性の平均年収は532万円。

割合では「300万円超400万円以下」が17.5%と1番多く、次に「400万円超500万円以下」の17.3%、「500万円超600万円以下」の13.4%となります。

女性の平均年収は293万円。

割合では「100万円超200万円以下」が23.4%と1番多く、次に「200万円超300万円以下」の21.3%、「300万円超400万円以下」の17.3%となります。

男女差は平均年収で200万円以上差があることからも、その差は顕著ですね。女性は結婚、出産によって、正規雇用からパートタイムなどの非正規雇用に切り替えるケースが多いことが影響していると思われます。

女性で年収が500万円を超える人の割合は12.1%と1割強しかいないというのも驚きです。

日本の平均年収は30年間ほぼ変わらないが、物価は?

平均年収433万円は令和2年の調査によるものですが、過去の平均年収も見てみましょう。昭和60年から令和2年までの平均年収をグラフに表しました。

 

出典:国税庁「民間給与実態統計調査結果 1総括表」をもとに筆者作成

平成元年に初めて400万円台になってから、日本の平均年収は30年間ほとんど伸びていません。

平成9年に467.3万円になったのをピークに徐々に下がっていき、平成21年には405.9万円まで落ち込んでいます。これはリーマンショックの影響と思われます。

そこからは少しずつ持ち直して、平成30年に440.7万円になってからは再び下がっています。

このように平成元年から多少の波はあるものの、概ね400万円台の前半で推移している日本の平均年収に対して、物価はこの30年間でどのような変化があったのでしょうか。

物価の動きを把握するための指標である「消費者物価指数」の変化を見てみましょう。

 

出典:総務省統計局「2015年基準消費者物価指数」をもとに筆者作成

2015年(平成27年)を100とした場合の指数の変化を表しています。平成元年の88.5から令和2年は101.8まで上がっています。この30年間で物価が13.3%上昇したということです。

物価の上昇ほど給料が上がっていないとしても、13.3%ならそれほど大きな開きはないと思われるかもしれません。しかし、平均年収は税金や社会保険料が引かれる前の額面の金額です。

税金や社会保険料も上がっているので、手取りで比較した場合はさらに大きな開きとなります。

社会保険料の値上がりで手取りが減っている

社会保険料はこの30年間で値上がりしています。

健康保険料率は平成元年が8.30%だったものが、現在(令和3年度)は10%になっています。平成12年度からは介護保険料も徴収されるようになり、それも含めると11.8%になります。

厚生年金保険料率は平成元年の12.4%(第1種)から現在(令和3年度)は18.3%になっています。

<参考>

出典:「平成30年度東京都税制調査会 第3回 小委員会」資料より抜粋

つまり、同じ年収400万円でも手取りにすると、平成元年よりも現在の方が少なくなるわけです。そこも含めて考えると、平均年収の推移のグラフの見方が変わってくるでしょう。

前出の例では、年収400万円は手取りにすると約315万円でした。これが現在の平均年収に近いと考えると、日本の所得水準の低下を感じます。

救いとしては、働き方が多様化していることで、給与所得にこだわらず、収入を得る道を探せる点でしょう。副業やパラレルワークなど、複数の収入源を持つことが当たり前になってくるかもしれませんね。

参考資料

令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2020.htm)

標本調査結果|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/minkan.htm)

令和3年度保険料額表(令和3年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r03/r3ryougakuhyou3gatukara/)

給与所得の源泉徴収税額表(令和3年分)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2020/data/01-07.pdf)

民間給与実態統計調査結果|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm)

消費者物価指数 2015年基準消費者物価指数 長期時系列データ 品目別価格指数 全国 年平均 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200573&tstat=000001084976&cycle=0&tclass1=000001085995&tclass2=000001085936&tclass3=000001085996&tclass4=000001085997&tclass5val=0)

国民年金保険料の変遷|日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331.html)

平成30年度東京都税制調査会 第3回 小委員会(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/report/tzc30_4/06.pdf)

保険料率の変遷 | 協会けんぽ | 全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/hokenryouritunohennsenn/)

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